ホンダが深刻な状況になっている。バーレーンGPだけで、ストフェル・バンドーンのMGU-Hが3基、フェルナンド・アロンソのMGU-Hも1基、合計4基が壊れた。これらはすべて再使用不能ないわゆる「死んだ」パーツとなってしまったため、バンドーンは次のロシアGPに早くも4基目のMGU-Hを投入することなる。
今シーズンのF1は、年間4基に制限されているため、7月以降のヨーロッパラウンドから、ペナルティを受けることは必至な状況だ。
開幕2戦でパワーユニットに大きなトラブルを発生させていなかったホンダが、なぜバーレーンGPでこれほどまでに壊れまくったのか? 原因を分析する前に、壊れたMGU-Hの使用状況を再確認しておこう。
ストフェル・バンドーン
●バーレーンGPフリー走行1回目のトラブル
使用していたMGU-Hは2基目=合計58周
▼内訳
【中国GP】
FP1(4周)
FP3(21周)
Q1(6周)
レース(17周)
【バーレーンGP】
FP1(10周)
●バーレーンGPフリー走行2回目のトラブル
使用していたMGU-Hは1基目=合計126周
▼内訳
【オーストラリアGP】
FP1(14周)
FP2(33周)
FP3(9周)
Q1(7周)
レース(55周)
【バーレーンGP】
FP2(8周)
●バーレーンGPレース前のトラブル
使用していたMGU-Hは3基目=合計23周
▼内訳
【バーレーンGP】
FP3(15周)
Q1(8周)
フェルナンド・アロンソ
●バーレーンGP予選のトラブル
使用していたMGU-Hは1基目=合計231周
▼内訳
【オーストラリアGP】
FP1(18周)
FP2(19周)
FP3(7周)
Q1(9周)
Q2(6周)
レース(50周)
【中国GP】
FP1(5周)
FP3(17周)
Q1(5周)
Q2(8周)
レース(33周)
【バーレーンGP】
FP1(14周)
FP2(31周)
FP3(10周)
Q1(5周)
Q2(3周)
こうしてマイレージを見ると、23周、58周、126周、231周とまったく状況が異なった状態で壊れていることがわかる。つまり、単純なマイレージによるトラブルとは考えにくい。
そこで考えられるのが、バーレーン特有の問題だ。その可能性を尋ねられた長谷川祐介ホンダF1総責任者は「原因が特定されていない以上、すべての可能性を除外しない」と語っている。バーレーン特有の問題とは何か?
ひとつは気温30℃以上という高温。もうひとつは砂塵だ。壊れた症状はバンドーン、アロンソともにベアリングが固着したことによるMGU-Hの冷却水の水漏れだ。今後、ホンダは壊れたPUのオイルを分析し、砂塵の含有量をチェックすると語っている。
ただし、バーレーン特有の問題だったとすると、バンドーンの1回目のトラブルが10周、2回目のトラブルが8周、そして3回目のトラブルが23周と走り始めてすぐに起きている点は納得いくが、アロンソのMGU-Hは60周も走ってからトラブルが発生している点が謎として残る。
そこで浮上するのが、実走での振動だ。開幕前テスト1回目の2日目の燃焼室のトラブルも、ベンチでは起きていなかったと語っている。振動は単にエンジンだけでなく、ギヤボックスやタイヤを含めた駆動系を動かしたことによって発生する共振である。これがホンダのパワーユニットに想定していなかったストレスを与えるているのではないかという可能性だ。
いずれにしても、4月18日から始まるバーレーン・テストで走らせるPUに、ハード面で新たに対策を施した仕様を投入することは時間的に不可能な状況だ。したがって、このバーレーン・テストでホンダのMGU-Hは再びトラブルに見舞われる可能性がある。一刻も早い原因究明を祈りたい。