スーパーカーレース第1戦 スタートシーン 今年で4シーズン目を迎えるスーパーカーレースは、新たなパートナー、スーパーカーによる究極のエンターテイメント集団CARGUYを迎え、『CARGUYスーパーカーレース』として開催されることとなった。
昨年に引き続き、富士スピードウェイを舞台として、2大会・全4戦が予定されている。その第1大会が4月15日(土)にスタートを切り、予選と第1戦決勝レースが行われた。
■第1戦 予選
9時25分にスタートした予選は、上空に雲を浮かべるも、春めいた非常に爽やかなコンディションとなった。第1大会には11台がエントリーしていたものの、うち1台が練習中のアクシデントによりリタイアしたため、10台での出走となった。
最初にタイミングモニターの一番上に名前を記したのはKSD RACING SLS GT3の佐藤元春で、1分47秒198をマークするも、直後に上回ったCARGUY ROGER DUBUIS Huracan GT3の木村武史が、いきなり1分41秒498という驚異的なタイムを出した。
勢いに乗る木村はそのままタイムを短縮し続け、最後は1分39秒518を出し、昨年自らマークしたレコードタイムを更新した。
「コースレコードを更新できて良かったです。ただ、出した周はトラフィックに引っかかったり、セクター1がコンマ3秒遅かったりしていたので、本音としては38秒台に入れたかった」と木村。
「(ライバルとの)クルマの違いはあるので、差はかなりつきましたが、勝つとハンデキャップがついて、次のレースは厳しくなるでしょうから、今日のレースは確実に勝ちたいと思います」
2番手はCUP1クラスながら大健闘の、チーム和歌山with HOJUST・芦村モータース・ランボスタイルを駆る落合俊之で1分44秒109をマーク。3番手にはTaiwan Top Speed Huracan GT3のジョージ・チョウがつけ、KSD RACING SLS GT3の佐藤は4番手に留まった。
5番手はCUP1クラスでCARGUY RUF Huracan STを駆る小山美姫。そして、6番手はGT4/N1クラストップでBRP★Audi RS3 LMSを駆る奧村浩一。このマシンは先日のスーパー耐久でデビューさせたばかりのTCRで、N1ポルシェのWISE1ポルシェGT3を駆る佐藤賢一に10秒もの差をつけることとなった。
■第1戦 決勝
その予選からほぼ5時間を経て、40分間で争われる第1戦決勝レースが行われた。途中1回のピットストップが義務づけられ、最低でも30秒間は停止していなければならず、またプラチナドライバーが登録されていれば、さらに15秒追加。
スタートは予選を担当したジェントルマンドライバーが担当することとなっているため、早々と交代したいところだが、レース開始後15分間経過から10分間のうちに行わなくてはならない。
レースはローリングスタートによって開始。10台のマシンがストレートにゆっくりと戻りながら、グリーンシグナルの点灯と同時に一気に加速する。もちろんトップで1コーナーに飛び込んだのはCARGUY ROGER DUBUIS Huracan GT3の木村で、早々に後続を引き離しにかかる。
一方、その後方で激しい2番手争いを繰り広げていたのが、チーム和歌山with HOJUST・芦村モータース・ランボスタイルの落合とTaiwan Top Speed Huracan GT3のチョウだった。
しかし、それも4周目までで、チョウの先行を許した落合は徐々に遅れを取り、またそれまでもエンジンから異音を発していたこともあり、10周目にはピットに戻ってあえなくリタイアとなった。そして、6周目にはCARGUY RUF Huracan STの小山が、KSD RACING SLS GT3の佐藤をかわして4番手に浮上。
9周目からは15分経過したこともありドライバー交代が許される、ピットロードオープンとなる。ほとんどの車両が早々にピットへ戻ってくる中、GT3クラス勢は交代を遅らせる。
特にCARGUY ROGER DUBUIS Huracan GT3の木村はオープンにとなった時点で30秒もの大量リードを得ていただけに、それをさらに広げようという算段なのだろう。
11周目にまずは2番手のTaiwan Top Speed Huracan GT3がピットイン。ここでサムソン・チェンに交代する。そして、13周目にはトップの木村もピットに戻り、アフィク・ヤジッドにバトンを託すことに。
素早い作業も後押しして、ヤジッドがコースに戻ると、チェンとの差は1分近くにまで広がっていた。
一方、KSD RACING SLS GT3はピットクローズドになって、間もなく入ってきたではないか! 「ちょっと緻密に計算しすぎて、逆に計算が狂ってしまった」と語るのは佐藤のパートナーである平中克幸。
Taiwan Top Speed Huracan GT3への猛追体制を整えたのも束の間、ドライビングスルーペナルティが命じられ、3番手はそのままながら、大きく差を広げられてしまう。
