2016年までPWCに参戦していたリアルタイム・レーシングの「アキュラTLX-GT」 “Race to the Cloud(雲へ向かうレース)”として知られるアメリカ・コロラド州コロラドスプリングスで開催されるパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(PPIHC)の2017年大会に、北米ホンダが専用開発した『アキュラTLX-GT』が参戦することが明らかになった。
今年で101年目に突入した伝統のイベントは、標高2300m付近のスタート地点から、4300mのゴールまでを一気に駆け上がる世界最高峰のヒルクライム・イベントで、例年世界各国から強豪のエントリーを集めている。
昨シーズンはEV改造クラスに山野哲也のドライブで『アキュラNSX インスパイアド 4モーターEVコンセプト』を送り込んだホンダは、エレクトリック・モディファイドクラスで2位、総合でも3位を獲得。また、発売前のプロトタイプNSXがタイムアタック2クラスで見事クラス優勝を挙げるなど、活躍を見せた。
今回で95回目となるイベントへの参戦を表明した北米ホンダは、2014年から16年シーズンまでピレリ・ワールドチャレンジ(PWC)に参戦したリアルタイム・レーシング(RTR)の『アキュラTLX-GT』をベースに、専用のモディファイを施したマシンを開発。ドライバーには昨年限りでPWC参戦レギュラーの座を退いたRTRのオーナー、ピーター・カニンガムが起用される予定で、自身が開発にも携わってきた勝手知ったるマシンで、全長約20km、156のコーナーが待ち受ける名物コースに挑む。
TLX-GTが参戦するクラスは、改造無制限の“オープン・クラス”となり、すでにマシンはホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)とRTRの手により、ミルウォーキーのファクトリーでモディファイがスタート。
2015年のPWCシーズン参戦時のマシンに基づき、駆動系は全輪トルク制御を可能とするホンダ自慢のSH-AWDを採用する。
チームは公式声明のなかで「オープンクラスのルールはかなり自由度が高いので、TLXはドライブトレーン、サスペンション、空力の面でモディファイの恩恵を受けることができるだろう」と述べている。
今季は6月25日の開催が予定されている同イベントには、日本からもおなじみの面々が参戦予定。イベント公式サイトで発表されているエントリーリストによれば、“モンスター田嶋”こと、田嶋信博が17年型のEVマシン『Tajima motor E-RUNNER』でアンリミテッド・クラスに参戦。また、近年トヨタ・モータースポーツGmbH(TMG)とのタッグで挑んでいるラリーストの奴田原文雄はタイムアタック部門にトヨタ86でエントリーしている。
そのほか海外勢では、ラリークロスのスタードライバーであるリアム・ドーランがシトロエンDS3で、そして毎年総合優勝争いを展開する昨年王者のロマン・デュマも、新型のノルマMXX RDリミテッドで引き続き参戦を予定している。