4月14~15日に、イギリスのシルバーストンで行われたFIA F3ヨーロピアン・チャンピオンシップ。今季、ハイテックGPからシリーズに挑んだ牧野任祐(ハイテックGP)だったが、開幕ラウンドの3レースは11位/19位/15位と、厳しい開幕ラウンドに終わった。オートスポーツ本誌編集部が、レースごとに牧野に感想を聞いた。
2015年にFIA F4で坪井翔とチャンピオンを争う戦いを展開し、16年は全日本F3にデビュー。さらにスーパーGTにも参戦し印象的な速さをみせつけた牧野。今シーズンはホンダ、そして日本の期待を背負ってヨーロッパに渡り、激戦区のFIAヨーロピアンF3に挑戦している。
そんな牧野の開幕ラウンドは、WEC世界耐久選手権の併催イベントとして行われたシルバーストンのレース。牧野は予選1/2で10番手、予選3では9番手につけたが、決勝では3レースとも厳しいレースとなってしまう。
迎えたレース1は、メインストレートを中心に雨が降り、セーフティカースタートに。「その時にダウンフォースをかなりつけて、フロントのセットも柔らかくしたんです」と雨を意識したセットに変更する。レース序盤はそれが奏功するが、「その後は乾いてきてしまって。そこからは全然ダメでしたね……。ダウンフォースもついていたのでストレートもキツかったし、オーバーステアになってしまっていた。雨用にフロントを柔らかくしていましたからね」と牧野。
結果的には11位。「スピードがまったく足りないです。シルバーストンが初めてというところもあるかもしれません。フリー走行でトラブルがあって走れなかったところもありますが。クルマもオーバーステアでグリップ感がない」と牧野は振り返った。
「ちょっとキツいですね」という牧野だったが、15日のレース2ではさらに苦しい展開になってしまった。
■「最初から楽とは思ってはいなかったけど……」
15日のレース2は10番手のスタート。「グリッドのイン側が濡れていたので厳しいかな、とは思っていましたが、順位はひとつしか落とさなかったので悪くなかったです」というスタートを切ったが、「ただ、その後は悲惨というか……。すごいアンダーステアで、左フロントにデグラデーションも出て、走れる状況じゃなくなるくらいでした」と、次々とオーバーテイクを許してしまう。
「途中はごまかして走っていたんですが、最後は何をしても無理になってしまって」という牧野は、トラックリミットのペナルティを避けるためにピットインし、タイヤを交換する。その後は異常はなくなったが、当然これで最後尾に落ちてしまう。「根本的に話にならなかったですね」と牧野は悔しがった。
16日のレース3は9番手からスタートする。FIAヨーロピアンF3ではニュータイヤは3セット使用可能で、牧野は予選で使った2セット以外の1セットを、ドライになったこの日のために温存していた。
しかし、「スタートはホイールスピンをしてしまって、ダメでしたね。新品だったので、しっかり温めていったつもりでしたが」と1周目にポジションを16番手まで落としてしまった。その後は「グリッドでダウンフォースをちょっとつけたのはありますが、並んでもそこから前に出られない。ブロックもかなりキツくて……」とポジションはひとつしか上げられず、15位でチェッカーを受けている。
大きな期待のなかで、厳しい週末になった牧野は「最初から全然楽とは思ってはいませんでしたけど、想像以上にキツいですし、クルマのバランスも含めて悩んでいるとこともあります」と週末を振り返った。
次戦は4月29~30日のモンツァでのレースとなるが、「次のモンツァの前に合同テストがあるので、そのメニューも今から考えている。そこでいい方向にいけばいいですね」という。今回のシルバーストンでは、ヨーロピアンF3で2~3年目のジョエル・エリクソン(モトパーク)やカラム・アイロット(プレマパワー)、ランド・ノリス(カーリン)が大量ポイントを加算。牧野の“目標”のためには、まずは彼らのところまで到達しなければならない。