第3戦バーレーンGPの木曜FIA会見は、珍しく第1部が盛り上がりに欠け、第2部に質問が集中するといういささかアンバランスな展開となりました。それもそのはず、第2部にはフェルナンド・アロンソが招集されていたのです。
まず第1部の登壇者はルイス・ハミルトン、セルジオ・ペレス、ストフェル・バンドーンの3人。いつもならハミルトンにいろんな質問が飛び交うところなのですが、さすがに開幕戦から3戦続けての登壇であり土曜・日曜のトップ3会見も皆勤賞とあって、フロアからの質問もさほど長くは続かず、わずか15分ほどで早々に終わってしまいました。
彼らがテレビ囲み会場である会見場の外に出ると、こちらでも早々に質問がなくなってしまったケビン・マグヌッセンとジョリオン・パーマーが“アロンソ待ち”の状態になっていました。それを横目に見つつ、第1部の3人はそれぞれ各国テレビカメラの前に立ちます。
10分ほどしてようやくテレビインタビューが終わったアロンソが合流し、記者会見場で第2部が始まりました。司会者の一般的な質問が終わると、もちろんフロアからの質問はアロンソに対するものばかり。第2部は完全に“アロンソ・インタビュー”となりました。
前日にインディカー・シリーズのインディアナポリス500参戦を発表したアロンソですが、記者会見が行なわれたのは水曜日の午後6時で、その予定が通達されたのが昼過ぎという慌ただしさでしたから、ほとんどのメディア関係者が会見に出席できていなかったのです。
「とても難しい挑戦だけど、とても魅力的でもあった」
「まだ準備は何も整ってはいないけど、恐れてはいないよ。良い結果が出せないのではないかと心配してもいない」
「ロン・デニスが代表だったら実現していなかったかもしれない。ザック(・ブラウン)は他チームの代表よりも大きなビジョンで物事を考えているからね」
「もし今年の僕らがコンペティティブだったら、モナコで25ポイントを失うリスクを冒すことはできなかっただろう」
アロンソは記者たちからの質問に対してインディ参戦を決めた経緯や心境を細かく語りましたが、他のドライバーたちが喋っている間もチラチラとあちこちを見たり、目線が定まらない様子。
さすがに今回のチャレンジに関しては、珍しくアロンソ本人にも心の乱れがあったように見えました。
また、あまりのアロンソ集中状態に、司会者も気を遣って他のドライバーたちにも「フェルナンドの挑戦についてどう思いますか?」と質問を振ります。
「クールだと思うよ。F1とは全然違う世界だし、誰にとってもエキサイティングなことだね。僕は15年後とかに同じような状況にいたらならあるかもしれないけど……」とパーマー。
また、マグヌッセンも「そうだね、彼の置かれた状況を考えると理解はできる。とてもクールだと思うよ」とコメントした。
アロンソにとっては大きなお世話かもしれませんが、そんなやりとりをしているうちに時間はあっという間に過ぎ、第1部はたったの15分で終わったのに対し、第2部は1時間の制限時間ぎりぎりいっぱいまで大いに盛り上がったのでした。