ホンダF1が、パワーユニット開発における問題を早急に解決するために、ライバルのメルセデスと契約を結んでアドバイスを受ける可能性があると報じられている。
2015年にマクラーレンと組んでF1に復帰し、3年目のシーズンを迎えたホンダだが、今年はプレシーズンテストから信頼性のトラブルが相次ぎ、パフォーマンス向上を思うように図れずにいる。バーレーンではグランプリ期間と合同テスト初日の4日間、トラブルが連発した。
英AUTOSPORTが得た情報によると、ホンダは、信頼性とパワーの向上をできるだけ早く進めるため、コンサルタント的支援を得る可能性について、最近メルセデスと話し合いを開始したという。
契約の詳細については合意に至っていないものの、パワーユニットの電気、ハイブリッドエリアが中心の内容になるものと考えられている。
当初のポリシーから離れ、ホンダはこの数週間、積極的に外部アドバイザーの力を借りようとしている。メルセデスとの交渉を進める一方で、ホンダは、レースエンジンを扱うエンジニアリング会社イルモアのアドバイスも受けているといわれる。
ホンダF1プロジェクト総責任者、長谷川祐介氏は、アドバイザーについて具体的に明かしてはいないものの、状況を好転させるためにあらゆることを行っていくと語った。
「やれることをすべてをやってきました」と長谷川総責任者は英AUTOSPORTに対して語った。
「外部から得られるあらゆるものを活用しています」
「3月初めから、組織をほぼ(完全に)変えつつあります」
「それがうまく機能していると私は思います。ただ(シーズン開始までに)開発をモディファイするには遅すぎました」
「もちろん簡単にはいきません。エンジンの修正には時間がかかります。そこが問題です」
「いくつかいい要素を確認していますが、パッケージ全体の準備はまだ整っていません」
イルモアについて聞かれた長谷川氏は「コンサルタントやサプライヤーについては一切公表いたしません。ですが外部のリソースを多数利用しているのは確かです」と答えた。
メルセデスとの交渉についても言及しない長谷川総責任者だが、ホンダは、現在F1に参戦するマニュファクチャラーそれぞれとかかわったことがある、複数のエキスパートからのアドバイスを得ていると示唆した。
「私たちのところには、メルセデス、フェラーリ、ルノーに関わった人々が大勢いるので、そういった意味では彼らのアイデアを“スパイ”していることになりますね」と長谷川総責任者は冗談を言った。
メルセデスは、英AUTOSPORTの取材に対し、ホンダとの交渉についてコメントしなかった。
ホンダがメルセデスのアドバイスを受けることに対し、レッドブルが反対の姿勢を示唆しているように、ライバルたちから反発が出る可能性がある。
エンジンに関して知的財産権の移転が行われる可能性があるなら、それはチームがライバルのシャシーを使用することと同じぐらいよくないことであるとも考えられるからだ。
しかしホンダとメルセデスがコンサルタント契約を結ぶ場合、他チームの同意を得る必要はなく、両者が合意に達しさえすれば即、実行に移すことができる。
ホンダがライバルたちとのギャップを縮められずにいるため、エンジンパフォーマンスの均衡化を目指すFIAが規則を変更してホンダのアシストをするという提案をするとの説も出ているが、正式な話し合いはまだ行われていない。