4月15~16日、2017年F1第3戦バーレーンGPの併催イベントとして開催されたTCRインターナショナル・シリーズの第2戦は、今季から新規参戦を開始したハンガリーのM1RAチーム、ロベルト・コルチアゴのホンダ・シビックがレース1を制覇。翌日のレース2では、GE-フォースのアルファロメオ・ジュリエッタをドライブするドゥサン・ボルコビッチが、シリーズ初勝利を挙げた。
15日土曜の予選で速さを見せたのは、伏兵ともいうべきオペル・アストラTCRの2台。
今季からインターナショナルに本格参戦を開始したDGスポーツ・コンペティションのマシンは、Q1でピエール-イブ・コルタルが、Q2でマット・オモラがそれぞれ最速タイムを記録し、シリーズ初ポールを獲得してみせた。
しかし、その予選後に行われた今季初のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)調整で、アストラは早速エンジン出力の5%カットを課され、週末を通して窮地に追い込まれる事態に。
また、アウディRS3 LMSとセアト・レオンTCRのDSGギヤボックス搭載車(現状はイカロス・モータースポーツのダンカン・エンデ車1台のみ)には、10mmの車高ダウンが認められた。
直後に開催されたレース1は、スタートでホンダ・シビック・タイプRのコルチアゴが3番グリッドから抜群のスタートを決める。ヒューゴ・バレンテ(セアト・レオンTCR)、コルタルのオペル・アストラTCRをかわして、トップで1コーナーへ。そのままリードを脅かされることなく盤石のレース運びをみせ完勝。
その後方では、ボルコビッチ、コルタル、ジェームズ・ナッシュ(セアト・レオンTCR)、そしてジャン-カール・ベルネイ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)の3番手争いが白熱。
オープニングラップのバトルではダビド・カヤイアのアルファロメオ・ジュリエッタとベルネイがマシンを接触させながらのバトルを披露し、その間隙を縫ってボルコビッチが前へ。
しかし、すぐに反撃を見せたベルネイが、レース終盤には立場を逆転させ、ボルコビッチとコルタルのバトルに乗じて3番手に浮上。2位バレンテ、3位ベルネイの順でチェッカーをくぐった。
一方、BoPに苦しんだコルタルは、終盤にアストラTCRの熱害に悩まされ、パワーダウンの症状が発生。表彰台確保まであと一歩のところで涙を飲んだ。
快晴ながら強風が吹きつけるグリッドからのスタートとなった日曜のレース2。リバースグリッド方式でポールポジションを獲得したフェレンチ・フィツカのセアト・レオンをパスし、首位に立ったのはM1RAのもう1台、アッティラ・タッシ。
しかし、セカンドロウのボルコビッチと、フィツカはすぐに反撃に転じ、タッシのシビックを仕留めにかかる。この後、タッシは後続に次々と飲み込まれ、ボルコビッチは首位で逃げを打つ展開に。
トラックの至るところでバトルが勃発したレース2は、ナッシュ&バレンテのクラフト-バンブー・ルクオイル・チームと、レパード・レーシングのベルネイが後方から激しい追い上げを披露。
3周目にはマシンコンタクトをいとわず、バレンテがベルネイをパスし3番手に。タッシはベルネイ、ナッシュとも接触バトルを展開しつつ防戦を繰り広げた。
終盤には開幕戦勝者のアルファロメオ、カヤイアのジュリエッタが高い縁石を飛び越えた際にオイルサンプにクラックが入るダメージでストップ。最終周で6位の座を逃すこととなった。
そんな後続の激しいバトルを尻目に、首位ボルコビッチは快走。そのままトップチェッカーを受け、うれしいシリーズ初勝利。ロメオ・フェラーリ製の17年型ジュリエッタにとっては開幕に続く2勝目となり、2位にナッシュ、3位にバレンテのセアト・レオン、クラフト-バンブー勢が入った。
TCRインターナショナル・シリーズ第3戦は5月初週のベルギー、スパ・フランコルシャンが舞台。WEC世界耐久選手権との併催イベントが予定されている。