F1シーズンを転戦していると普段見かけない人との出会いがある。そんな人に、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねてみる特別企画。今回は、元F1のボスであるバーニー・エクレストンだ。
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今年の1月にF1の株式を買収したリバティ・メディアのチェイス・ケアリーがF1の新たな会長兼CEOに就いたために最高権威の座から身を引いたバーニー・エクレストンが、バーレーンGPを訪れた。
最高権威の座から退いてから初めて公の場に登場したということもあり、多くのメディアがエクレストンを囲んだ。F1の主導権はケアリーらに移されたが、メディアはいまだエクレストンの一挙手一投足に注目している。メルボルンでも上海でも、ケアリーの周辺には数人のメディアしかいなかったのに対して、バーレーンGPにエクレストンが現れると、たちまち大勢のメディアが取り囲んだ。
「今年はフェラーリが調子がいいから、これまでよりもエキサイティングなシーズンだな。これにレッドブルが絡んできてくれるとさらに良いレースになるね」
ところでエクレストンは今回、何をしにバーレーンを訪れたのだろうか。
「私はただレースを見に来ただけだ。私にとってレースは人生そのものだからね。名誉会長としての私の新しい役割は何かって?それは私にもわからない。何しろ、彼ら(リバティ・メディア)は誰一人、私にコンタクトして来ないんだから。昨年の12月30日から、ね」
エクレストンといえば、最近ブラジルGPを救済するためにインテルラゴスを買収するのではないかという噂があるが、その話の真偽はどうなのだろう。
「答えは、ノーだ。私はそれはやらない。したがって、誰かがサーキットを買収しない限り、レース開催が継続されることもない」
もうひとつ、最近リバティ・メディアのキャリーがトルコのエルドアン大統領と会談を行い、トルコGPの復活に向けた話し合いを行ったというニュースも流れてきたが、その件についてエクレストンはどのような考えを持っているのだろうか。
「私はトルコのサーキットが好きだし、素晴らしいレースだったと自負している。だから、復活するようなことになれば、うれしいよ。彼らがより少ない資金でレース開催の準備をすることができれば、トルコGPは復活するだろう」
今後、エクレストンはF1とどのように関わり、サポートしていくつもりなのだろうか。
「私はもはや会長でもCEOでもない。F1の将来は私からその座を奪った彼ら(リバティ・メディア)が責務を担っている。私はこう見えても、忙しいんだからね」