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波瑠、東出昌大ら、ドロドロ不倫劇をどう演じる? 『あなたのことはそれほど』への期待

2017年04月18日 11:23  リアルサウンド

リアルサウンド

『あなたのことはそれほど』(c)TBS

 今夜、いよいよ『あなたのことはそれほど』(TBS系)がスタートする。『逃げるは恥だが役に立つ』、『カルテット』と、話題作を次々と生み出してきた火曜10時のドラマ枠には、いやがうえにも期待が高まる。本作は、人気マンガ家いくえみ綾の同名コミックが原作ということで、予習のつもりで手にとってみたのだが、これが予想以上の湿度の高さ。『逃げ恥』が生きにくさを感じる大人たちの呪いを開放し、『カルテット』が不器用な大人たちのグレーな部分を許したドラマだとすれば、『あなたのことはそれほど』は善人として生きる大人たちのエゴと向き合うドラマになるかもしれない。


参考:漫画原作ドラマ、成否を分けるポイントは? 『タラレバ娘』と『逃げ恥』の違いから考察


 ストーリーは、恋に素直な主人公・渡辺美都(波瑠)と、美都を一途に愛する夫・涼太(東出昌大)、そして美都の初恋の相手である有島光軌(鈴木伸之)、その妻の麗華(仲里依紗)の4人を中心に展開される。美都は、人生で二番目に好きな涼太と結婚。傍から見れば申し分のない幸せな生活を送っていたのだが、あるとき人生で一番好きだった有島と再会する。そして、W不倫へと足を踏み入れてしまうのだった……。


 人は、社会の中で“人として”あるべき姿と、“自分らしく生きる”のバランスを取りながら生きている。だが、ルールやモラルを飛び越えたくなるほどの、“本能”や“感情”に直面したら? 普通の……むしろ、一般的に見たらできすぎるくらいの幸せを手に入れている美都が、ズブズブとW不倫の沼にハマっていく姿や、そんな美都の行動によって引きずり出される周囲の人間の生々しい感情は、一種のホラー作品を観ているような気分になるだろう。このドラマの見ごたえは、その禍々しさを体当たりで演じていくキャストにかかっている。ところが原作を見る限り、それぞれこれまでの演じてきた役と今回扮するキャラクターに大きなギャップがあるのが面白い。


 最も意外だったのが、美都を演じる波瑠だ。NHK連続テレビ小説『あさが来た』でヒロインを演じた印象が強く、その後のテレビ出演する姿を見ても、さっぱりとした清潔感のあるイメージがある。そんな波瑠が、長年の親友さえも呆れてしまうほど恋愛至上主義の女性になれるのか。公式HPでは本人も「演じる主人公の美都の行動にも賛成できない部分が多く……」と、共感しにくい部分があったと語っており、まさに女優として新境地を開拓する作品となるだろう。


 また、美都が恋い焦がれる相手の有島光軌を演じる鈴木伸之は、これまで『ルーズベルト・ゲーム』(TBS系)、『水球ヤンキース』(フジテレビ系)など、雄々しくて憎らしい役柄を多くこなしてきた。そんな鈴木が、今回はプレイボーイに。悪役を手がければ視聴者からムカつかれるほど、高い演技力を誇る鈴木なら、きっと誰が見ても「この人はモテる」と説得力のある愛されオーラを出すことができるのではないだろうか。公式HPのインタビューでは「有島に共感してしまう部分もついついあったり(苦笑)」とチャーミングに答えているところをみると、素質は十分(?)かもしれない。


 そして、すでに予告映像から、妻が不倫をきっかけに狂気じみた言動に走る涼太を演じている東出昌大は、今回の役を「自分にとっては挑戦だなと思いました」と語っている。また、「麗華は私自身と180度違う生活をしてきただろう人」「なぜこの役を私に?」と、戸惑いさえ抱いていたのが仲里依紗。それぞれ好青年やハツラツとした役どころが多かっただけに、配偶者の不倫に追い詰められたり、冷ややかな眼差しで手のひらの上で転がしたり、というイメージとはほど遠い。だが、ふたりとも実生活でも既婚であり、守るべき家庭を持っているという点では、凄みが増すのではないだろうか。


 原作者のいくえみ綾は、ドラマの公式HPにて「誰にも感情移入をせずに淡々と描いているお話」とコメントを寄せている。きっと視聴者のポジションや性格で、どのキャラクターが気になるかは分かれるだろう。自分の想いにまっすぐなことは、善か悪か。そのジャッジは誰が決めているのか。また、火曜日が待ち遠しくなる日々が、始まることを期待している。(文=佐藤結衣)