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アイドルは“女優”としてどう輝く? AKB 渡辺麻友、乃木坂 白石麻衣らの活動から考察

2017年04月25日 18:13  リアルサウンド

リアルサウンド

乃木坂46『インフルエンサー』TYPE-A

「アイドルって冠は一生消えないし、消す必要がない」


 AKB48の結成10周年を記念した書籍『涙は句読点~普通の女の子たちが国民的アイドルになるまで~AKB48公式10年史』(日刊スポーツ新聞社)の中で、前田敦子がアイドルを経た女優人生について語った一言だ。この考え方は、AKB48卒業後、アイドルというキャリアをどう連れて生きていけばいいのか、ポジションに迷った彼女が、小泉今日子や元キャンディーズの伊藤蘭など、先輩アイドルの未だ衰えぬ舞台での輝きから学んだのだという。


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 先日、Rev.from DVLの解散後、橋本環奈が女優業一本で活動することに躊躇していると回答していた。映画『セーラー服と機関銃 - 卒業 -』や『ハルチカ』で主演を務め、これから『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』といった話題作にも出演する彼女でさえも今後の進路に迷うことがあるのは、アイドルからの女優という道がどれだけ険しいものなのかを物語っている。ドラマ『カルテット』(TBS系)で好演を見せた満島ひかりでさえも、注目を浴びる度にFolder5時代まで遡って紹介されたりする。今秋放送予定の朝の連続テレビ小説『わろてんか』(NHK総合)でヒロインを務める葵わかなにおいても、乙女新党に所属していたことがフィーチャーされることを今から想像する。


 朝ドラと言えば、『べっぴんさん』(NHK総合)で小澤良子を演じた、ももいろクローバーZの百田夏菜子が記憶に新しいところ。映画『幕が上がる』にはグループ5人で出演していたが、単独でのドラマ出演はこれが初めてだった。手芸倶楽部のムードメーカー、戦後の子を持つ母親という難しい役どころを演じ、女優としても開花したように思える。「アイドル映画」「アイドルドラマ」と言われる枠の外で、どれだけ異彩を放つことができるか。それは、バイプレーヤーに徹した百田への高い評価が証明している。


 ドラマタイトルを巡る報道で何かと話題の『サヨナラ、えなりくん』(テレビ朝日系)の主演を務めるのは、AKB48の渡辺麻友。まゆゆの愛称で知られる通り、清純派アイドルのパブリックイメージが強い彼女が、今回演じるのは“黒い女”。ドラマスタートを前にすでにCMが公開されているが、豹変した後の腹黒い役柄が際立っている。渡辺の公式コメントには、「この作品を私のターニングポイントにする意気込みで」とあるが、“まゆゆ”のイメージを脱却した彼女にとっての新境地の作品となるのではないだろうか。


 乃木坂46のメンバーが、舞台と映画の2つで主役を務める『あさひなぐ』。『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)では、白石麻衣の「私、ずっとこのお仕事してるつもりないので」という言葉も話題になったが、多忙を極めるスケジュールの中で行われている映画収録では、張り詰めた緊張感の中で演技をしているのが画面越しからでも伝わってくる。現時点で西野七瀬、白石麻衣以外の出演者は発表になっていないが、メインキャストを乃木坂46が務めるのはドラマ『初森ベマーズ』(テレビ東京系)以来。映画『闇金ウシジマくん Part3』に出演していた白石は、経験値としては一つ上とも言える。


 アイドルという一生消えない“冠”を被りながら、どのように女優としての芽を出すことができるか。その演技の輝きや考え方によって、自ずとセカンドキャリアが見えてくるのかもしれない。(渡辺彰浩)