2017年04月18日 13:04 リアルサウンド
D.A.N.、DYGL、Official髭男dism、yonige。2017年のブレイク候補であり、日本のバンドシーンの新たな潮流を生み出すと期待されている4組が4月19日、一斉に新作をリリースする。どの作品も“予想を裏切り、期待を上回る”傑作ばかり。決して大げさではなく、この4作品は2017年春以降の音楽シーンを大きく変貌させる可能性を持っていると思う。
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昨年発表された1stアルバム『D.A.N.』によって次世代シーンの旗手として注目されたD.A.N.の約1年ぶりとなる新作『TEMPEST』。レコーディングエンジニアに早乙女正雄(Jazztronik、大橋トリオなど)、ミックスエンジニアに電子音楽家のAOKI takamasaを起用したことでサウンドのクオリティが驚異的に向上。ミニマルミュージックの手法を取り入れたリズム・アレンジ、徹底的に抑制を効かせたクールな手触りのメロディなど、このバンドの音楽的な本質がこれまで以上に際立った作品に仕上がっている。圧巻は約11分に及ぶタイトルトラック「TEMPEST」。精度を高めたトラックメイク、洗練されたボーカルライン、エキゾチックな音像がゆったりと溶け合うこの曲は、この国の“バンドによるダンスミュージック”の概念を刷新すると断言したい。
ロックミュージックの革新性と興奮を久々に感じさせてくれるのが、DYGLの1stフルアルバム『Say Goodbye to Memory Den』だ。ニューヨークで制作、プロデューサーにThe Strokesのギタリスト、アルバート・ハモンドJr.を迎えた本作は、00年代以降のインディーロックのエッセンスを吸収することで、メンバー自身の豊かなルーツミュージックからの影響、そして、質の高いソングラインティング・センスが存分に発揮されている。極限まで削ぎ落とされたアンサンブル、生々しさ、鋭さを感じさせるサウンドメイクを含めて、まさに世界標準と呼ぶにふさわしい作品だと思う。「Thousand Miles」「Waste Of Time」などグッドメロディを書けることもこのバンドの強味。フジロックへの出演も決まっているが、一刻も早く海外をサーキットするバンドになってほしい。
ポルカドットスティングレイ、yahyelなどと並び“2017年のブレイク候補”の最右翼と目され、aiko、秦 基博、津野米咲(赤い公園)、SKY-HIといったアーティストからも絶賛されているOfficial髭男dism。3rdミニアルバム『レポート』は、バンドの中心である藤原聡(Vo / Key)のソングライティング能力の高さ、ボーカリストとしての魅力が前面に押し出された作品だ。華やかな雰囲気を活き活きと描き出すバンドサウンド、前向きなメロディが響き渡る「始まりの朝」、ダイナミックな歌声が気持ちよく広がる結婚ソング「犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!」という冒頭2曲だけでノックアウト。R&B、ソウルミュージックのテイストを下敷きにした楽曲、聴き手の記憶と思い出を刺激す歌詞、どこまでもポップに振り切った歌は、間違いなく万人に受け入れられることになるだろう。
“恋人に向かってアボカドを投げつけてしまった女の子”を歌った「アボカド」で注目を集め、昨年7月に発表されたミニアルバム『かたつむりになりたい』が「第9回CDショップ大賞2017」関西ブロック賞を受賞するなど存在感を強めているyonigeの新作『Neyagawa City Pop』。“City Pop”を含むタイトル通り、全編を通してポップスとしてのクオリティがさらにアップしている。それを端的に示しているのが1曲目の「our time city」。キャッチーなギターリフ、感情の移り変わりをリアルに反映したメロディライン、そして、<一体なにが起こるのかな/怖くはないよ ぼくら1994だから>というフレーズとともにサビに突入するときの気持ち良さ。スカッと抜けのいいサウンドメイクを含め、この曲はyonigeの新たな代表作として広まっていくはずだ。(森朋之)