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「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『ReLIFE リライフ』『グレートウォール』

2017年04月15日 16:22  リアルサウンド

リアルサウンド

『ReLIFE リライフ』(c)2017「ReLIFE」製作委員会 (c)夜宵草/comico

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、編集スタッフ2人がそれぞれのイチオシ作品をプッシュします。


■『ReLIFE リライフ』
 夢の中では半年に1回ほど高校生に戻っています。そんなリアルサウンド映画部のゆとり女子・戸塚がオススメする作品は、『ReLIFE リライフ』。


 本作は、マンガアプリ「comico」で連載中の人気漫画『ReLIFE』を、中川大志と平祐奈のW主演で実写化した青春ラブストーリー。大学院を卒業後、入社した会社を3ヶ月で自主退職した現在ニートの27歳・海崎新太が、薬で見た目だけ若返り、1年間の高校生活を送る模様を描きます。


 もし、私が今高校生に戻れたらどんな生活を送るだろう。そんな妄想をついついしてしまう夢に溢れた作品です。学校という名の一種の隔離された特殊な空間に、突然“高校生”として放り込まれたら……。きっと大人たちは困惑し、戸惑うのではないでしょうか。飲酒喫煙はもちろんアウトです。先生の中には、自分より歳下なんて人もいるでしょう。大人となった今、学校(大学、専門、夜間、通信制などは除く)という世界に“生徒”として足を踏み入れることはなかなかできません。私たちから見たら、もはや“異世界”のようなものなのです。そこで1年間どう生き、何を学び、何を与え、何を得るのか。27歳になった今、2度目の高校生活を送るからこそ、見えるものがあります。現実ではありえない設定なのですが、『ReLIFE』は“人間”の心情や言動などがリアルに表現されているからこそ、ワクワクします。


 この作品の面白さは、人の温かさで溢れているところです。主人公の海崎くん(中川大志)は、とても心優しい青年で、とにかく情に厚い。それゆえにお節介が炸裂しています。そんな海崎くんの真っ直ぐさに、周りは巻き込まれていき、次第に救われていく。まさに太陽のような存在で、周囲を照らし導いていきます。そして自分が発した光を受け、さらに温かさを増した“心”たちが、何倍にもなって海崎くんの元に返ってくるのです。気づいたら海崎くん自身も成長し、前に進んでいました。たった“1年間”という限られた時間の中で、壁にぶち当たりながらも着実に1歩ずつ前に進んでいく彼らの姿に、胸が熱くなります。


 夏祭りや学園祭、卒業式などといった王道の行事、すなわち“THE青春”が、ぎゅうぎゅうに詰め込まれている本作。それはもうキラッキラッに輝いています。眩しいほどに。特に、浴衣姿でみんなが雨の中、笑い合いながら走るシーンなんて、なんなんですか! 最高にきらめいています。笑顔が下手くそな日代さん(平祐奈)が、あんなにも心から楽しそうに笑っているなんて……可愛いすぎてキュンと心臓を持っていかれました。まさに青春、これぞ青春。同じ体験をしたわけではないのに、鑑賞中なぜか私の中に“懐かしさ”と“高校時代の思い出”が終始こみ上げてくるから不思議です。


 物語が進むにつれ、徐々に海崎くんがなぜ会社をやめたのか、彼が知らなかった真実、そして隠されたもうひとつのストーリーが明かされていきます。そんな“謎”も散りばめられている本作だからこそ、普通の青春ラブストーリーとは一味違うのです。原作の連載がまだ続いているからこその、映画オリジナルの結末もまた素敵でした。社会復帰プログラム「リライフ」、本当にあったらいいのにと思わずにはいられない、希望に溢れた作品です。10代はもちろんのこと、20代30代と大人たちもまた楽しめます。ティーンたちとは違った角度から、青春に浸ることができるのではないでしょうか。人生に一度きり、一瞬しかない青春時代をあなたならどう過ごしますか? 「人生、やり直してみませんか?」


■『グレートウォール』
 リアルサウンド映画部のロン毛担当・宮川がオススメするのは『グレートウォール』。


 『HERO』(02)や『LOVERS』(04)など、過去に壮大な歴史劇を撮り上げてきたチャン・イーモウ監督が、“万里の長城”の歴史に迫る作品でハリウッド・デビューを飾るーー。初めてその情報を聞いたとき、莫大な予算がかけられた、より壮大な歴史劇になることを予想していたが、予想を大きく裏切るまさかの“怪獣映画”に仕上がっていた……。


 本作『グレートウォール』は、史実と伝説が混在している万里の長城の“伝説”のひとつだといい、金や名声のために中族を訪れた傭兵ウィリアムが、捕えられた禁軍と手を組み、饕餮と呼ばれる中国神話の怪物に立ち向かう姿が描かれるのだ。


 原案には『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』のエドワード・ズウィック、脚本には『フィクサー』のトニー・ギルロイといったフィルムメーカーたちも参加しており、『GODZILLA ゴジラ』や『キングコング:髑髏島の巨神』などの作品で知られるレジェンダリー・ピクチャーズが本作にどれだけ力を入れているかが窺い知れる。


 とはいえ、本作の魅力は脚本やストーリー展開ではなく、大スケールで展開されるアクションやバトルシーンにあると言えるだろう。弓矢や盾といった武器を使いながら、なんとも気味の悪い怪物・饕餮に挑む人間たち。それも、万里の長城の大迫力のセットなどで描かれるのだから、映像はとにかくとんでもないことになっており、一見の価値あり。


 万里の長城が舞台であるにもかかわらず、マット・デイモンやウィレム・デフォーなど白人キャストが登場することで“ホワイト・ウォッシュ”の観点から批判の声が上がったり、全米では興行的に振るわなかったり、マット・デイモンは第89回アカデミー賞授賞式の舞台で、本作に主演したことをイジられたりと、本国アメリカでは残念なトピックが目立ってしまったが、映画ファンとしては、マット・デイモンとアンディ・ラウの共演も見逃せないはずだ。