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TOYOTA GAZOO Racing 2017スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 レースレポート

2017年04月24日 12:32  AUTOSPORT web

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TOYOTA GAZOO Racing スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 レースレポート
2017年4月24日
トヨタ自動車

2017年全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦 鈴鹿
・中嶋一貴が完璧なポール・トゥ・ウィンで開幕戦勝利
・ディフェンディングチャンピオン国本が3位表彰台

 スーパーフォーミュラの開幕戦が鈴鹿サーキットで行われ、ポールポジションからスタートした中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)が、一度も首位の座を譲ることのない横綱相撲でポール・トゥ・ウィン。完璧なレースで開幕戦を制した。ディフェンディングチャンピオンの国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が3位表彰台を獲得した。

 4月21日(金)から23日(日)にかけて、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラの開幕戦「鈴鹿2&4レース」が開催された。

 トヨタはこのスーパーフォーミュラが新規定となった2014年から「トヨタRI4A」エンジンを供給。以来、3年連続でチャンピオンを獲得してきた。今年は更に開発を進めたトヨタRI4Aエンジンを6チーム11台に供給。4年連続チャンピオンを目指す。

 今大会は総距離200kmとやや短めの設定だが、最低1本以上のタイヤ交換が義務づけられ、戦略的にも注目の集まる一戦となった。

予選
 22日(土)は朝から好天に恵まれ、風は強いものの暖かな日差しの下、気温22度、路面温度33度というコンディションで午後2時からQ1(20分)が開始された。

 まずは各車中古タイヤで一斉にコースインし、一旦タイムを出してピットイン。この時点で、上位18台が1秒以内、3番手から12番手まで、10台がコンマ2秒以内に入るという、今年も僅差の予選を予想させる幕開けとなった。

 全車新品タイヤへと交換し、残り7分を切るあたりから再コースイン。中嶋一貴が好タイムでトップに立つと、2番手は目まぐるしく順位が入れ替わる展開に。

 各車セッション終盤へ向けタイムを更新していく中、チェッカー目前のアタックに入ったフェリックス・ローゼンクビスト(SUNOCO TEAM LEMANS)が1コーナーでコースアウトを喫し、タイヤバリアにクラッシュ。

 ローゼンクビストは前半に出したタイムにより15番手につけたが、惜しくもQ2進出ならず。F3マカオGP2連勝という経歴をひっさげての注目のルーキー、ローゼンクビストだったが、初戦から洗礼を受ける形となってしまった。

 同じくルーキーで、全日本F3チャンピオンとして今季からステップアップした山下健太(KONDO RACING)もタイム更新ならず、17番手でグリッド確定となった。

 また、チーム移籍で気分一新となった小林可夢偉(KCMG)は、ギアシフト系のトラブルに見舞われながらもまずまずのタイムを刻んでいたが、アタックラップ終盤に燃料系にもトラブルが発生し、アタックを中断。18番手で予選を終えることとなった。

 Q2(7分間)は午後2時30分に開始。セッションスタート前から各車ピットレーンで待機し、コースイン後はお互いに前車との空間を伺いながらのアタックが開始された。

 まず石浦 宏明(P.MU/CERUMO・INGING)がトップに立つと、チームメイトの国本がこれを塗り替え、Q2はセルモ・インギング勢が1―2に。Q1でトップと快調な中嶋一貴が3番手で続いた。

 Q1で中嶋一貴に続くタイムをマークしていた関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は、デグナーでスピンを喫しながらもかろうじて8番手に入り、Q3進出。

 一方、この8番手関口とは僅かコンマ2秒ほどの差で、ルーキーのヤン・マーデンボロー(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と久しぶりのスーパーフォーミュラ復帰となった大嶋 和也(SUNOCO TEAM LEMANS)は共にこれまでのコースレコードを更新するタイムをマークしながら12,13番手でQ3進出ならず。

 同じくルーキーながらQ2進出を果たしたニック・キャシディ(KONDO RACING)もタイムを伸ばせず、14番手でグリッド確定となった。

 午後2時47分に開始されたQ3(7分間)では、国本が1分35秒997と、今大会の予選で初めて35秒台に入れたが、直後に中嶋一貴が更にタイムを詰め35秒907をマーク。このタイムを破るものは現れず、中嶋一貴が従来のレコードを1秒以上更新する新コースレコードで、自身通算5度目となるポールポジションを獲得。0.09秒という僅差で国本は2番手。トヨタエンジンが最前列グリッドに並ぶこととなった。

 午前中のフリー走行で非公式ながら35秒台をマークしていた石浦はトップと0.111秒差で4番手。関口が6番手、これまでのコースレコードホルダーであったアンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S)は7番手から明日の決勝に臨むこととなった。

