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「僕はディフェンスは好きじゃない」。ガスリーがスーパーフォーミュラ決勝で得たもの

2017年04月23日 23:22  AUTOSPORT web

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予選Q3のセクター3でミスし、そこから歯車が狂ったガスリー。それでもさすがと言える見せ場は作った
注目新人ピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)のスーパーフォーミュラ初戦は、決勝10位という結果に終わった。開幕前のテストでは自他ともに好印象を抱くことができる順位と内容だっただけに、これは残念な結果と言わざるを得ないところだ。レース後のガスリーは苦闘を振り返りつつ、次戦での巻き返しを睨んでいた。

「金曜の練習走行から、とにかく難しいウイークエンドだった。予選ではマシンの状態に前進も見られたと思うけど、今日はフロントもリヤもグリップに悩むことになったし、ダウンシフトに問題を抱えてもいた。思ったようにマシンを走らせることができなかったよ。厳しい状況のなかでも最大限の結果を得るために走る、今回はそういうレースになってしまったね」

 スタートダッシュは良かった。8番グリッドから2ポジションアップに成功して6番手へ。苦闘のなか、これは本人も「今日のレースでポジティブに感じられた要素のひとつがスタートだった」と認めるところである。

 そしてピットからのコールに応じて2周終了時にピットインしてタイヤ交換義務を消化。右フロント1輪交換+給油で4秒弱静止の作業は順調にチームがこなしてくれた。だが、結果的には1周目にピットしていた中嶋大祐(TCS NAKAJIMA RACING)に前に出られてしまうなど、戦略面もうまく機能したとは言い難い展開に陥ってしまい、マシンの状態にも悩みつつ苦戦していくことに。

 TEAM MUGENの手塚長孝監督も、「今回のピエールに関してはマシンのバランスも満足いくものではなかったですし、作戦的にもうまく運んでやれなかったと思います」と振り返るところである。

 小林可夢偉(KCMG)やフェリックス・ローゼンクビスト(SUNOCO TEAM LEMANS)と好バトルを演じるシーンもあった。どちらも「いいバトルではあった」とガスリー本人は振り返りつつも、特に終盤、ローゼンクビストの猛攻から10位を守った戦いについては「僕は本来、ディフェンスするバトルは好きじゃない。攻める方でいたいし、今度はもっと前で戦いたい」と、不本意な位置と境遇での戦いを残念そうに述懐する。

 ただ、ガスリーは決して悲観してはいない。

「スーパーフォーミュラには速いドライバーがたくさんいて、簡単な選手権でないことはテストの前から分かっていたことだ。今日はこういう厳しい状態でも、なんとかトップ10でフィニッシュすることはできた。テストでは安定してトップ5に入れていたわけで、トラブルが出たりしなければトップ5で戦うことはできたと思うし、早くトップ3で戦えるようにしたい。今回のデータを見て、次の岡山までには時間もあるので、しっかりマシンの改善をしていきたいと思う。今回学んだことを活かしたい」

 第2戦岡山は5週間後。とはいえ、レッドブルF1のテストドライバーでもあるガスリーはこの後も、「フランスに1日だけ居て、そのあとはソチ(F1ロシアGP)だ。オーストリアGPにも行ったりしなければならないね」という生活サイクルになる。移動との戦いも、やはり課題になってきそうだ。

 次なる実戦舞台は岡山国際サーキットになる。

「シミュレーターで何周かした。低速コーナーが多くて難しそうだし、鈴鹿とはコースのキャラクターがかなり違うよね。異なるフィロソフィー(哲学)が必要だと思う」と岡山のコース印象に触れ、「とにかくこれから今週末に起きた出来事を解析して、岡山でいい走りをするためにすべてをフォーカスしていく」との決意をガスリーは語る。

 GP2の先輩王者であるストフェル・バンドーンに続くスーパーフォーミュラでのデビュー戦表彰台はならなかったが、テストで発揮した輝きを再び見せるため、ガスリーの視線は1カ月と少し先の岡山ラウンドを見据えている。土日個別2レース制という特殊フォーマットのなかでの挽回はなるか。大器ガスリーの走りから次戦も目が離せない。