トーマツイノベーションは4月24日、2017年度入社の新入社員のキャリアに関するアンケート調査結果を発表した。調査は4月4日~14日、同社開催の新入社員研修受講者4799人を対象に自記式のアンケートで行った。
将来的に「管理職」になりたいという新入社員は23%
同社は2014年から毎年このアンケートを実施。この3年間で新入社員が理想の上司に「リーダーシップ」を選択しなくなっている傾向があると分かった。
2014年度の理想のリーダー像は「リーダーシップを抜群に発揮して部下を引っ張る」(46.1%)というものだったが、今年は当時と比べ10.2ポイント減少。35.9%しかいなかった。
一方、今年最も回答が多かったのは「プライベートのことも相談に乗ってくれる上司」(38.7%)、次いで「優しく指導をする上司」(36.4%)と部下に寄り添うことができる上司を求める傾向があることが分かった。学生がイメージする「リーダー像」そのものが変化してきているようだ。
また将来会社でどういう役割を担いたいかを聞くと、「管理職」は23.9%(昨年比0.8ポイント減)、「専門家」は34.4%(同2.2ポイント減)と減少していることも分かった。これらの回答をした人に理由を聞いてみると「管理職になりたい理由がわからない」は4.7%(同3.8ポイント増)、「専門家になりたい理由がわからない」は3.6%(同3.0ポイント増)となっている。
加えて「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」が21.2%(同1.8ポイント増)、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」が19.9%(同1.0ポイント増)と増加しており、「今後のキャリアについて、はっきり考えていない」「考えてはいるが、理由は不透明」という人が増えていると考えられる。
3年連続で「定時で帰りたい」が増加
さらに「今の会社で働き続けたい」と答えた新入社員も2年連続で減少している。これに付随して「そのうち転職したい」という回答が去年と比べて4.0ポイント増加し、15.2%に。性別で見ると男性は15.4%(昨年比4.7ポイント増)、女性は15.0%(同2.9ポイント増)となっている。
また女性の回答者からは「家庭に入りたい」という回答が昨年から5.4ポイント増える結果となった。昨年の就職活動が「学生が就職先を選ぶ」という比較的売り手市場であったことを受け、社会人になった後も「転職する」「家庭に入る」などの選択肢を残したまま、自身のキャリアを柔軟に捉えている人が多いと考えられる。
今後1~3年間の会社での労働時間については「定時に帰りたい」と答えた人の割合が3年連続で増加し、今年は37.9%(昨年比5.7ポイント増)となった。それに伴い「仕事・成長のためにできるだけたくさん働きたい」という人は13.6%(同5.1ポイント減)となっている。
ちなみに20代の時間の使い方として「プライベート優先」「仕事とプライベート優先」「自己投資とプライベート優先」と答えた人の割合の合計は昨年と比べて8.3ポイント増加となっている。これはワーク・ライフ・バランスや「働き方改革」に対する意識が学生にも浸透してきているようだ。