WRC世界ラリー選手権に参戦するシトロエンは“基本に立ち返る”という面で、旧型WRカーでの走行データが、C3 WRCのポテンシャルアップに活用されたとコメント。第4戦ツール・ド・コルス(ラリー・フランス)での活躍に繋がったと語った。
2016年をマシンの開発期間に充て、2017年からシリーズへ復帰フル参戦しているシトロエンは、序盤2戦は苦戦したものの、今季初のグラベル(未舗装路)ラリーとして行われた第3戦メキシコで今季優勝を飾った。
しかし、シトロエンはターマック(舗装路)で行われた第1戦モンテカルロでタイムを伸ばせなかったことから、本格的なターマックラリーである第4戦ツール・ド・コルスでは上位に食い込めないと予想されていた。
しかし、チームのエースドライバー、クリス・ミークは競技初日からトップを快走。デイ2にエンジントラブルでリタイアするまで、そのポジションを維持してみせた。
ミークは「確かに残念な結果だった。しかし、大事なことは僕たちがしっかりとしたペースで走れたことだ」と語っている。
ツール・ド・コルスでの走りを支えた要因のひとつは、フランス・フォンジョンクーズで行った走行テスト。チームはここでツール・ド・コルスに向けてC3 WRCのセットアップを煮詰めた。
その際、現場には最新型のC3 WRCに加え、旧型マシンであるDS3 WRCも持ち込まれ、ベンチマークとして使われたという。
「基本に立ち返って、マシンを作り上げていくことが重要だった。(フォンジョンクーズでのテストでは)まさにその作業を行ったんだ」とミーク。
「DS3 WRCを持ち込んだのは正解だった。あのマシンは(セバスチャン・)ローブのWRC連覇を支えたマシンだし、僕自身も(DS3 WRCで)フォルクスワーゲン勢とバトルを繰り広げた」
「僕たちに必要だったのは、DS3 WRCから“レシピ”を取り出して、それをC3 WRCに活かすことだった。DS3 WRCをドライブしたのは、ほんの20kmか30km程度のことだったけど、C3 WRCをどう仕上げるべきか判断するには充分だったよ」
「その結果、(ツール・ド・コルスの舞台である)コルシカ島で行った事前テストでもいい感触を得ることができた」
「ラリー本番中も、マシンは最高だった。ずっとドライブし続けたいくらいだったよ。本当に素晴らしい経験だったし、僕にとってはポジティブな収穫だった」
「勝てる戦いを落としたことは事実だけど、今後、どのラリーでも勝利できるという自信がついた」
■シトロエン代表「グラベルでもターマックでも高い戦闘力」と自信
なお、シトロエン・レーシングを率いるイブ・マトン代表はDS3 WRCから得たデータが役立っていることは認めたものの、特にサスペンションに関しては過去の技術に頼りすぎていたと語っている。
「技術面でDS3 WRCから得たデータが、すべてC3 WRCに活かせるわけではないことを学んだ。これは重要なことだ」とマトン。
「これまでのやり方のいくつかは、現代のWRカーには不適切だということだ」
「自分たちの立ち位置やC3 WRCのどの部分を改良するべきかを知るために、リファレンスとなるデータが必要だった」
「(フォンジョンクーズでのテストは)短い期間だったが、大きく成長できた」
「ツール・ド・コルスは残念な結果に終わったが、(勝利した)第3戦メキシコとあわせて考えれば、クリス(・ミーク)とC3 WRCの組み合わせはターマックとグラベル(未舗装路)のどちらでも戦闘力を有していることが分かった」