2017年4月13日
プレスリリース
2017 AUTOBACS SUPER GT ROUND 1 OKAYAMA GT300KM RACE
開催地:岡山国際サーキット(岡山県)/3.7031km
4月8日(予選) 天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:9700人
4月9日(決勝) 天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:1万7300人
久保凛太郎が嵯峨宏紀の新パートナーに。苦手の岡山ながら完走し、しっかりポイントを稼ぐ!
全8戦で争われるスーパーGTシリーズの開幕戦、「OKAYAMA GT300km RACE」が岡山国際サーキットで開催された。今年もaprは2台のトヨタプリウスZVW51を走らせ、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」を嵯峨宏紀選手と久保凛太郎選手に託すこととなった。
嵯峨選手の新たなパートナーとなる久保選手は、昨年までメルセデスSLS AMG GT3でGT300を戦っていたドライバーで、過去にはポルシェカレラカップジャパン、全日本F3選手権のF3-Nクラス、そしてスーパーFJなどの経験を持つ。
そのうちフォーミュラ時代にはカテゴリーこそ異なるものの、同じチームに所属したことがあり、コミュニケーションに関してまったく問題はない。
さて、2年目となる現在のプリウスであるが、このオフにリヤフェンダーやサイドのエアダクトといったエアロパーツ、エンジンの冷却ボックスと吸気ボックスの改良を行うとともに、ブレーキペダルやステアリング形状を改めて、よりスムーズにドライビングできるようにしている。
開幕戦の舞台となる岡山国際サーキットは、中低速コーナーの多いテクニカルコースで、従来はプリウスのようなJAF-GTよりもFIA-GT3に得意なコースとされてきた。
ただ、このオフの間に全面改修を行なっており、路面状態は昨年とは比較にならないほど向上している。その変化が、戦況にも大きな影響を及ぼすのではないだろうか。
公式練習 4月8日(土)9:00~10:35
今年もスーパーGTの公式スケジュール一発目は、土曜日早朝の公式練習となった。
すでに公式テストなどは行われているが、同一条件で走る初の機会となる。しかし、雨はすでにやんでいるものの、スタート時の路面は濡れたまま。未明に降った雨の影響だ。
徐々に乾いていくのは間違いないものの、しばらくはウェットタイヤを装着しての走行となった。初に「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」に乗り込んだのは嵯峨選手。計測開始と同時に、まずはアウト~インを行ってチェックした後、いよいよ本格的な走行開始となる。
予想したとおり時間の経過とともにタイムは縮まっていき、15分も経つと嵯峨選手は1分37秒台を記録するまでに。その後は久保選手にもウェットコンディションを2周走らせる。
しばしセットアップを進めるとともに、コンディションの回復を待つ間に赤旗中断が。再開後はコンディションの向上が確認できたこともあり、嵯峨選手から再び周回を重ねられることとなる。
ドライタイヤを装着した嵯峨選手はロングを重ねつつも、やがて1分27秒338をマークするまでとなり、交代してセッション終了まで走り続けた久保選手も、1分27秒944を記録した。
公式予選Q1 4月8日(日)8:40~8:55
公式練習とは異なり、直前に小雨が舞ったものの、予選は初からドライコンディションに。しかし、上空は灰色の雲で覆われていることもあって、いつまた雨が降り出してもおかしくなかった。そのため、アタックは早い段階で行われることとなった。
「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」のQ1担当は嵯峨選手。入念にタイヤに熱を込め、アタックを開始した直後に、1コーナーでのコースアウト車両があって赤旗が出されてしまったからたまらない。
約8分間の中断を経て、残り10分間の計測でセッションは再開される。嵯峨選手は1分26秒768をマークした後、クールダウンを挟んでサイドアタックをかけるも、26秒631にまでの伸ばすに甘んじた。
9番手とあってQ1突破は難なく果たせたものの、トップとは1秒の差もあり、やや不完全燃焼感の残るセッションとなってしまった。
公式予選Q2 4月8日(土)15:30~15:42
Q1の中断もあって、続いて行われたQ2は10分遅れでのスタートとなった。もちろん、担当するのは久保選手で、自身にとって初めてのQ2となった。
計測開始と同時に「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」とともに出ていった久保選手ながら、タイヤのピークをうまく生かせなかった感は否めず。アウトラップにもう1周をウォームアップに充て、まず1分29秒台に入れた後、大幅なタイムアップが期待されるも、次の周は27秒237に。
さらにコースを攻め込んで26秒688にまで入れはした。それから間もなく赤旗中断が……。これ以上のタイムアップは不可能と判断し、計測は残り5分で再開されるも、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」はピットを離れず。幸い、逆転を許すことはなかったものの、9番手という結果に止まることとなった。
コメント
嵯峨宏紀選手
今回は僕がQ1担当だったので、通過するのが大の目的で、それは達成できたんですが、ちょっと赤旗のタイミングが僕らにとっては悪で。
赤旗が出た周がタイヤのピークだったこともあり、しょうがないかなという気がしています。これからチームとデータを照らし合わせて、決勝に向けた準備をしっかりしなくては……。確実にポイントを獲れるよう心掛けます」
