2017年4月19日
プレスリリース
フォルクスワーゲンが中国でゼロエミッションのクロスオーバーを公開
SUVとクーペの世界を融合した「I.D. CROZZ(アイ.ディ.クロス)」
・500kmの航続距離、4輪駆動、自動運転モードを備えた電気自動車のコンセプトカー
・新しい“CleanAir”システムにより、きわめてクリーンな室内空間を実現
「I.D. CROZZ」に関する10のハイライト
1.SUVとクーペ
「I.D. CROZZ」は、SUVの機能性とクーペのダイナミズムを兼ね備えたクロスオーバーユーティリティビークル(CUV)。
2.3つのモデル
「I.D. CROZZ」は、モジュラーエレクトリックドライブマトリックス(MEB)に基づいて開発された新しい「I.D.」ファミリーの主力モデル。
3.e-モビリティのDNA
「I.D. CROZZ」のアバンギャルドなデザインは、新開発のe-モビリティデザイン言語を反映。
4.ガソリン車並みの航続距離
「I.D. CROZZ」は、225kWのパワーを発生し、180km/hの最高速度を実現する一方、500km(NEDC:新欧州ドライビングサイクル)の長い航続距離を実現。
5.30分で充電
「I.D. CROZZ」は、わずか30分(150kWの直流電源)で80%までバッテリーの充電が可能。
6.オープンスペース
「I.D. CROZZ」は、欧州で「Tiguan Allspace(ティグアンオールスペース)」として知られる新型「Tiguan L(ティグアンL)」(中国名)に匹敵する広い室内スペースを提供。
7.デジタル化した操作系
コクピットにはARヘッドアップディスプレイ、アクティブインフォディスプレイ、インフォテイメントタブレット、ドアパネルコントロールどを採用。
8.完全自動モード
“I.D. Pilot”モードを選択すれば自動運転が可能。自動運転モードでは、ステアリングホイールは、ダッシュボードに自動的に収納。
9.“CleanAir”システム
外気の状況に関わらず、新しいベンチレーションシステムが、室内の空気を最高の状態に維持。
10.ライトブラインド
今回初めて、“ジェスチャーコントロール機能”を通じて、ルーフに設置されたアンビエントライトを作動可能。
上海で「I.D. CROZZ」をワールドプレミア
2017年4月、ウォルフスブルグ/上海
フォルクスワーゲン(VW)は現在、先進的なコンセプトに基づき、アバンギャルドなデザインを特徴とした一連の電気自動車を開発中です。本格的な生産開始は、2020年になります。
そして今回、VWは、2017年上海モーターショー(4月19日~29日)で、この新しい電気自動車シリーズをイメージできる重要な1台を公開します。「I.D. CROZZ」は、電気で駆動するVW初のクロスオーバーユーティリティビークル(CUV)です。
CUVとは、4ドアクーペとスポーツユーティリティビークル(SUV)の特徴を1台に融合したクルマを意味しています。
「I.D. CROZZ」は先に発表して大きな注目を浴びた「I.D.」(2016年にパリで初公開)、「I.D. BUZZ」(2017年1月にデトロイトで初公開)に続く、「I.D.」シリーズの第3弾となります。
このゼロエミッションビークルもまた、とても長い航続距離を実現しており、カリスマ性を感じさせる電気自動車専用のデザインと完全に新しい室内コンセプトを採用しています。
スポーティなデザインをまとった「I.D. CROZZ」は、2020年における電気自動車が、どれほど多彩なものになりそうか思い起こさせます。
4輪駆動と500km(NEDC)の航続距離
「I.D. CROZZ」という名前がすべてを表現しています。「I.D.」は何よりも「アイデンティティ」、そして、「アイコン的なデザイン」を表し、「CROZZ」は、新しいCUVのカテゴリーを示唆しています。
「I.D. CROZZ」は、スポーティでインタラクティブなデザインを備えたゼロエミッションのオールラウンドビークルで、電気による4輪駆動システムは、街乗りでも、冒険心を満たすオフロード走行でも、同様に印象的な走りを実現します。
225kWのパワーがある「I.D. CROZZ」の最高速度は180km/hで、1回の充電で最大500km(NEDC)走行可能。搭載する高性能バッテリーは、出力150kWの直流充電装置で急速充電すれば、わずか30分で80%まで充電できます。
MEBで一新したスペース効率
「I.D. CROZZ」は、VWによる最新の主力SUV、新型「TiguanL」(中国)/「TiguanAllspace」(ヨーロッパ)と比較すると、サイズが少し小さく、ルーフラインも低くなっていますが、同等の室内スペースを確保しています。
その秘密は、車両設計にあります。「I.D. CROZZ」は、先に発表した「I.D. 」、「I.D. BUZZ」同様、VWが新たに考案したモジュラーエレクトリックドライブマトリックス(MEB)に基づいて設計しています。
MEBモデルでは前後のアクスルと駆動関連モジュールが、通常よりも離れているため、長いホイールベースを実現しています。
駆動系モジュールは、すべてコンパクトに設計され、バッテリーは、車体のフロア下部に設置しています。シートも多様なアレンジが可能で、さまざまな目的に合わせて広いスペースを作り出せます。
