トヨタの若手ラリードライバー育成プログラム、『TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム』に参加している新井大輝、勝田貴元は4月21~22日、フランス・ラリー選手権第2戦リヨン・シャルボニエール=レ=バン・ローヌに参戦した。
リヨン・シャルボニエール=レ=バン・ローヌは、1950年に初開催された歴史あるターマック(舗装路)イベント。例年ほぼ同じコースが使用されているため、出場回数や経験値が勝敗を左右する1戦だ。
2017年大会は、全13SS、走行距離226.78キロで争われた。デイ1とデイ2でコース特性が大きく変わるため、ドライバーたちには2日間の路面コンディションや道幅などを考慮したタイヤ戦略や、マシンセッティングが要求される。
なお、今大会ではSSのスタート直前にコースを下見し、ドライバーたちにペースノートの修正などを進言する“セーフティクルー”の参加が認められているため、新井のセーフティクルーを育成プログラム講師のヨウニ・アンプヤが、勝田のセーフティクルーをヤルッコ・ニカラ/足立さやか組が務めている。
新井と勝田の両名は、前回参加したイタリア・ラリー選手権第2戦と同様、フォード・フィエスタR2でエントリー。しかし、イタリアラリーとは路面のキャラクターが異なるため、新たな挑戦となった。
現地21日のデイ1、勝田はSS2でスローパンクチャーがありクラス20番手まで後退したものの、SS3からは着実な走りでクラス14番手まで挽回に成功する。新井はミスのない安定した走りでクラス11番手だった。
迎えたデイ2はハイスピードでテクニカルなコース設定。サーキットレース出身の勝田は、得意のターマックで速さをみせ8SS中5SSでクラストップタイムを記録。最終的にクラストップと1分26秒4差のクラス6位/総合17位までポジションを上げてみせた。
チームメイトの新井も安定したペースで徐々にポジションを上げていたが、終盤のSS11で右フロントのサスペンションにトラブルが発生。以降はタイムが伸び悩んだものの、勝田と12.1秒差のクラス8位/総合23位でフィニッシュしている。
■次戦は今季2度目のWRCを見据えたポルトガル国内戦
ここ2戦、不運によるデイリタイアが続いていた勝田は「今回はR2車両で走る最後のターマックラリーということもあり、前戦の反省を踏まえて挑みました」と振り返る。
「しかし、SS2のゴールまで残り5kmというところで原因不明のスローパンクチャーとなり、翌日は下位からスタートする形となってしまいました」
「それでも、マルコの協力もあって自分を立て直し、残りのSSを攻めることができました。レッキではフランスの路面の捉え方もまた新しい経験となり、経験値を増やすことができました」
「次戦はR5車両でのグラベルラリーとなりますが、ここで得た経験が必ず役に立つと思います」
新井も「クルマのセッティング、タイヤ選択、すべてにおいて難しいラリーでした。それでも大きくずれずに選択できたと思っています」と手応えを語った。
「適切なブレーキングポイントを掴むのがとても難しかったですが、今後に向けて、ペースノートをより改善する方法が見いだせました」
「気持ちを切り替え、次のラリーに挑みます」
新井と勝田が挑む次なる戦いは、5月5~6日に行われるポルトガルで行われるグラベル(未舗装路)イベントのアマランテ・ラリー。
5月18~21日に行われるWRC世界ラリー選手権第6戦ポルトガルに参戦する両名にとっては、ラリー・ポルトガルを見据えたシェイクダウンを兼ねた戦いとなる。