インディカーやIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップと併催された、ピレリ・ワールドチャレンジ第2戦ロングビーチで、リアルタイム・レーシング(RTR)からエントリーする2台のアキュラNSX GT3がアクシデントに遭遇する不運なレース展開ながらも奮闘。そろって完走を果たし、11位、13位でチェッカーをくぐった。
43号車ライアン・エバースレーと、93号車ピーター・コックスは、それぞれ予選で13番手、10番手の好位置を獲得。公式戦デビュー2戦目を迎える新型アキュラNSX GT3は週末を通じて好調なペースを見せていたものの、スタートした2台に悲運が襲う。
5ワイドとなったローリングスタートから先行する2台をパスし、8番手で左の1コーナーへターンインへしていたコックスは、エイペックス付近で左リヤから後続に接触されマシンを破損。ポジションを17番手にまで落としてしまう。
この混乱を引き起こしたのが、実はRTRのチームメイトであるエバースレーと8号車キャデラックATS-V.R.のマイケル・クーパーのバトルだった。8号車キャデラックのインサイドからブレーキングしたエバースレーが姿勢を乱しクーパーのキャデラックにヒット。押し出されたクーパーがコックスのマシンに追突する形となってしまったのだ。
「本当に狂ったスタートだったよ」と振り返るコックス。
「3日間トラックにいて、誰もが起きて欲しくないと願う種類のアクシデントだ」
「それも最初のラップは特にね。週末はマシンのペースが良く、それを披露できるチャンスだっただけに、本当に残念だった」
一方、自身もフロントグリルやフェンダー、ヘッドライトに損傷を負ったエバースレーも、なんとか粘りの走りを披露し12番手を走行していたが、レース中盤にはまた新たなアクシデントが発生する。
日曜は午前中から快晴に見舞われ、雨が降らなかったにもかかわらず、コースの一部が水浸しになる奇妙な現象が発生。その後も水量が増え続け、コースには川ができるのほどの状況に。
「すぐにチームに無線で状況を知らせたよ。何か問題が発生している、とね。本当に一瞬で川みたいになってコースを横切る状態になったんだ」とエバースレー。
これでレースは赤旗中断。原因は道路工事の現場で消火栓が壊れ漏水したもので、コースマーシャルの懸命な復旧作業で25分後には再開となった。
リスタートで4台の集団を率いたエバースレーは、ヘアピンで1台をパスし、11番手を確保。そのままチェッカーまでポジションを守った。
レース後、エバースレーは「1台をパスした後、ギャップを築けたのは良かった。でもレース序盤のアクシデントは僕が引き金になって、お互いのポジションを落としてしまった。本当に残念なことだったよ」とコメントした。
また、コックスもクーパーのキャデラックを再度オーバーテイクしたのち、さらに前方を走るジョニー・オコネルのATS-V.Rもクラッシュで戦列を去ったため13位にポジションアップを果たし、そのままフィニッシュを迎えた。
NSX GT3プロジェクトを統括する北米ホンダのリー・ニフェネガーは「レースの早い段階で順位を下げる事態となったことはとても残念だった」と振り返った。
「このコースはオーバーテイクが難しく、そのことが挽回を困難なものにした」
「しかしNSXは力強いレースラップを見せてくれたし、今週のテストでさらにマシンを速くしていくつもりだ」
RTRはこの東海岸遠征を利用して、ラグナセカ・レースウェイでのテストを敢行。その後、4月28~30日に開催される第3戦バージニア・インターナショナル・レースウェイでのロードコース・イベントに臨む予定となっている。