WRC世界ラリー選手権でワークスドライバーとして活躍したハリ・ロバンペラを父に持ち、幼少時からラリードライビングの英才教育を受けてきた“神童”カリ・ロバンペラが、今季のWRCデビューに向け意欲をみせている。
現在16歳のカリ・ロバンペラは、昨年のERCヨーロッパ・ラリー選手権にもエントリーし、毎戦選出される敢闘賞“コリン・マクレー・フラットアウト・トロフィー”を最年少で受賞。さらに旧型ではあるものの、すでにWRカーでイベントデビューも果たし、驚くべきスピードでWRCレギュラー陣と渡り合った実力の持ち主。
そんなカリは、例年WRCカレンダーの10月に組み込まれている母国フィンランドの超高速イベントにて“世界戦デビュー”を果たすことを「諦めていない」と語り、その類まれな才能によって、自国の運転免許制度の法的年齢制限を超える“特例”が実現する可能性も出てきている。
FIAの関係者によれば、WRCのスポーティングレギュレーション20.4.1条に「ラリーでは、両方の乗組員が有効な運転免許証を持っていなければならない」と規定されている。
R5規定マシンでの参戦を目指しているカリだが、フィンランド国内の運転免許制度では、これまで免許証が早期に認可された先例はあるものの、それでも最大12カ月のアドバンテージが認められたのみ。
日本と同様18歳から免許取得可能なフィンランドでは、最速でも17歳からが条件となり、カリは10月までに17歳には届かない。
■ロードセクションをコドライバーが運転する“荒業”も?
残された可能性としては、WRC併催となるフィンランド国内選手権枠からのエントリーで、競技区間となるSS(スペンシャル・ステージ)はカリがアタック。WRCで父親ともコンビを組んだベテラン・コドライバーのリスト・ピエティライネンがロードセクションのリエゾン区間をドライブする方法だ。
もしこれが実現に至らなかった場合でも、同じ10月下旬に開催されるイギリス、ラリーGBにてWRCデビューを果たすことが確実視されている。
カリはすでに2度のラトビア国内選手権でクラスチャンピオンを獲得しており、今季の開幕戦ではR5カーで総合優勝も飾っている。
直近には慣れ親しんだシュコダ・ファビアR5からプジョー208 T16へとマシンをスイッチし、イタリアのローカルイベントにも参戦。ターマックでの経験値も積んでいる。