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スーパーフォーミュラ、JSB1000も来週開幕。鈴鹿2&4を楽しむ2017年のポイントを紹介

2017年04月16日 07:32  AUTOSPORT web

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中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)
スーパーGTが岡山で開幕を迎えたが、もうひとつの国内最高峰カテゴリーであるスーパーフォーミュラがいよいよ来週末に鈴鹿サーキットで開幕を迎える。開幕戦のスーパーフォーミュラは、恒例となっている2&4としてJSB1000も併催。今シーズンの鈴鹿2&4の見どころはどこになるのか。

 スーパーフォーミュラでは今年、チームのラインアップが大きく変わった。新人ドライバーとして全日本F3から山下健太、ニック・キャシディがともにKONDO RACINGから参戦し、ピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)、フェリックス・ローゼンクビスト(SUNOCO TEAM LEMANS)、ヤン・マーデンボロー(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)を合わせた5人がスーパーフォーミュラデビューを果たす。

 その中でも、ガスリーとローゼンクビストの実績が飛び抜けている。ガスリーは昨年GP2(現F2)のチャンピオンを獲得し、レッドブルの育成ドライバーとしてF1トロロッソのシート争いに加わり、残念ながら今年のF1デビューはならなかったものの、レッドブル/トロロッソの次期F1ドライバー候補。昨年スーパーフォーミュラに参戦し、今季マクラーレン・ホンダでF1デビューを果たしたストフェル・バンドーンと同じパターンでの参戦となる。

 一方のローゼンクビストはF3世界一決定戦として知られるマカオGPを2連覇し、ヨーロピアンF3を制するなど世界的な実績が高く、さらにはインディ・ライツやフォーミュラE、そしてDTMなどインターナショナルな経験が豊富なドライバーだ。「来日するにあたって、僕のマネージャーでもある元F1ドライバーのステファン・ヨハンソンや、マーカス・エリクソン、スーパーGTに参戦するビヨン・ビルドハイムにもアドバイスをもらったんだ」と同郷の先輩たちからアドバイスをもらい、初めての日本でのレース参戦にこぎ着けた。

 また、国際的な実績は少ないものの、マーデンボローは一昨年にもスーパーフォーミュラのテストに参加し、雨の岡山では抜群の速さを見せて関係者を驚かせており、ポテンシャルは高い。全日本F3組のふたりを合わせた5人のルーキーはいずれも、骨のある強者ぞろいだ。

 ハード面では「クイック&ライト」のコンセプトのもとで製作されたダラーラ製シャシーSF14を引き続き使用し、エンジンはトヨタ、ホンダがそれぞれ昨年型のアップデートバージョンを開発。タイヤは昨年からワンメイクに復帰したヨコハマタイヤが2年目を迎え、このオフのテストではかなりの進化が伺える。同じF3000クラスのF2と比較するよりも、F1と比較した方が適切とも言える高速性能を備えた現在のスーパーフォーミュラのパッケージ。昨年のバンドーンのように、F1を目指すドライバーの世界的な登竜門になりつつある。

 このオフのテストでは、ヨコハマタイヤの2年目の進化が相まって、コースレコードが続出。新しいタイヤとのマッチングが詰められて迎える開幕戦の鈴鹿では、コースレコードとなる新次元の速さが期待される。

 鈴鹿、富士で行われた2回のテストでは両方ともVANTELIN TEAM TOM’Sが首位を奪っており、進化したタイヤとのマッチングで他チームに一歩先んじている様子が伺えた。このトムスに、2年連続ドライバーズチャンピオンを輩出しているP.MU/CERUMO・INGINGの国本雄資、そして石浦宏明がどう挑むのか。そしてホンダ陣営の中ですにでトップタイムを維持し、エースの風格すら漂っているガスリー、そしてチームメイトの山本尚貴がどのように絡むのかが、今年のスーパーフォーミュラの序盤の見どころとなりそうだ。

 開幕戦の鈴鹿は、ピットインの義務がない、200km(35周)のスプリントバトルとなる。予選の順位とスタートの出来が勝敗の大きな分かれ目となるだけに、まずは土曜日の予選から激しい戦いになることは間違いない。

■2輪は鈴鹿8耐に向けての前哨戦となるセミ耐久

 スーパーフォーミュラと同じ200kmのレース距離で争われる全日本ロードレース選手権JSB1000クラス開幕戦。スーパーフォーミュラでの200kmはスプリントレースとなるが、JSB1000クラスでの200kmはセミ耐久レースという扱いとなる。

 200kmのセミ耐久は、昨年の鈴鹿2&4レースで13年ぶりに復活。夏に開催される日本最大のバイクレース、鈴鹿8時間耐久ロードレースの前哨戦という意味合いが強く、エントリー台数も多い。

 レースのスタートはスタンディングスタートではなく、8耐でもお馴染みのル・マン式スタートで始まる。レース中はピット作業も行われるため、ライダーの速さだけでなく、ピットクルーの作業スピードも重要だ。そのため鈴鹿2&4では、ライダー、チームの歯車がうまくかみ合わない場合、上位チームでも下位に沈んでしまうという波乱も起こる可能性がある。

 2017年シーズンのJSB1000クラスの見どころは、まずはHondaとスズキが新型マシンを開発してきたこと。HnodaはCBR1000RR SP2、スズキはGSX-R1000を投入し、2台の新型マシンはテスト結果からも高いパフォーマンスを見せている。

 3月に行われた鈴鹿のJSB1000クラス合同テストでは、Hondaマシンを使用するMuSASHi RTハルク・プロの高橋巧がトップタイムを記録。スズキマシンを使用するヨシムラスズキMOTULレーシングの津田拓也が2番手のタイムを記録した。

 テストに登場したHondaのマシンは、昨年型と現行型のハイブリッドだったが、テストのタイムから、昨年のマシンよりも大幅にパワーアップしているのは確か。

 2番手のタイムを記録したスズキの津田は、テストで初めてヨシムラチューンのGSX-R1000を走らせたため、まだ感触をつかんでいる段階。それでも、2番手のタイムを記録しただけに、開幕戦ではヤマハYZF-R1と並ぶ速さを見せるだろう。

 また、カワサキは今シーズンからチーム名をカワサキチームグリーンに変えて参戦。ライダーラインアップも一新した。新たにチームに加入したのは、TSR Hondaから世界耐久選手権(EWC)に参戦していた渡辺一馬と若手ライダーの松崎克哉のふたりだ。

 さらに、ライダーラインアップの一新するとともに、使用するマシンも昨年まで使用したカワサキZX-10Rを改良した『カワサキZX-10RR』で全日本ロードに挑む。カワサキは新たなライダー、マシンとともに17年ぶりのチャンピオン獲得に挑む

 開幕戦鈴鹿のJBS1000クラスの本命は、ヤマハの中須賀克行だ。中須賀は全日本ロード最高峰クラス、JSB1000クラス5連覇中の絶対王者。2017年シーズンも引き続き、ファクトリーチームの『ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム』から参戦し、まだ誰も成し遂げていないシリーズ6連覇、通算8度目のチャンピオン獲得に挑む。

 そんな中須賀に挑むのが、新型マシンを手に入れたHondaの高橋巧、スズキの津田拓也や、カワサキの改良型マシンを駆る渡辺一馬といったトップチームのライダー。この3人のライダーが中須賀の連覇を止めるのか。それとも中須賀が6連覇を成し遂げるのか。2017年シーズンのJSB1000クラスは開幕戦は新たな時代の幕開けとなる。