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WEC開幕戦:トヨタ、最速タイムに手応え。中嶋一貴「理想的なスタート切れた」

2017年04月15日 19:22  AUTOSPORT web

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トヨタTS050ハイブリッド 2017年WEC第1戦シルバーストン
4月14日、2017年WEC世界耐久選手権がイギリス・シルバーストンで開幕した。TOYOTA GAZOO Racingは、初日に行われた2回のフリー走行で、ともにトップタイムを記録する好スタートを切っている。

 16年シーズン最終戦から今日に至る約5カ月の間に3万5000kmに及ぶ走行テストをこなしてきたTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、17年シーズンに向けて全面改良を施した『トヨタTS050ハイブリッド』を開幕戦シルバーストンに持ち込んだ。

 今季はレギュレーションの変更により、1シーズンの間に使用できる空力パッケージが3種類から2種類に削減されているが、TGRはストレートと高速コーナーが組み合わさるシルバーストンで、マシンの性能をフルに発揮できるようにハイダウンフォース仕様のエアロパッケージを投入している。

 レースウイーク初日に実施されたフリー走行1回目、2回目では最適なセットアップの確認作業が進められると同時に空力と新型パワーユニットの最適化、さらに17年仕様のミシュランタイヤのデータ収集を行った。

 大幅な改良が施された17年型マシンはその効果を如何なく発揮し、夕方に行われたフリー走行2回目では、中嶋一貴が駆る8号車TS050ハイブリッドが1分38秒210というタイムを記録。

 このタイムは2015年に、ライバルのポルシェが記録したLMP1カーによるシルバーストンのレコードタイムを1.3秒以上更新するものだった。

 また、マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ-マリア・ロペスがドライブする7号車も、トップタイムを記録した8号車から僅か0.234秒差の2番手につけている。


初日ベストタイムをマークした一貴は「順調なスタートが切れましたし、マシンにも満足しています」と語る。

「パワートレイン、シャシーともに明確な改良が図られ、とても力強く感じます」

「パフォーマンスについては正確なところは分かりませんし、まだライバルと比較するのは困難です。しかし、我々はロングラン、ショートランとともにいい状態で、心配はしていません」

 また、7号車を駆り2番手タイムをマークした可夢偉は次のようにコメントした。

「冬の間のオフシーズンテストに頑張ってきた努力が報われ、前年と比べると格段に改良がなされたと実感します」

「マシンのバランスについては好感触ですね。細かい部分ではまだ改良の余地はありますが、今日の時点ではベストに近いパフォーマンスを示せたと思います」

 今季新加入したロペスは「まるでお菓子屋さんにいる子供のように幸せな気分だよ」とWECデビュー戦の感想を語っている。

「初めてLMP1のテストに参加して以来、ずっとこの日を待っていたんだ! 今日一日、とても楽しく、こんなに戦闘力の高いマシンでレースができることを光栄に思うよ」

「今日はコース上のトラフィックの処理について多くのことを学んだ。レース本番に向け、緊張感が徐々に高まっているけど一周一周を楽しんでいくよ」

 2台のTS050ハイブリッドは初日大きなトラブルもなく合計146周、861kmを走破し予選、決勝に向け万全の準備を整えた。土曜に行われる公式予選では14年以来手にしていないポールポジションの獲得を目指す。