4月23日(日)決勝レース
MORIWAKI MOTUL RACINGの初戦はリタイア。しかしマシン開発は確実に進化している。
全日本ロードレース第2戦『NGKスパークプラグ SUZUKA 2&4 RACE』決勝レースが開催された。前日転倒したマシンはメカニックとチームスタッフ総出で懸命な修理を行った結果、朝のウォームアップ走行で2分7秒704の3番手タイムをたたき出し、マシンを完全に復活させた。
そして迎えた決勝レース。スタートライダーは清成龍一が努める。転倒の影響で腰部に痛みが残るもののいざバイクに跨がるとその傷みも感じないほどにレースに集中できたという清成は、ルマン式スタートで13番手から7番手にジャンプアップして第1コーナーに進入する。
東コースでひとつ順位を上げて6番手でヘアピンを立ち上がり西コースへ進入、前を走るマシンを追い上げようとした矢先のスプーンカーブ立ち上がりで接触転倒を喫してしまう。
マシンはタテ回転しながらコースを横断するほどの激しい転倒。清成はすぐにコースサイドに非難して大事には至らなかった。残念ながらそのままリタイアとなった。
新生MORIWAKI MOTUL RACINGの開幕戦はオープニングラップで終了、鈴鹿8耐のトライアウトも通過することができなかった。
しかしこのレースウィークで貴重なマシン開発データの収集をすることができたし、経験豊富な高橋と清成の二人のライダーの相乗効果でマシン開発の速度と精度は確実に向上するはずである。
チームとライダーふたりは気持ちを切り替え、開幕戦で見えた課題解決に向けて動き出している。
高橋選手コメント
「新型CBR1000RRになってから限られた時間のなかでマシンのセッティングを詰めてきましたが、昨日の予選でその歯車が狂いかけたのですがチームが見事なまでにマシンを修復してくれて、今朝のウォームアップで3番手タイムをたたき出せるほど転倒前の状態にキッチリと戻してくれました」
「電子制御部品が多い新型マシンは走らせれば走らせるほどデータの収集ができて走りやすくなってきています。そう言う意味では貴重なサーキットでの実証データが得られたレースウィークでした」
「そのなかで清成選手が確実にタイムアップを果たしてチームの士気を高めてくれました。最後は接触転倒という残念な結果でしたが内容としては順調に推移してきたと感じています。何よりあの転倒で大事に至らなかったことが不幸中の幸いでした」
「電子制御は限りなくいろんなことができるのですが、まだそのポテンシャルを完全に引き出せていないのが現状です。しかしその中でも周りと比べて少し良い位置にいられると言うのは今後に向けてプラス材料だと思います」
「今回収集した大切なデータをきちんと繋げて次戦SUGOに向けて前進したいと思います」
清成選手コメント
「あれだけの転倒をしたにも拘わらずカラダのほうは少し首が痛む程度で済んでいます。しかし、レースでは一周目のホームストレートも通過できずに終わってしまったことにより、モリワキを応援してくださるたくさんのファンの方々、チームスポンサー様、関係者様、チームスタッフ・メカニック、そして相方の(高橋)裕紀にがっかりさせてしまったことを大変申し訳なく思っています」
「また、自分のせいでペースカーが入ってしまい、バイクレースを楽しみに観に来てくださったお客様にもダラダラとしたレース展開を見せてしまいました」
「転倒したのは非常に危険な場所でした、バイクが他車にぶつかることなく二次災害が起きなかったこと、そして自分も他車にひかれなかったことが不幸中の幸いでした」
「昨日転倒したマシンをチームが本当に一生懸命修復してくれて、今朝のウォームアップ走行では3番手タイムを出せるほどに仕上げてくれました。予選タイムを上げる、みたいな特別なことをしていたわけでなくトライアウトを通過することだけに集中して普通に走ってあのタイム、さらに裕紀が乗ってもタイムが出たので仕上がりはかなり良かっただけに今回の転倒リタイアは非常に残念で悔しいです」
「ですがある意味、これで悪いツキを全て落としたと考えて、次戦SUGOに向けて気持ちを切り替えて自分達がやるべきことをやって前進したいと思います。
森脇緑のコメント
「高橋裕紀、清成龍一の2人のライダー、2台体制、新型マシン、ピレリタイヤ、とすべてがまったく新しい体制のなかで迎えた初戦が、全日本ロードレース開幕戦、鈴鹿8耐トライアウト、というライダーにとって非常に重圧がかかるレースでした」
「その結果が転倒リタイアというのは残念ではありますが、マシンのポテンシャルを確認することができたので周りが考えているほどシリアスではないと思っています。清成は13年ぶりに全日本を走る、そして8耐に出るにはトライアウトというテストを受けなくてはならないなど、かなりの重圧が彼の肩にのしかかっていました」
「高橋も清成という良い意味での強敵が出現して今までとは違う緊張感が生まれています。それだけのプレッシャーのなかで迎えたトライアウトで『絶対に通過する』、つまり無難に走ることでその目的はクリアできたかもしれませんが、二人とも予選タイムを上げる、レースで良い成績を残す、というレーシングライダーとしてさらなる高みを目指して気持ちを高揚させて挑んだ結果が転倒であるならそれはある程度仕方ないと思っています」
「ただし、逆に今度はライダーが余計に重圧を感じるかもしれないので、そこはチームとして『ライダーひとりではない、チーム全員で闘っているんだ』ということを彼らが実感できるように、そしてライダーが安心して、もしくは気持ち良く走れるような環境作りをするのが私達の役目だと思っています」
「次戦SUGOはもちろん、鈴鹿8耐に向けてライダーとチームスタッフが一丸となって闘っていけるように最善の努力をするつもりです」