バーニー・エクレストンは、F1のショーの質を保つためだったとはいえ、近年グランプリ開催会場に請求した開催料は高過ぎたことを認めた。
F1の商業面の責任者だったエクレストンは、バーレーンGPで久しぶりにパドックに姿を現した。オフシーズン中に行われたリバティ・メディアの買収で退任して以来、初めてのことである。
21世紀に入ってから、F1のカレンダーには新たな国を開催地とした新サーキットが多く追加されており、サキールのバーレーン・インターナショナル・サーキットもそのうちのひとつ。エクレストンは自分がこれらの会場に多額のグランプリ開催料を請求したことに対して、罪の意識を感じていると言う。
「ここや他のサーキットを建設するよう人々を説得したとき、私にはそうする責任があると感じていた。そして、私は我々が提供できるもの以上の金額を彼らに請求した」
「だから彼らが私に頼みごとがあるときは、助けるつもりだ。これはリバティとはなんの関係もない。私が見る限り、我々は請求した金額に値するショーを提供してこなかったのだから」
韓国GPやインドGPのように最近追加された会場が、比較的短命だった原因はそこにあると感じているかと聞かれると、エクレストンは「そうかもしれない。皆うまくやることができなかったんだ」と答えている。
エクレストンは近年、レース主催者との交渉をすべて自身で行なっていた。政府が出資しているグランプリに関しては、請求金額を減らさないかぎり開催できなくなるだろうと彼は考えている。
「全員にとって好ましい唯一の方法は、主催者が負担する開催料を大幅に減額することだ。私は商業的には有利な取引をいくつか行った。主催者はたくさんの金を払っているが、すべてとは言わずともそのほとんどが、収益をあげていない。まったく逆になっている」
「私が恐れているのは、そのうち主催者のバックにいる政府が、もうたくさんだと言って撤退を決めてしまうのではないかということだ。主催者が払う開催料を減らすことができればチケット代を下げることができ、より多くのチケットを販売できるようになる」
「ファンのことを考えたら、それが我々のすべきことだろう」
エクレストンは、F1の前オーナーであるCVCキャピタルパートナーズのために収益を生み出す必要があったことが、グランプリ契約で多額の開催料を請求する動機だったと語った。在任中に開催料を下げなかった理由について聞かれたエクレストンは、こう話す。
「やろうと思えばできたことだとわかっている。ただ、私は会社のために収益をあげようとしていて、それが私の仕事だったのだ」
マレーシアGPは今シーズンをもってF1開催から撤退することを発表した。エクレストンによると、シンガポールGPも同様の選択を下そうとしているところだという。マレーシアGPについては「選択肢はそれほど多くなかった。彼らは撤退を決めている」とエクレストンは話しており、シンガポールGPに関しては以下のように述べている。
「シンガポールについては、残るように説得した。契約条件を少し変更したんだ。彼らはまだ最終判断を下していないが、いまだ撤退するつもりでいるかもしれない」