VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー選手権の第3戦となるフィリップ・アイランド500が4月21~23日に開催され、ラウンド5では前戦タスマニアでも勝利を挙げたDJRチーム・ペンスキーのファビアン・クルサードが、パンクとペナルティが多発する荒れたレースを制し今季2勝目をマーク。続くラウンド6は、同じくフォード勢のプロドライブ・レーシング、チャズ・モスタートが初勝利を挙げ、好調フォード・ファルコンFG-X勢が席巻する週末となった。
土曜に行われた予選レースでは、両ラウンドともクルサードのチームメイトであるスコット・マクローリンが制しポールポジションを獲得。ここでもファルコンの速さが光ったが、対照的にホールデン勢のトリプルエイト・レースエンジニアリング、サテライトチームのチーム・ボルテックス、クレイグ・ラウンズがプラクティスでプロドライブ・レーシングのキャメロン・ウォーターズにヒットし大クラッシュ。これに15ポイント剥奪のペナルティが課され、週末の波乱を予感させる幕開けとなった。
土曜のレース1となるラウンド5では、マシン修復を終えて出走したラウンズがピットレーンの速度違反で15秒のペナルティを受け13位に後退。さらに負の連鎖は続き、トリプルエイトのメインチームであるレッドブル・レーシング・オーストラリア(RBRA)の昨季王者、シェーン-ヴァン・ギズバーゲン(SVG)のホールデンにも同様のペナルティが下りノーチャンスに。
このレースをポールからスタートしたマクローリンと、プロドライブ・レーシングのもう一台、マーク・ウィンターボトムのファルコンがレースを引っ張り、フォード勢の一騎打ちとなる。
しかし次なる波乱は、今季から一新されたワンメイクのダンロップタイヤ。新たなソフトコンパウンドはグリップ向上をもたらした代わりに耐久性が落ち、このレースだけで17回のパンクを誘発。SVG、マクローリン、ウィンターボトムが次々と餌食となり、レース展開は大混乱に。
しかし、自身もパンクに見舞われながら、セーフティカー・ピリオドを活用して上位進出を果たしたクルサードは、残り3周でクラッシュを喫したアレックス・ルーロとニック・パーキャットのマシン回収のSC時にも動じす、リスタートをコントロール。見事に今季2勝目を挙げた。
2位には僚友の離脱を横目に奮闘したRBRAのジェイミー・ウィンカップ、3位にギャリー・ロジャース・モータースポーツのベテラン、ガース・タンダーが入った。
その後方、5位、6位にはニッサン・モータースポーツのマイケル・カルーソ、トッド・ケリーのアルティマが、SVGを最後まで追い詰める形で入賞を決めている。
続く日曜のラウンド6は、フロントロウスタートのDJRペンスキー勢が、今度はSC時のピット作業でピットロード・オープンのタイミングに翻弄され下位に沈むと、代わって首位に立ったのは、同じくフォード勢のプロドライブ・レーシング。
ロッド・ナッシュ・レーシング名義でエントリーし、スーパー・チープオート・レーシングのチーム名で参戦するチャズ・モスタートは、メインチームの“ザ・ボトル-O(オー)レーシング・チーム&モンスター・エナジー・レーシング”のエース、マーク・ウィンターボトムとともにレースをリード。
SVGやウィンカップのRBRA勢が再度のパンクに見舞われ下位に沈むなか、度重なるクラッシュによる2度のSC導入にも動じずモスタートが今季初勝利。2位に入ったウィンターボトムと並んでフォード・ファルコンFG-Xがワン・ツー・フィニッシュを飾った。
これで選手権首位はクルサードとなり、2番手に7ポイント差でSVGが続き、3番手にモスタートが浮上。次戦は5月5~7日にパースで開催される『パース・スーパースプリント』となっている。