そんな後続の波乱をよそに、木村以上の速さを見せていたのがヤジッドだった。16周目には1分39秒048を記録してファステストラップを更新したばかりか、次の周には38秒684にまで叩き込んでしまったのだ。
その後もアクセルを少しも緩めることなく快走、CARGUY ROGER DUBUIS Huracan GT3は1分29秒もの大差をつけて圧勝。木村とヤジッドが表彰台の中央で笑顔を見せることとなった。
「予定どおり確実に勝つことができました。プロ(ヤジッド)の速さも凄かったけれど、僕も昨年より1秒半も早く周回でき、自分の進化も感じることができました」と木村。
「明日はハンデ(優勝するとピット停止時間を15秒追加)があるので厳しい戦いになるのは覚悟していますが、また頑張ります」
総合4位はGT4/N1クラスをも制した、BRP★Audi RS3 LMSの奧村浩一と秋吉圭が獲得。同じクラスのライバルを少しも寄せつけなかったばかりか、全車を周回遅れに。
「レースは楽勝。練習を兼ねての参戦でしたし。ただS耐の時に出ていた燃料系のトラブルは、まぁまぁ大丈夫だったんですが、完全には解決していなかったので、ちょっと心配。明日のレースで出ないとも限らないですから……」と奧村。
CUP1クラスは、小山からCARGUY RUF Huracan STを託されたばかりのケイ・コッツォリーノがアクシデントに見舞われた。1周目のストレートで左のリヤタイヤがバースト。
巧みにコントロールしてクラッシュは逃れたが、ピットに戻ることは許されなかった。「実は昨日の練習中にもバーストしているんです。多分キャンバーが合っていないんでしょう」とコッツォリーノ。完走扱いとなって優勝という結果が残されたものの、心境は複雑だろう。
なお、日曜日に行われる第2戦決勝レースのグリッドは、第1戦のベストタイム順に決められるため、木村とヤジッドがドライブするCARGUY ROGER DUBUIS Huracan GT3が再びポールポジションからスタートを切る。
これに続くのは佐藤と平中のKSD RACING SLS GT3。第1戦の無念を晴らせるか注目したいところである。
CARGUYスーパーカーレースの第2戦決勝レースが、素晴らしい好天の下、富士スピードウェイを舞台に4月16日(日)に開催された。
■第2戦 決勝グリッド
第2戦のスターティンググリッドは、第1戦のベストタイム順に決められたため、木村武史/アフィク・ヤジッド組のCARGUY ROGER DUBUIS Huracan GT3がポールポジションからスタート。
これに佐藤元春/平中克幸組のKSD RACING SLS GT3が続き、GT3クラス勢によってフロントローが占められることとなった。
3番手にはCUP1クラスのトップ、小山美姫/ケイ・コッツォリーノ組のCARGUY RUF Huracan STがつけ、4番手にはGT3クラス3番手の、ジョージ・チョウ/サムソン・チェン組のTaiwan Top Racing Huracan GT3が。
本来ならば5番手から落合俊之/松本武士組のチーム和歌山with HOJUST・芦村モータース・ランボスタイルがスタートするはずだったが、電気系トラブルによるエンジン不調が解消せず、決勝を前にしてリタイアを喫することとなった。
そして、6番手でGT4/N1クラスのトップは奧村浩一/秋吉圭組のBRP★Audi RS3 LMSが獲得し、佐藤賢一のWISE 1ポルシェGT3を従えていた。
■第2戦 決勝
第2戦は50分間で争われ、スタートから20分間経過した後にピットレーンオープンとなってから10分間、ドライバー交代が可能。またピットでの停止時間は、第1戦で優勝したチームには15秒、2位には10秒、そして3位には5秒追加されることとなっている。
その決勝レースは上着がいらないほど、この時期としてはかなり高めの気温で争われることとなった。10時5分からコースイン開始となり、ピットを離れたマシンはグリッドに並び青空の下、各車華やかなカラーリングが大いに映えることとなった。
第2戦はBドライバーがスタートを担当するため、プラチナドライバーたちの意地と意地のぶつかり合いが、いきなり開始される。
1コーナーにトップで飛び込んでいったのは、もちろんCARGUY ROGER DUBUIS Huracan GT3のヤジッド。これに続いたのはCARGUY RUF Huracan STのコッツォリーノで、1コーナーでは早々とKSD RACING SLS GT3の平中をかわすこととなった。
優勝ハンデをカバーすべくヤジッドは逃げるも、コッツォリーノも極端に広げることを許さず、逆に平中はじわりじわりと引き離していく。
4番手はTaiwan Top Speed Racing Huracan GT3のチェン。こちらは慌てず、ポジションキープの構えを見せていた。
一方、GT4/N1クラスではオープニングラップに、トップが入れ替わる。「ニュータイヤを入れたのでセットを変えてみたんですが、十分タイヤを温め切れていなかったため、突然ズルッときてしまった」というBRP★Audi RS3 LMSの秋吉は4番手に後退。
