2017年からTCR規定を採用して新たなスタートを切るSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権。そのシーズン開幕を目前にして続々と有力ドライバー、チームの体制が確定している。
フォルクスワーゲン・スウェーデンのサポートを受けるクリストファーソン・モータースポーツ(KMS)は、フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRの新たなカラーリング・スキームを公開。ラリークロスなどでもおなじみのブルーとホワイトで彩られたマシンをドライブするのは、WorldRX世界ラリークロス選手権でPSRXからエントリーする2012年のSTCC王者ヨハン・クリストファーソンと、ルーキーのフレデリック・ブロムステッドのふたりだ。
そしてマシンカラー発表と前後して、チームは3台目のゴルフ追加を発表。あわせて大物ドライバーの獲得にも成功したと明かした。
そのドライバーとは、TTA規定のSTCCを含め3度のドライバーズタイトルを獲得してきたフレデリック・エクブロムで、ボルボのワークスチームであるポールスター・シアン・レーシングを離脱し、KMSに加入することが決まった。
移籍に際しては「チームへ多くのインプットをもたらしたいし、ポイント獲得で貢献できることを願っている」と語ったエクブロム。
現時点では開幕戦クヌットストープでの契約のみとなっているエクブロムだが、今季はエースのクリストファーソンがWorldRXとのカレンダー・バッティングの際に世界選手権を優先することになるため、その代役としてゴルフGTI TCRを走らせる可能性が高い。
■盛況のSTCC、17年は23台がグリッドに集う
KMSのチームオーナーであり、ヨハンの父でもあるトミー・クリストファーソンは、エクブロムの加入を歓迎し、チームとしてタイトル獲得への自信をみせた。
「フレデリックは長年我々とともに働いた経験を持つ男だ。彼がチームに加入できると分かったとき、すぐに電話をかけたよ。彼の経験と個性は、間違いなく(ドライバー候補者)リスト最上位の選択肢だ」
KMSに所属した2011年は選手権2位を獲得した46歳のエクブロムは、すでにマントープ・パークでのテストに参加。KMSのフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRのステアリングを握っている。
2012年のTTA/STCC分裂のシーズンに、TTAでタイトルも獲得、昨季はWTCC世界ツーリングカー選手権にも参戦したエクブロムは「昨年までのTTA規定を含め、近年でもっとも良い感触だ。僕らには新たな仕事の仕方が必要だったと思うし、我々はその地点に立っているんだ」と、新たなシーズンに向けての手応えを語った。
また、セアト・ディーラー・チームとして長年シリーズの名門として戦うPWRレーシングは、最後の1台となるレオンTCRのシートに38歳のベテラン、ダニエル・ハグロフの起用を発表。長年チームに在籍し共同経営者にも名を連ねるハグロフは、TCR規定の新車に好感触を得たようだ。
「STCCが長年にわたり成長を続け、人気のTCR規定に進出したことは素晴らしい気分だ。新しい前輪駆動のTCRマシンは僕のスタイルに完璧に合っているし、長い旅の後で家に帰ったような感覚だ。とにかくレオンTCRが本当に気に入ったよ」
これでPWRレーシングは、ポーカー・ウォーレンバーグJr.、ロバート・ダールグレン、ダニエル・ハグロフがセアトを、24歳の女性ドライバー、ミカエラ-アーレン・コチュリンスキーがアウディ・ジュニアチームとしてRS3 LMSをドライブする形となる。
そのほか、元メカニックで2015年のトロフェオ・アバルト欧州王者のニクラス・リリアが、スポーツ・プロモーションのホンダ・シビック・タイプRを、ルーベン・クレスナーがブロバリアン・デザインの新型アウディRS3 LMSを、そして2016年ジネッタGT5王者のアンドレアス・アンダーソンがLMSレーシングのセアト・レオンTCRをドライブすることが決定。
これで17年シーズンのSTCCには23台のマシンがグリッドに並ぶこととなった。