この広くて、使い勝手も考え抜かれた“オープンスペース”は、一般的なクラスの概念を打ち破るものです。
インタラクティブなヘッドライト
「I.D. CROZZ」のフロントビューのハイライトは、VWの電気自動車を象徴する特徴的なシグネチャーライトです。
C字形をしたLEDデイタイムランニングライトと5つの細いLEDで構成された可変制御LEDヘッドライトが、電子の動く“目”(インタラクティブ・スポットライト)とともに一体感のあるフロントセクションを構成しています。
ここでは、“インタラクティブ”がキーワードになります。「I.D. CROZZ」は、ドライバーの指示により、完全な自動運転モードで走行している時、この“インタラクティブスポットライト”を介して、他の道路を共有するユーザーとコミュニケーションを取ります。
ドライバーがクルマに近づいてきた時には、このライトを使って挨拶もします。
e-モビリティのDNA
シグネチャーライトは、考え抜かれたe-モビリティのデザイン言語の一部になっています。
ここでもまた、MEBが理想的なプラットフォームを提供しています。幅広いアクスル間隔によりダイナミックなプロポーションが創出され、これにより、新時代のアバンギャルドなデザインを提案しています。
VWブランドのデザインを統括するクラウスビショフは、次のように説明しています。
「もし、未来の状況を100%正確に予測できるとしたら、ここに答えがあります。2017年の現在、我々は『I.D. CROZZ』によって、VWが2020年以降に街並みの様子をどのように変えようとしているのかを明らかにしています。我々にとって、新時代に向けたゼロエミッションビークルの3つのプロトタイプである『I.D. 』『I.D. BUZZ』『I.D. CROZZ』は、パーソナルモビリティとVWブランドを永久的に変える
ことになるデザインとテクノロジー革命の幕開けを告げるものです」
VWの目標は、2020年代半ばまでに、電気駆動システムを現在のニッチなモデルから大量生産する主力モデルに変貌させることです。
VWブランドCEOのヘルベルトディースは、次のように述べています。
「2025年までに、我々は純粋な電気自動車の販売台数を年間100万台レベルにしたいと考えています。そのなかで、「I.D. CROZZ」も重要な役割を果たすことになるでしょう。生産は、2020年に開始する予定です」
新しい時代に向けたデザイン
「I.D. CROZZ」の明確で力強いデザインは、SUVの堂々とした無骨な風貌とクーペのエレガントでスポーティな軽快感を融合しています。
ここでは、大きなボンネットとアスリートのように力強い形状を描くワイドなフェンダーが、決定的な要素になっています。
表情豊かなボンネットは、高さのあるフロントエンドいっぱいまで広がっています。「I.D. CROZZ」のボディは、鮮明かつ「ハイテク感」のあるシルバー(シルバースパーク)で塗装され、クリーンな表面のボンネットやバンパーは、アルミの大きな塊から削り出した彫刻のような印象を与えます。
このフロントセクションで目立つ存在となっているのが、VWのe-モビリティを象徴するシグネチャーライトです。
ボンネットとバンパー中央部のVWバッジにもイルミネーションを採用しています。このイルミネーションは、左右に伸びる細い光のラインとなり、インタラクティブLEDヘッドライトまでつながっています。
シャープな曲線を描く、軽快な印象のルーフラインが後方へと長く伸び、透明なルーフは、外側が光沢のあるブラック仕上げとなり、とても高い質感を備えています。
このモデルの照明付きパノラミックルーフには、可動式ライトブラインドを新たに採用しています。このブラインドは、クルマの室内だけでなく、エクステリアに対するアンビエントライトとしても機能します。
スタイリッシュなリヤとスポーティに張り出したショルダー部分は、見るからに力強く、さらに、リヤライトの細いLEDマトリックスセグメントと照明付VWバッジがある光沢ブラックの部分が、クルマの幅広さを一層強調しています。
SUVならではの無骨な印象は、力強いホイールアーチと21インチホイール、表面がざらついたマット仕上げの堅牢なサイドシルで構成されるサイドシルエットによって、さらに明確になっています。
その美しさは細部にまで及んでいます。革新的なホイールデザインによって、ホイールリムとタイヤとの継ぎ目がほとんどなくなっており、結果的にホイールとタイヤの組み合わせが、とても大きく見えます。
ジェスチャーコントロール機能で作動するライトブラインド
前述の通り、「I.D. CROZZ」に採用した新機構の一つが、照明付パノラミックルーフと一体化したライトブラインドです。
このバーチャルブラインドは、ジェスチャーコントロール機能によって、開閉できます。LEDストリップによって生み出される光のカーペットが、天井に沿ってスライドして室内を明るく照らします。
ルーフ部の光のストリップは、外からでも見えるようになっています。ジェスチャーコントロール機能による操作方法は、従来のスライディングルーフ同様、手を短くシャープに振ることで、ブラインドが完全に開閉します。その一方で、もう一方の手をゆっくり振ると、ライトのカーペットが、希望する位置に達するまでゆっくりと移動します。
