遅刻するか否かの瀬戸際、電車の遅延が決定打となることもある。そのイライラをSNSにぶつける人も少なくはない。マーケティング会社のBONDICは4月18日、「春の電車運転見合わせ時間とSNS投稿数の関係」の結果を発表した。
調査は2016年4月1日~6月30日に実施。過去3年間の4~6月に人身事故の件数が最も多かった東武東上線、JR京浜東北線、JR常磐線、京急本線、JR中央総武線の5路線についてSNS投稿数を分析した。
5路線で最も多い遅延原因は「人身事故」
調査によると5路線すべて一番多い遅延原因が「人身事故」で、東武東上線に至っては原因の83.3%を占めていた。
東洋経済の「過去10年における路線別の自殺件数(2005~14年)」でも、人身事故件数ワースト1は「中央線」(386人)、次いで「常磐線」(298人)、「京浜東北線」(293人)、「東武東上線」(276人)となっている。
また遅延原因の中で、運転見合わせの時間に対して最も早くSNS投稿数がピークになるものも「人身事故」だ。人の生死に関わるため乗客が気になってしまうのも当然だろう。
ピークが早く訪れる路線は京急本線(遅延発生から20分後、平均見合わせ時間の30.2%)、京浜東北線(21分後、27.6%)で、東武東上線(28分後、38.1%)もやや早い。一方、常磐線(24分後、47.6%)がやや遅く、中央総武線(50分後、83.7%)は最も遅いということが分かった。
人身事故による運転見合わせ中に投稿が集中するのは東武東上線(投稿数の90.3%)、京浜東北線(84.1%)。京急本線と中央総武線は運転再開後にやや集中している。これら4つの路線は遅延が発生すると早い段階で投稿数が伸び情報拡散されていくが、「SNS投稿が後に引かない」傾向は人身事故が日常的であることを表しているかのようだとも考えられる。
「鉄道会社」による遅延のイライラはすぐSNSにぶつける?
先述の人身事故に次ぐ遅延原因は、各路線で異なってくる。京急本線は「他路線の影響」で、京浜東北線は停電などの「鉄道会社」が原因だ。常磐線と中央総武線は落雷・強風などの「天災」、東武東上線は線路立ち入り・信号機故障などの「複数原因」となっている。これらの遅延原因ではSNS投稿数にどのような影響が出ているのだろうか。
一番混乱が長引くのは「天災」と、救護活動など「利用者」が原因となっているときだ。見合わせ時間の平均が「天災」が33分、「利用者」は13分と大変短くはあるが、対してSNS投稿が落ち着く時間はそれぞれ7.9倍、14.2倍と長く続いていることが分かった。
運転再開時間を軸として見ると、見合わせ中に投稿が集中し、運転が再開されると急激に少なくなるのが「鉄道会社」が原因の場合。一方「他路線の影響」の場合は、運転見合わせ中も再開後も同じペースで投稿されている。
出かける前にSNSで「〇〇線が遅れている」と確認しても、実際に駅につくと普通に動いているときがある。各路線や原因別の特徴を参考にするとSNSからより正確に遅延状況を判断できるかもしれない。