2017年からWRC世界ラリー選手権に復帰参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRT。チームが挑む次の戦いは、4月27~30日にアルゼンチンで行われるグラベル(未舗装路)イベント、第5戦アルゼンティーナだ。トヨタは第3メキシコでの経験を活かし、チーム一丸で挑む。
ラリー・アルゼンティーナは、初秋を迎えた南半球に位置するアルゼンチンで行われる1戦で、グラベルラリーの魅力と難しさが凝縮されたイベントと呼ばれる。
競技が行われるSSはアルゼンチン中部のコルドバの南西から西北にかけたエリアに設定される。南西部の峡谷では砂のような柔らかい路面が、西部の山岳部では道幅が狭く、大きな岩に囲まれたコースが待ち受けるなど、日によってSSのキャラクターが大きく変化するのが特徴だ。
また、SSには川を渡る箇所やジャンピングスポットも多くあり、ファンにとってはラリーならではの迫力を楽しめる1戦と言える。
今年のラリー・アルゼンティーナは現地27日(木)の夜にコルドバ市街地で行われるスーパーSSを皮切りに、全18SSで構成。合計距離は357.59km、総走行距離は1417.98kmにも及ぶ。
今季、これまで4戦連続でポイントを獲得しているヤリ-マティ・ラトバラは、2014年にラリー・アルゼンティーナを制しているほか、昨年も大会2日目までトップを走行。チームメイトのユホ・ハンニネンもIRCインターコンチネンタル・ラリー・チャンレンジ時代の2010年に優勝した経験を持っている。
チームは、今年2度目のグラベルイベントに向けて、アルゼンチンと路面コンディションが近いイタリア・サルディニア島で事前テストを実施。複数のテストメニューをこなしてヤリスWRCのパフォーマンスをさらに高めている。
■マキネン「ラリー・メキシコで学んだことが役に立つはず」
TOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表、トミ・マキネンは「ラリー・メキシコを戦った時よりも力がついていると思うから、いい結果を狙いたい」と自信を覗かせた。
「冷涼な気候で行われるグラベルラリーのアルゼンチンは、私がドライバーだったとき、いつも素晴らしいイベントだと思っていた。今回も、さまざまな気象条件下での戦いとなるだろう」
「我々は(初のグラベルイベントだった)ラリー・メキシコで多くを学んだ。特に高い標高でのグラベル走行を経験したことは、同様の条件であるアルゼンチンを戦う上で役に立つはず。ここまで1戦ごとにクルマを良くしてきたから、アルゼンチンでは、さらに改良を進めることを目標に置いている」
現在、ドライバーズランキングでトップと13点差の2番手につけるラトバラは「事前テストでは、いくつか異なるセットアップを試すことができ、有効だった」と振り返る。
「特に、ラリー・メキシコではベストとはいえないフィーリングだったデファレンシャルに関しては、アルゼンチンに向けて入念にセッティング作業を行なって、改善できたよ」
ここ数戦、苦しい戦いが続いているハンニネンも「アルゼンチンは大好きなグラベルラリーのひとつ」と語ると、「何が起ころうと自然に、気負わないでドライブすることが大切。チームは、とても良い状態にあるから、僕も一緒になって前に進みたいと思う」と意気込んだ。