来季F1マシンにコクピット保護デバイスが導入されることが予定されているが、これまでテストを重ねてきた“ハロ”デバイスではなく、新たに提案された“シールド”の採用が有力となってきた。
25日にF1ストラテジーグループおよびF1コミッション会合が開催された後、FIAは、以下のような声明を発表した。
「フロントプロテクションデバイスの追加に関して、融合の面でより優れた多数のソリューションを検討してきた結果、透明の“シールド”システム類を優先するとの決定が下された。FIAは、2018年の実施に備え、今シーズンを通してこのシステムのコース上でのテストを行うことを目指す」
ハロは当初は今季採用が検討されていたが、コクピット保護システムの導入は2018年に延期された。昨年、全チームが金曜プラクティスでハロのテストを行ってきた結果、チームの意見が分かれ、今年中国GPではFIAが異なるソリューションである“シールド”のプランをドライバーたちに説明した。
ハロやレッドブルが提案したエアロスクリーンよりもノーズ前方までカバーされた、この“シールド”は、まだコンセプトの概要しか決まっておらず、詳細なテストも行われていない。美観の面ではハロよりは優れているが、実際のドライバー保護の機能としては劣っているものと考えられている。
シールドは、ハロやエアロスクリーンのようにコクピット縁に装着されるのではなく、ノーズと合体したような形状であり、ノーズのより前方からコクピット前までをカバーした、透明のスクリーンだ。コクピットを覆うわけではないが、ノーズからコクピットにかけて傾斜がついており、コクピット前ではドライバーのヘルメットより高い位置となっている。
FIAの説明では、初期テストの結果、小さいデブリには有効だが、タイヤなど大きなものが飛んできた場合にはさほど効果を発揮しないということだ。
コクピット保護デバイスに関するドライバーたちの意見もさまざまで、ダニール・クビアト、ケビン・マグヌッセン、ロマン・グロージャンらは、シールドあるいは保護デバイスの必要性自体に疑問を呈しているが、2009年ハンガリーGP予選で飛んできたスプリングが当たって頭部に重傷を負った経験を持つフェリペ・マッサは、最終的には美観よりも安全性を重視して決断を下すべきだとの意見を示している。