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王者ヤマハに起こったまさかのアクシデント。タイヤの変化に「用心したほうがよかった」と吉川監督

2017年04月23日 21:22  AUTOSPORT web

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中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)
全日本ロードレース選手権JSB1000クラスの初戦となる第2戦鈴鹿で、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームの中須賀克行と野左根航汰がまさかのリタイヤ。そのとき何が起こっていたのか。チーム監督を務める吉川和多留監督に状況を聞いた。

 決勝レースでは、序盤にモリワキMOTULレーシングの清成龍一が130R手前で転倒を喫したため、セーフティカー(SC)が導入。SC先導で周回を重ねていく中、3番手を走っていた中須賀がハイサイド転倒(吉川監督談)を喫するという、まさかの出来事が発生した。

 中須賀は転倒後、マシンをピットへ戻し、修復されたマシンで再びコースへと戻って行ったが、SC中の転倒でストップ&ゴーペナルティを科されてピットに戻ると、そのままレースを終えリタイヤとなった。

 そして、アクシデントはチームメイトの野左根にも起こった。

 野左根は、SCが解除されると後方から追い上げ、2番手まで浮上。22周目でピットインし、タイヤと給油を順調に済ませてコースに戻った。

 しかし、コースに戻ったその周にダンロップコーナーでハイサイド転倒(野左根)。JSB1000初戦でチャンピオンチームのライダーがダブルリタイヤという大波乱が起こった。

 レース後、ふたりが転倒した原因について吉川監督に聞いた。

「中須賀に関しては結構余裕を持っていましたし、レースは(ホンダの)高橋巧選手との戦いかなと思ったんですけどね」と苦い顔で語る吉川監督。

「タイヤが17インチになり、キャラクターが変わって落ちつていない状況だったので、もう少し用心したほうがよかったです」

 2017年シーズンのJSB1000クラスは使用するタイヤのサイズが16.5インチから17インチにレギュレーションが変更。この変化により、タイヤのグリップレベルがつかみきれず、レースウィーク中は多くのチームがタイヤの特性をつかむのに苦労しているようにみえた。

 吉川監督も「中須賀は、2日前もセーフティカーの後ろを走ってリスタートするときに転びそうになったと言っていました。なので、かなり用心して走ってもらった」とタイヤの変化に不安があったようだ。

「チームも、中須賀が選んだタイヤがウォームアップ性が悪いということを気にはしていましたが、普通に走れば中須賀ならうまく使えるので、半周も走れば暖まっていけるだろうと。しかし、レースではセーフティカーが入り、そのペースではタイヤが想像していた以上に冷えてグリップせず、ハイサイドで転倒したという感じです。去年までの16.5インチだと安定していましたし、選ぶタイヤも決まっていたので、初戦はもう少し用心するべきでしたね。ですが、条件はみんな一緒なので結果は結果ですね」

 野左根の転倒に関しては「野左根は2番手を走行していたので、ちょっとペースを抑えられなかったんだと思います。タイヤを換えたばかりで暖まっておらず、ダンロップコーナー先の路面の変化のあるところでフロントが滑ってハイサイド転倒という感じです」と語る吉川監督。表彰台圏内を走っていたという焦りもあったのかもしれない。

 開幕戦をダブルリタイアで終え、重苦しい開幕戦になってしまったチャンピオンチーム。だが、吉川監督は最後に「ウチはファクトリーチームなので、次戦からワンツーフィニッシュでいきますよ」と力強く次戦でのリベンジを誓った。

 なお、中須賀、野左根のふたりは、この転倒で大きなケガには至らなかったようだ。