映画『彼女の人生は間違いじゃない』が、7月15日から東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開される。
同作は『ヴァイブレータ』『さよなら歌舞伎町』などの廣木隆一が、自身の同名小説を映画化した作品。東日本大震災で母を亡くし、役所に勤めながら福島の仮設住宅で父と二人暮らしをしている主人公・みゆきが、週末ごとに東京・渋谷の風俗店にアルバイトに出かける様子や、みゆきの周囲の人々の姿を描く。なお同作はR-15指定となる。
みゆき役を演じるのは瀧内公美。共演者には光石研、高良健吾、柄本時生らが名を連ねている。瀧内は震災を踏まえた同作の内容について、「私は福島出身ではありません。その私がこの題材を表現することが出来るのか、緊張して棒人間になっていた私に、『これは福島だけの話じゃない』と言ってくださった廣木監督の言葉が、私を前に向かせてくれました」とコメント。廣木監督は制作意図について「今を生きている僕らの映画にしたかった。大げさに何かを言うのではなく、何かを伝えられる映画というものを信じるための映画にしたかった」と述べている。
■瀧内公美のコメント
この作品に参加できて、感謝と共に実りある時間を過ごせました。今でも撮影していた時の事を思い出すと、溢れそうな想いに胸がいっぱいになります。私は福島出身ではありません。その私がこの題材を表現することが出来るのか、緊張して棒人間になっていた私に、「これは福島だけの話じゃない」と言ってくださった廣木監督の言葉が、私を前に向かせてくれました。廣木監督が描く本や言葉、眼差しはいつだって優しくて、本当の優しさや想いが映画にたくさん詰まっていると思います。その想いを感じながらも、本に描かれていることを表現することは難しくて、今の福島を見て聞いて感じて、撮影中、ずっと心が止まったり動いたり、無になったり、感じる事をやめたくなったり、いろんな想いがいっぱい生まれました。私は、本当に不器用な人間です。でも、伝えるのが下手でも手を差し伸べてくれる人が世の中にいて、廣木監督がいて、スタッフの方々がいて、その優しさや想いが映画になって、観てくださる皆様へ届けられたら、何か感じていただけたらなと思います。
■廣木隆一監督のコメント
朝起きて何気ない毎日が始まることと思っていた。5年と言う歳月はあっという間に過ぎていく。そんな時代に産まれた僕らの記憶と記録。今を生きている僕らの映画にしたかった。大げさに何かを言うのではなく、何かを伝えられる映画というものを信じるための映画にしたかった。ただ、その地に行って撮影して帰ってくるのではなく、その地に立って感じたことを全て描き切ること。ここには正直に向き合ったキャスト、スタッフの姿があるはずです。そして、それは『彼女』の人生の一部かもしれないが、今でも『彼女』はその一部の人生を生きているのだと確信できる映画になってくれたらと思います。劇場でその瞬間に立ち会ってもらえたら嬉しいです。