4月16日に2017年シーズン第1戦シルバーストンの決勝レースが行われたWEC世界耐久選手権。今シーズンも2台のポルシェ919ハイブリッドで挑むポルシェは、総合2位、3位で初戦を終えた。
アウディが2016年限りでWECでの活動を終了したため、トヨタとポルシェが一騎打ちを繰り広げているLMP1-H。ポルシェは開幕戦にコース特性とマッチしないローダウンフォース仕様のエアロキットを持ち込んだ。
15日に行われた予選では、1号車ポルシェ(ニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ニック・タンディ)が3番手を獲得。僚友2号車ポルシェ(ティモ・ベルンハルト/アール・バンバー/ブレンドン・ハートレー)は4番手につけた。
迎えた決勝、3番手スタートの1号車はオープニングラップで2号車ポルシェに交わされ4番手に後退。その後は終始、安定したペースで走行を重ね、前を走る7号車トヨタTS050ハイブリッドのクラッシュにより、ポジションをひとつ上げて、3位でチェッカーを受けた。
オープニングラップの1コーナーで1号車を交わした2号車ポルシェは、先行する2台のトヨタ勢と変わらないラップタイムを刻み続ける。
2号車ポルシェは59周終了時点で2度目のルーティンピット。ここでドライバーをハートレーからベルンハルトに代えると、7号車トヨタの前方でコースに復帰してみせる。
その後、サーキットを襲った突然の降雨や7号車トヨタのクラッシュによるセーフティカーピリオドをかいくぐり、2号車ポルシェは2番手をキープし続ける。
そして178周目終わり、2号車ポルシェは最後のピットへ。ここでは給油のみを行い、ロスタイムを最小限に抑えると、レース残り約30分というところで、トップを走る8号車トヨタの8秒前方でコースに復帰してみせた。
しかし、後方から追いかける8号車トヨタが、最後のピットでタイヤを交換していたほか、コース特性とマッチするエアロキットを装着していたこともあり、猛攻を防ぎきれず。チェッカーまで残り7周というタイミングでトップの座を奪われてしまった。
2号車ポルシェは、そのまま走りきり総合2位でフィニッシュ。ポルシェは2台ともが表彰台に上がったことでマニュファクチャラーランキング1位でシーズンをスタートさせた。
■チーム代表「2台の919ハイブリッドは充分な戦闘力と信頼性を発揮」
チーム代表のアンドレア・ザイドルは「今日のレースで2位と3位を獲得できたのは優勝にも値する」とチームの活躍を賞賛する。
「バイザッハ、そしてここにいるすべてのチームメンバーを誇りに思う。このチームは信じられないことを成し遂げたんだ」
「ローダウンフォースパッケージで臨んだにも関わらず、2台の919ハイブリッドは充分な戦闘能力と100%の信頼性を発揮してくれた」
最終スティントで8号車に交わされたハートレーは「最後のスティントではギャンブルに出てトップでコースに戻った」と状況を振り返る。
「(セバスチャン・)ブエミは手強く、2位になってしまったが満足している」
「2位でのゴールだったけど、予想以上にギャップは小さく、多くの人がレース前に想像していた以上に接戦だった。だから、楽観的に捉えているんだ」
今年、ポルシェ陣営に移籍し、これがポルシェとの“初レース”となったロッテラーは「このチームで最初のレースを戦えたことを嬉しく思う」と語った。
「大きな問題はなかったけど、さまざまなことを学んでいる最中だというのも事実だ。919ハイブリッドの運転の仕方も、(アウディ)R18とはまったく違う」
「レース結果についてはポジティブに捉えているし、想像以上にトヨタとは良い争いができたたと思っているよ」