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ENDLESS SPORTS ST-4 スーパー耐久第1戦もてぎ レースレポート

2017年04月13日 22:22  AUTOSPORT web

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ENDLESS・ADVAN・86
ENDLESS SPORTS
スーパー耐久シリーズ 2017開幕戦

13号車 ENDLESS・ADVAN・86

開催日:2017.4.1 ~ 2017.4.2
サーキット:ツインリンクもてぎ
チーム体制:ENDLESS SPORTS
ドライバー:小河 諒/高橋 翼/花里祐弥

予選結果:クラス3位
決勝結果:クラス3位
シリーズランキング:ST-4 CLASS 3位

[予選] 13号車 3位
Aドライバー/小河 諒……4位  AM8:20~ ウェット 
Bドライバー/高橋 翼……5位  AM9:10~ ウェット/ドライ
Cドライバー/花里 祐弥…3位  AM9:40~ ドライ(赤旗中断あり)

 3号車のGT-R同様、13号車もドライバーが大きく入れ替わった。まず、ランエボを始め、多くのS耐マシンのステアリングを握ってきた社員ドライバーの村田がチャンピオン獲得により卒業。昨シーズン、チャンピオンに貢献した小河諒が今シーズンはAドライバーとして、エンドレスのハチロクを引っ張っていく。

 Bドライバーには、5歳からカートのステアリングを握り、一昨年までF3を走らせていた22歳の高橋翼を起用。Cドライバーには、当社代表の花里の次男、花里祐弥を登録。昨シーズン、ハチロク(クラブマン)レースに埼玉トヨタから参戦。16シーズンはランキング10位。表彰台には手が届いていないが、確実な走りで腕を上げている。

 フォーミュラ畑で非凡な走りを見せている高橋だが、ツーリングカーは初めて。しかも、圧倒的な速さを見せるST-Xやはるかに遅いST-5との混走。フォーミュラではほとんどありえないピットストップ、ドライバー交代もやらないといけない。花里も混走レースが初めてなら、ドライバー交代も初めて……。全くの新人といっても過言ではない。この二人を小河は引っ張っていかないといけない。チャンピオンチームではあるが、ゼロの部分も多い中からのスタートとなる。

 今シーズンも開幕戦の舞台はツインリンクもてぎだが、決勝レースは5時間から200分(3時間20分)と大幅に短縮。また、今回はグループ分けされ、ハチロクが走るST-5クラスは、ラップで20秒以上も速く走るST-Xと同じクラスで走らなければいけなくなっている。

 ウェット宣言となったAドライバーの予選。「言い訳はしたくないけど、ウェットのもてぎを走るのは初めてで……。もうひとつ、しっかりと走れなかった」という小河。このセクションで圧倒的な速さを見せたのはS2000。ハチロク勢のトップを1.5秒も引き離すという圧倒的な速さ見せた。2番手争いとなったハチロク勢。小河はレコードラインが乾きだしたタイムアップ寸前のラップにかけていた。各セクション、ベストタイムだったが、最終セクションでST-Xのマシンが後方に……。ラインを譲る事となり、タイムが伸ばせず、ハチロク勢のトップ(クラス2番手)から約1秒落ちのクラス4番手にとどまった。

 Bグループの予選はウェットからレコードラインがグングンと乾いていくという難しい条件の中で行われた。「タイムアップの周にタイムを出さないと……。気合いを入れたんだけど、結果を出せなかった」と悔しさを見せる高橋は、ハチロクのトップから1.5秒落ちのクラス5番手。

 A/Bドライバーの合算タイムによる予選結果は3番手。決勝レースは2列目からのスターティングポジションとなった。

 また、Cドライバーの花里は、ハチロク(クラブマン)のワンメイクレースとのWエントリー。ハードなスケジュールとなったが、クラストップの井口卓人選手から1.5秒落ちの3番手。Cドライバーのセクションは、タイヤの選択も自由だし、決勝に備えたセットで走るチームも多いため、簡単に比較できる事は出来ないがまずまずの走りを見せていた。

[決勝] 13号車 3位
PM 1:19スタート 200分レース(PM 4:40チェッカー)ドライコンディション

 今回のレースでは早朝のフリー走行のセクションがなく、ぶっつけ本番で決勝レースに挑まなければならず、少しでもマシンに慣れ、混走の難しさを叩き込んでおきたい高橋/花里にとって有利には働かなかった。

 底冷えとなった前日に比べると春らしい暖かな日差しとなった決勝当日。圧倒的な速さを見せるST-X、随所でバトルが繰り広げられているST-3との混走レース。200分先のチェッカーを目指してローリングが始まった。

 スタートドライバーの小河は、まずまずのスタートを切るがオープニングラップで4番手、2ラップ目には5番手に後退してしまう。トップグループは2分11秒台なのに対し、小河は12秒台……。8ラップ過ぎには13秒台とペースが上がらず、15ラップ過ぎ、小河から「パワー感がなく、加速しない」と無線連絡。7番手までポジションを下げてしまった。はっきりとした原因は分からないが、センサーなどの誤作動からコンピュータが制御しているなら、一度、エンジンを止めれば復活するため、20ラップ過ぎに緊急ピットストップする。

 高橋にスイッチ。コースイン直後は14秒台にとどまっていたが、ラップを重ねていくにつれラップタイムも13秒台になり、25ラップ目に10番手、30ラップ目には8番手とポジションを上げていった。50ラップ目、昨シーズン、当チームと最後までチャンピオン争いを繰り広げた86号車が1回目のピットストップ。この時点で当チームのポジションは2番手にまで戻していた。

 55ラップ目、当チームは2回目のピットストップ。今回のレースでは花里はステアリングを握らず、小河が再びマシンに乗り込む。約50秒で給油、タイヤ交換などの作業を終わらせ、コースに送り出す。マシンから降りてきた高橋は、苦痛の表情を見せる。シートベルトの装着が上手くいっていなかったようだ。「走っている時は集中しているから、そんなに痛みを感じなかったけど、降りたら……。走ることだけでなく、こういった細かな事を覚えないといけない。やる事がいっぱいなので、もっともっとがんばらないと……」と、高橋にとっては耐久レースならではの難しさを知る事になった。

 小河は調子の戻ったマシンでチェッカーを目指す。11秒台での追撃開始。66ラップ目には3番手に浮上トップ争いを繰り広げているS2000と86号車のハチロクとの差は約80秒。

 トップ2台はもう1回ピットストップしないといけない。その差が60秒を切れば、いっきにチャンスは膨らむ。見えない2台を必死に追う小河。その差が70秒を切るところまで追いつめたところでS2000がピットストップ。タイヤ交換をせず、コースに戻る。ピットストップの時間を抑えた事で、当チームの逆転優勝はかなり厳しくなった。

 序盤に出た不調の原因もはっきりせず、いつまた出るか分からない状況も考え、残り20分に迫ったところで確実に3位フィニッシュするための走りに切り替える。結局、このポジションをキープしてチェッカーを受けることに成功した。開幕戦で10台近くにまでエントリー台数が増えたハチロク。昨シーズン以上に厳しいバトルが繰り広げられるのは必至のST-4クラス。

 だからといって、速さの追求に目がいってしまうと「トラブル=リタイア」という、最悪の事態にもなりかねない。優勝を狙いつつ、確実に上位入賞する。今シーズンのST-4クラスは、近年にはない熱いシーズンになりそうな予感がする。次戦のSUGOラウンドは4月29~30日。