2025年の実現を目指す“I.D. Pilot”
2020年は、「I.D. CROZZ」という形で、最初のVW製のMEBモデルが世界の市場に投入される記念すべき年になるでしょう。その約5年後の2025年からは、完全な自動運転システムが、次の革命的進化に向けた引き金になるでしょう。
上海で公開するCUVコンセプトカーには、すでにこのオンデマンド自動運転システムを搭載しています。完全自動の“I.D. Pilot”モードを選択すると、マルチファンクションステアリングホイールがダッシュボードの中に折り畳まれて、デジタルインストルメント(アクティブインフォディスプレイ)と完全に一体化されます。
つまり、「I.D. CROZZ」を完全な自動運転モードで走らせると、いわゆるステアリングホイールは姿を消してしまうのです。同様に、空調ユニットと一体化したインフォテイメントシステムも、タッチパッドとして設計されています。
自動運転モードであっても、マニュアル運転モードであっても、ドライバーは、スピードやナビゲーションに関する情報をARヘッドアップディスプレイを介して受け取ります(AR:3次元表示によるオーグメンテッドリアリティ=拡張現実の映像)。
“オープンスペース”により生み出される広い空間
コンパクトな電気駆動システムとフロアに内蔵したリチウムイオン電池のおかげで、室内には広々としたアレンジ自由なラウンジのような空間、“オープンスペース”が生み出されています。
室内に差し込む光の量やシートポジションに応じて、ダッシュボード、アッパードアトリム、ドアインサートは、それぞれさまざまな色彩を放ちます。
ドライバーと助手席乗員には、上質なヘッドレスト一体型シート(シートベルトガイドも一体化)が提供され、後席のレッグルームも大型サルーンなみの余裕があります。
さらに、ドアにあるマルチファンクショナルコントロールアイランド(空調とドア開閉のためのタッチ制御機能を備えたドアパネル)などの新機構によって、室内はさらに快適で寛げる空間になっています。
また、マルチファンクションシートコンセプトを導入した「I.D. CROZZ」の室内は、とても柔軟なアレンジが可能です。週末に自転車を積んでドライブに出掛けたいが、サイクルラックを持ってない、
という場合でも問題ありません。
自転車を単に横向きにするだけで室内後方に積み込めます。大型のスイング/スライディングドアと柔軟なアレンジが可能なリヤシートが、これを可能にしています。
リヤシートは、映画館の椅子のように、座面を持ち上げて折り畳める仕組みになっています。パッセンジャーコンパートメントドアもまた、後方に格納できるように設計されており、荷物の積み込みを容易にしています。
フロンドドアは、最大90度ととても広い開口部を持ち、Bピラーが無いこともあって、乗り降りや荷物の積み下ろしがとても楽になっています。
すべてのドア、リヤハッチ、ボンネットには、電動開閉機構が備わります。
クリーンな空気
VWが新たに開発した“CleanAir”システムによって、最適かつユーザーが望む通りの室内空調が提供されます。
このシステムは、車外の状況に関係なく、「I.D. CROZZ」の車内の空気を常にきれいに保ちます。ドライバーと助手席の乗員は、インフォテイメントユニットを介して、あらかじめ設定したとおりに空調を作動させられます。
これを可能にしたのが、新たに開発した“CleanAir”テクノロジーです。アクティブフィルターシステムは、車内の空気をつねに最高の状態に保ちます。
ドライバーは、メニュー画面から、車内の空気の状態(エアクオリティインデックス)やシステムの作動状況に関する情報にアクセスできます。さらに、あらかじめ登録した空調設定を選択することで、ドライバーと助手席乗員は希望通りの風量やその国(今回のコンセプトカーの場合は中国)の特に美しく、気候的にも心地よい地域の温度や湿度の設定を再現できます。
例えば、上海の中心街を走りながら、車内では、まるでヒマラヤにいるような新鮮な空気を楽しむことができるのです。
VWの“User-ID”とデジタルキー
「I.D. CROZZ」では車内のあらゆる設定が、ドライバーに合わせて自動的に調整できます。この設定は、VWの“User-ID”によって可能になります。
“User-ID”とは、VWのデジタルエコシステムに保存された個人プロファイルの
ことで、スマートデバイスを介して有効となり、それ自体がデジタルキーの役割を果たします。
このデジタルキーを持った人が近くにやってくると、「I.D. CROZZ」はそれを認識してドアのロックを解除するとともに、空調を含めたあらゆる設定を、その個人に合わせて調整します。
配送サービス
近い将来、宅急便の荷物は、家だけではなく外出先でも受け取れるようになるでしょう。515リットルの容量を持つ「I.D. CROZZ」のトランクは、新しい配達サービスのための郵便箱として機能します。
宅急便のスタッフは、GPSでクルマの位置を特定し、アプリを介して一時的にトランクを開ける許可を受けます。荷物の配達が完了すると、「I.D. CROZZ」のオーナーには、アプリもしくはeメールを介して報告が届き、クルマのトランクが再びロックされます。