久保凛太郎選手
僕にとって初めてのQ2ということもあって、ちょっと足りないところばかりでした。赤旗が出ても出なくても、そんなにタイムは変わらない感じでしたけど、ピーク時の上げ方を、もうちょっと勉強しておきたかったですね。いろいろ言い訳しても仕方ないので、この悔しさを次に活かします
金曽裕人監督
タイヤのピークグリップ時にフルアタックができなかった凛太郎はまだ経験不足。もともとここはFIA—GT3勢が速いサーキット。パーフェクトなアタックをしてもポール獲れるような状況ではないが、満足か不満足かというと不満足。
ドライバーは、もっといろんなことを経験しなくてはならないし、凛太郎にとって今後に繋がったと思っています。決勝は確実にポイントを獲れればオッケーです。両ドライバーともに、そのパフォーマンスはちゃんとありますからご期待ください
決勝レース(81周) 4月9日(日)14:34~
今までは日曜日の早朝にフリー走行が行われていたが、今年からプロモーションを充実させるためという理由により、廃止となっていた。
代わりにスタート進行の開始と同時に行われていた、ウォームアップが8分間から20分間に延長されることに。このレースウィークに入って初めて見られた青空の下、完全なドライコンディションとなっていたものの、やらねばならないことも多く、慌ただしいこと、この上なし。
そのウォームアップはスタートを担当することとなった久保選手から走り始め、4周の計測ラップで1分27秒749をベストタイムとする。ちょうど折り返しのあたりから嵯峨選手もドライブし、やはり4周の計測の中、徐々にタイムを縮めていって後に27秒775をマークした。
そして、いくつかのセレモニーを経て、いよいよ決勝レースがスタートする。
しかし、それはまさに波乱の幕開けだった。GT500のホンダ勢がフォーメイションラップで次々と止まり、赤旗でスタートディレイとなったばかりか、1周減算の81周でのSCスタートとなったからだ。また、5周目には激しいクラッシュがあり、5周にわたるSCランも……。
その直前に1台をかわし、さらに次の周には先行車両の緊急ピットインもあって「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は早々に7番手に浮上。
SCラン明けには「GAINERTANAXAMG」の背後につけて逆転の機会を待つも、ストレートスピードの違いにより、なかなか攻略を許されず。それでも一瞬の隙を突いて25周目のWヘアピン出口で、ようやく逆転に成功。
6番手に浮上した後は、早々にドライバー交代を行うライバルを横目に見ながら、久保選手は33周目まで走り続けて嵯峨選手にステアリングを託す。
だが、ドライバー交代と併せ、タイヤを4本すべて交換したのに対し、ライバルの多くは無交換、あるいは2本だけの交換に留めているではないか!
そこで抱えてしまったロスは予想以上に大きく、全車がピットインを終わらせてみると、10番手に後退していた。しかも、その直後にまたSCランが。
ぎゅっと詰まった間隔に対し、リスタートは完璧に決めて逆転を許さなかった嵯峨選手ながら、この頃もうブレーキが悲鳴を上げるように……。
もはや無理もできない状態であったことから、ピットはポジションキープの指示を出す。ゴールまで淡々と走り続け、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は10位でフィニッシュ。それでも貴重な1ポイントを獲得することとなった。
コメント
嵯峨宏紀選手
僕らのできるベストな選択というか、それしかやりようがなかったというか……。まわりはタイヤ無交換とか2本交換がスタンダードになってきて、同じ選択を僕らはデータ不足、経験不足な部分もあって、やれなかったというのが一番の敗因です。
昨年の状態よりBOPでリストリクターも絞られ、重量も積まされたことから昨年よりも確実に戦闘力不足な状況。まだ開幕したばかりなので今年を諦めるつもりはないんですが、パフォーマンス不足にシリアスにならざるを得ない週末でした。
久保凛太郎選手
ギリギリまで僕がスタートする予定ではなかったんですが、作戦の幅的にも僕がスタートした方が良かったり、今までスタートしかしたことがなかったりして、正直言って後乗りに対する不安もあったんです。
そのあたりを配慮してもらえることになりました。あのあたりからレースを始めたことはなく緊張もありましたが、意外に序盤のうちに順位を上げられました。
GAINERのAMGに長い間引っかかってしまい、向こうはブレーキも奥でストレートも速かったので、なかなか仕掛けられず、しばらく我慢していたんですが、一瞬の隙を突いてグイっといかせてもらいました。
もう少し早くAMGを仕留められたら、もうちょっとタイヤを温存できたら、なおかつ無交換で行けますって判断までできれば良かったんでしょうが、そこまでできなかったから今回の自己採点は、80点です
金曽裕人監督
今や主流になりつつある、タイヤを替えないとか2本交換だとかいうところに対して、僕らはあまりにもデータが少なかったので、安パイの作戦で行き過ぎました。安パイの作戦で行って、凛太郎にいろんなこと勉強させようと思いましたが、『そこそこ使えるじゃないか、こいつ』というのが分かって。
なのに結局、ピット側で僕らが足を引っ張ったというか、4本交換のロスは凛太郎の奮闘に応えられませんでした。そのあと宏紀に代わって、抜きたいからブレーキ方向で行くんですが、そのうちブレーキも音を上げて、という悪循環になってしまいました。
だから、確実にポイント獲る作戦に切り替えざるを得なくて……。今後のタイヤ開発も含めて、ライバルとちょっとキャラが違うので、そこをどう考えるかっていうのが必要になってきました。次の富士で巻き返したいですね。