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難病の7か月息子を生かせてやりたいと願う親、裁判で病院側と対立(英)

2017年04月15日 21:04  Techinsight Japan

Techinsight Japan

難病の息子のため米最新治療を受けさせたい親の願いに、裁判では…(出典:http://www.dailyrecord.co.uk)
数多くの小児の病と対峙してきた有名病院の医師が匙を投げたということは、我が子の“死”を意味するに等しい。しかし愛する息子に海外での治療を受けさせたいと病院側と真っ向から対立している両親が、このほど裁判で病院側の意向を尊重する決断が下されて泣き崩れた。『Daily Record』など複数メディアが伝えている。

英ロンドン西部ベドフォント(Bedfont)に住むコニー・イエイツさんとクリス・ガートさんは息子を授かり、2016年8月にチャーリー君(8か月)が生まれた。しかしチャーリー君は、筋肉や腎臓、脳にエネルギーを供給するミトコンドリアの異常で起こる「ミトコンドリアDNA枯渇症候群」の中でも世界で16例しかない極めて珍しい難病を患っていた。

生後8週から容体が悪くなったチャーリー君は、その後入院の日々を過ごしてきた。検査で病名が明らかになったのは昨年10月のことだったという。チャーリー君の場合は進行性の筋力・臓器の低下が見られるほか脳にダメージを受けており、現在はロンドンにあるグレート・オーモンドストリート病院で人工呼吸器を装着して入院中である。ところが小児医療のスペシャリストが数多く揃うこの有名病院の医師は、治る見込みもないとされる重い病を抱えたチャーリー君に対して人工呼吸器を外すことを両親に提案した。そして高等裁判所でその許可の申請を行った。

コニーさんとクリスさんは断固として病院側の提案に反対し、懸命になってチャーリー君を救ってくれる世界中の病院を探し、ついにアメリカのある医師を見つけた。そして病院側と対立する形で法廷で「海外で息子に治療を受けさせたい」と願い出た。しかし渡米先の治療には高額な費用がかかり、“実験的な”治療を施したとしても生存の見込みが薄いとされていた。

裁判所は1か月の猶予を夫妻に与えたが、コニーさんとクリスさんは諦めたくない一心でオンライン募金サイト「GoFundMe」にアカウントを設置し、このように呼び掛けた。

「私たちは、チャーリーを難病だからといって諦めて死なせたくはありません。これまで16例のみと言われている病ですが治療により助かった例もあります。息子にも生きるチャンスはあるはずです。もしアメリカでの治療が成功すれば、チャーリーだけでなく難病を抱えて生まれて来た子供たちの励みにもなるでしょう。希望を捨てたくない私たちですが、万が一、裁判で負けてしまったらみなさんから寄せられたお金は、息子と同じ病を抱える子供たちのためのチャリティー基金にしたいと思っています。」

そして4月11日の裁判で、判事から「チャーリー君の生命維持装置を外すことを許可する」という判決が下された瞬間、クリスさんは「NO!」と叫びコニーさんはその場に泣き崩れた。判決に納得できない夫妻は起訴する意向を示しているが、その結果次第でチャーリー君は今後、病院から緩和ケアの処置が施されることになるという。

わずか8か月のチャーリー君に下された「安楽死を認める」判決。このニュースを知った人々はコニーさんとクリスさんに同情しているが、中には専門医の見方は正しいのではといった意見もあるようだ。しかし多くの人が夫妻の胸のうちに心打たれ、これまで8万人以上から127万ポンド(約1.7億円)を超える寄付金が集まっている。

出典:http://www.dailyrecord.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)