決勝
 4月23日(日)の鈴鹿サーキットは、雲一つ無い好天に恵まれ、気温23度、路面温度37度というコンディションで、午後1時40分から35周(203km)で競われる決勝レースのスタートが切られた。

 ポールポジションの中嶋一貴は若干スタートで遅れたように見えたが、トヨタエンジンのパワーを活かし、首位の座をキープして1コーナーへ。一方で、最前列2番手に並んでいた国本は、3位へとひとつポジションを落としてしまった。

 後方勢は、得意のダッシュで7番手グリッドから5位へとジャンプアップしたロッテラーを先頭に、1周目終了時点から次々にピットイン。関口、ローゼンクビスト、キャシディらもこれに続いた。

 2周目終了時点で4位の石浦、3周目終了時点では3位の国本もピットへ。給油と、タイヤ一本交換でコースに復帰した。

 これで、ピットインしていないのは首位の中嶋一貴とそれを追う山本 尚貴(TEAM MUGEN)を含めた6台に。18番手からジャンプアップした小林可夢偉と、13番手スタートの大嶋和也もピットに入らず、それぞれ5位、6位へと順位を上げ前を追った。

 首位を行く中嶋一貴は2位の山本をじりじりと引き離して行き、9周目にはその差は3秒以上と独走態勢に入った。

 後方では、12周終了時に小林がピットへ向かい、11位でコースへ復帰。昨年のGP2チャンピオンとして注目を集めるピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)との激しい10位争いの末に、19周目のシケインでこれをパス。10位へ浮上した。

 21周目、ピットを引っ張り、3位までポジションを上げていた大嶋がスプーンコーナーでスピン。そのままコース上に車両を停めたためにセーフティカーが導入された。

 この時点でピットインしていなかった上位2台は、このタイミングでピットへ。中嶋一貴もライバル同様タイヤ一本交換作戦を採り、首位のままコースへと復帰した。

 27周目にセーフティカーが退きレース再開。首位の中嶋一貴はここでも好ダッシュを決め、1周1秒のペースで後続を引き離していった。

 上位4台がそれぞれ間隔を置いて周回を重ねる中、その後方では、5位のロッテラーに、タイヤを4本交換したばかりのライバルが迫り、また、9位へと順位を上げた小林が、ポイント獲得をかけて激しく前車を攻めるなど、各所でテール・トゥ・ノーズの接近戦が最後まで続き、観客を沸かせた。

 中嶋一貴は、最終的に2位に5秒以上もの大差をつけ、独走でトップチェッカー。金曜日の練習走行から、ほとんどのセッションでトップタイムをマークするなど、圧倒的な速さで週末を支配し、自身スーパーフォーミュラでは2015年第5戦オートポリス以来、通算9勝目をポール・トゥ・ウィンで飾った。中嶋一貴にとっては、前週のWEC第1戦シルバーストーン6時間レースに続き、2週連続の勝利となった。

 国本は一時石浦に迫られるなど厳しいレースとなったが、3位を守り切って表彰台フィニッシュを果たした。石浦が4位、ロッテラーが5位。小林は最後まで前車を攻めたが惜しくも逆転ならず、9位でチェッカーを受けた。


VANTELIN TEAM TOM’S 37号車 ドライバー 中嶋一貴:
「ほっとしたというのが一言目だ。去年も勝てるチャンスはあったが、自分のミスなどで逃して少し優勝から離れていたので、実際に勝つまでは安心出来なかった。贅沢な悩みではあるが、クルマの調子が本当に良かったので、それが逆にプレッシャーになった部分もある」

「レースの内容としては、スタートでちょっとストールしかけて危なかったが、トヨタエンジンのパワーのおかげで何とか首位をキープすることが出来た。その後は後続の追い上げもあり、決して楽はさせてもらえなかったが、しっかりと良いペースで走れて、タイヤ交換のタイミングも交換後のバランスも良かった」

「最後まで気持ちよく走ることが出来たので、内容としては100点のレースが出来たかなと思う」

P.MU/CERUMO・INGING 1号車 ドライバー 国本雄資:
「全体的にちょっと上手く行かないレースだった。スタートで抜かれてしまったし、その後も車のバランスがあまり良くなくてペースが上がらなかった。朝から不具合があり、それを色々アジャストしてレースに臨んだが、改善されず、厳しい戦いを強いられた」

「難しいタイミングだったピットで抜かれることはなかったが、全体的にペースもあまり良くなかったし、前の2台に離されて、すごく厳しいレースだった。ただ、シーズンを考えれば3位というのは悪くない結果だ」