2周目には2番手に上がるが、WISE 1ポルシェGT3の佐藤の先行を許してしまう。だが、ラップタイムでは5秒も上回ることから、4周目には再逆転に成功。そこからは何事もなかったかのように、佐藤を引き離していった。
13周目から、いよいよピットレーンがオープン。その時点でヤジッドは約20秒のリードを得ていたが、それでは十分ではないと判断したのだろう。
16周目までクローズ3分前まで走り、ほぼ30秒となるところでピットイン。そして木村にCARGUY ROGER DUBUIS Huracan GT3のシートを託すこととなった。
一方、早めに入ってきたのが、4番手を走行していたTaiwan Top Speed Racing Huracan GT3で、オープン直後にチェンがチョウと交代。15周目にはKSD RACING SLS GT3が佐藤に、しんがりとなったCARGUY RUF Huracan STは17周目に小山と交代した。
その結果、トップに小山がつけて、2番手には佐藤。しかし、3番手で折り返したチョウがすぐ後ろにつけており、19周目には2番手に浮上。
木村は4番手につけるも、交代直後のトップとの差は44秒あったが、ラップタイムの違いは7~8秒にも及んでいたため、逆転は時間の問題と思われた。ところが、21周目の1コーナーで小山はオーバーラン。
またしてもCARGUY RUF Huracan STに、左リヤタイヤのバーストがあったためだ。健闘むなしく、2戦連続でリタイアを喫することとなる。
これにより、Taiwan Top Speed Racing Huracan GT3のチョウがトップに立つとともに、差がすでに15秒ほどとなっていたCARGUY ROGER DUBUIS Huracan GT3の木村の逆転も、かなり現実味を帯びる……はずだった。
なんと、その直後に黒旗が提示された。義務づけられたピットでの停止時間が、わずか3秒短かったため同秒数3秒のペナルティストップが命じられたからだ。
22周目に木村は佐藤を抜き2番手に上がっていたが、やむを得ず23周目にピットに滑り込んでくる。その結果、3番手に退いたばかりか、トップとの差は1分以上も広がっており、逆転優勝の希望が断たれることとなった。
さらに追い打ちをかけるかのように波乱の展開が、ラスト2周で起きた。左リヤタイヤのバーストが原因でKSD RACING SLS GT3がヘアピンでストップしたのだった。
復帰はならなかったものの、規定周回を満たしていたことから3位という結果は残された。一方、1分を切るまでにCARGUY ROGER DUBUIS Huracan GT3には迫られたものの、難なく逃げ切りを果たし、CARGUY Taiwan Top Speed Racing Huracan GT3のチョウとチェンが優勝を飾った。
■コメント
「とても嬉しい! 我々には運もありましたね。木村さんがまさかペナルティを受けるなんて。そのことは気の毒だと思いますが、自分としてもいい走りができたと思うので、よけいにハッピーです」とチェン。
そして、「とてもエキサイティングな週末でした、GT3を走らせるのは、このレースが初めてでしたが、昨日より上手に走れて、もちろんハッピーな気分です」
「トップに立った時は天にも立った気分でしたが、すぐに冷静になってミスをしないよう、しっかり気を引き締めて走りました」
「それにしてもストレートでメーターを振り切って、最後はリミッターにまで当たるなんて経験ができて、最高でした。また次回も出たいと思っています」と笑顔でチョウは語っていた。
一方、2位でゴールした木村も「ピットでメカが頑張りすぎましたね。何もなければ、逆転できた可能性もあるので少し残念ですが、レース的にはいい内容だったので、満足はしています。また挑戦しますので、応援よろしくお願いします」とスポーツマンらしく清々しく語っていた。
またGT4/N1クラスも、波乱の展開に。16周目に奧村への交代後は、WISE 1ポルシェGT3の佐藤に先行を許していたBRP★Audi RS3 LMSだったが、いずれ逆転するものと思われていた。
しかし秋吉がピットロード入口でスピード違反をおかしてしまったため、ドライビングスルーペナルティを課せられてしまう。
再び逆転すべく、必死に佐藤を追いかけていた奧村だったが、「リヤタイヤがかなり苦しくて」とペースアップがなかなか許されない。それでも最終ラップには30秒以上もあった差を詰め、バックミラーに大映しになるところまで迫るも、あと1秒届かず。佐藤が辛くも逃げ切って優勝を飾った。
「本当に嬉しいです。後ろから一気に来ていたのは分かっていましたが、無線で『頑張れ、頑張れ!』と言われて踏ん張って、それに思った以上に自分でも冷静でしたね。
ポルシェの方がストレートは速いので、なんとかなるかなと最終ラップも思いました。しっかり最終コーナーを普段は3速で抜けるのですが、最後は2速にして加速重視! 実は今大会が初レースなんです。いきなりこんな思いができるとは」と佐藤。
なお、次大会は9月16~17日に、再び富士スピードウェイを舞台に開催される。次回も今大会以上に、大いに盛り上がることを期待したい。