ルノーF1のマネージングディレクターであるシリル・アビテブールは、2021年からのエンジンレギュレーションを幅広く指示されるものにするという作業は、F1にとっての難題になると考えている。
この件について3月に行われた初回会合では、現行のV6ターボ・ハイブリッドを、2021年以降はよりシンプルで安価かつ音の大きいエンジンに切り替えることで合意が得られた。
現行規定の問題点を洗い出してコンセンサスを得ることは容易だったが、新規定の細目を、ファンを含むすべての関係者が受け入れ、合意できる内容にしていくのは一筋縄ではいかないとアビテブールは危惧する。
「解決策は簡単に見つかるようなものではない。なぜなら技術的な複雑さと問題の複雑さが絡んでくるからだ。現在のビジネスモデルにおいては、このスポーツに出資している自動車メーカーを満足させるような答えが求められる」
「自動車メーカーの存在がそれほど重要視されないビジネスモデルもあり得るだろうが、(いまの)F1はそうではない。そして同時に、ファンやカスタマーチームにも満足してもらう必要がある。つまり解決は容易ではないということだ」
「現状の何が良く、何が悪いのかという部分については、ある程度のコンセンサスが取れるだろう。解決策を見つけ出すのは難しいと思う。ただ、それは政治的な理由や競争上の優位性の問題だけが原因とは言えない」
「もちろん、こうした要素はいつだって多少は絡むもので、現在ある組織のトップにいる人は、それまでに築いた優位性を守ろうとするだろう。それは理解できる。難しいのは洗い出された課題に対する適正な答えを見つけること。これは各チーム、FIA、そしてオーナーのリバティ・メディアも認識しており、共有されていると思う」
初回会合での主な合意内容には、新規定にもハイブリッドの要素を残すことと、エンジン音にも焦点を当てることが含まれる。この合意内容について、アビテブールはこう語る。
「電化が避けて通れない問題であることは間違いない。電化、ハイブリッド化は必要なのだ。今後もっとハイブリッドと(内燃エンジンと)の間の調整が必要になるだろう。しかしだからといって、それでレースの魅力を損なうことになってはいけない」
「音は必要だ。ファンのためには、F1騒々しいものでなければならないのに、いまはそれを届けられていない」
ルノーは長い間、F1におけるコスト管理の重要性を強調してきており、予算制限案を推進している。
「技術的な詳細には踏み込まないし、すべての分析結果が全員で共有されていることをあらためて伝えたうえで言えば、いまは自動車メーカーにとってもカスタマーにとっても高すぎる」
「だから予算に上限を設ける考え方には賛成だ。問題は、そのうえでどうするかだ。これが全員にとって共通の課題になる。その共通の課題に向かって、パドックの全員で知恵を絞って、良いソリューションを得ることができるよう願っている」