ポルトガル・ポルタリグレで開催されたWorldRX世界ラリークロス選手権第2戦は、開幕戦勝者のマティアス・エクストローム(アウディS1 EKS RXクワトロ)が、元WRC世界ラリー選手権王者セバスチャン・ローブ(プジョー208WRX)との激しいバトルを制し2連勝。今季からアウディスポーツのワークスチームとなったチームEKSとともに、シリーズ連覇に向け選手権首位を堅持した。
昨年は開幕戦として開催されたポルトガル戦は、今季も22台のスーパーカーがエントリー。予選から速さを見せたのは、チームEKSに加えて、こちらも今季からワークスへと昇格したPSRXフォルクスワーゲンRXチーム・スウェーデンのペター・ソルベルグ、ヨハン・クリストファーソンのフォルクスワーゲン・ポロGTIスーパーカーと、チーム・プジョー-ハンセンのローブ、ティミー・ハンセンのふたり。
Q1、Q2ではクリストファーソン、ソルベルグのポロGTIが連続でのワン・ツーを決め早々に準決勝進出を決めると、Q3では最速のペターをEKSのエクストローム、レニス・ニテッシュのアウディS1が包囲。Q4ではそこに北米勢のフーニガン・ディビジョン、アンドレアス・バッケルドとケン・ブロックのフォード・フォーカスRS RXスーパーカー2台とローブが絡み、セミファイナルからの激戦が予想された。
6台×2ヒートで行われた準決勝では、セミファイナル1をPSRX勢が席巻。セミファイナル2はエクストロームが制し、その背後にローブ、ハンセンのプジョー208WRXスーパーカーが続いた。
これでファイナル進出はエクストローム、ニテッシュのアウディS1 EXS RXクワトロに、ソルベルグ、クリストファーソンのポロGTI RX、そしてローブ、ハンセンのプジョー2台となり、全車ワークスカー対決が実現することとなった。
迎えたファイナル。抜群の反応でスタートダッシュを決めたのは、クワトロの名にかけてもトラクションで負けられないアウディのエクストローム。
「今回のイベントはラリークロスの勝利のなかでも、もっとも厳しい戦いだった」と振り返ったエクストロームは、その後は背後につけた9度のWRC王者のドライビングに防戦一方の展開。ローブもエクストロームからミスを引き出そうと、あらゆる仕掛けで誘う動きを見せる。
「最終ラップでは空腹のフランス人(セバスチャン・ローブ)がバンパーを食べようとしてきたけど、彼はファイターの前に公正なレーサーだ。僕は(ポジションを)守ることができたし、とても楽しい戦いだった」とエクストローム。
対するローブも、そのコメントに呼応するかのように決勝の充実したバトルを振り返った。
「素晴らしい決勝だった。マティアス(・エクストローム)がいくつかミスを犯したので、そこで近づこうとトライし、最後まで横並びのバトルができたけど、オーバーテイクをするにはさらなるリスクが必要だった。マティアスの言うように僕はフェアであることが信条だから、今日は彼が勝利に値するよ」
続く3位に入ったのは、Q3ではスポッターとの連携ミスでジョーカーラップが未消化となり30秒ペナルティを受け、Q4でも敗退となっていたクリストファーソンのポロGTI RX。
「決勝は状況を改善できて良かった。本当はペター(・ソルベルグ)の背後にとどまる作戦だったけど、彼の左リヤタイヤが不運にもスローパンクチャーを起こしたので、3周目にパスした。つまり、僕に残されたのは3周だけだったけど、ティミー(・ハンセン)を仕留められて良かった」
「僕らはバルセロナ以来、マシンに改良も施してきたし、このイベントでフォルクスワーゲンにシーズン初の表彰台をプレゼントできたことはうれしいよ」
これで選手権ポイントは首位エクストロームが58ポイントとなり、14ポイント差でクリストファーソン。3位にソルベルグとPSRX勢が続いている。
次戦第3戦は5月5~7日のドイツ・ホッケンハイムとなり、エクストロームは同地で開催されるDTMドイツ・ツーリングカー選手権との“ダブルエントリー”を予定している。