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ポルシェ 2017年WSCC第3戦ロングビーチ レースレポート

2017年04月13日 19:12  AUTOSPORT web

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912号車ポルシェ911 RSR
2017年4月13日

IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ第3戦、米国ロングビーチ
ニューポルシェ911 RSR、2度目の表彰台

 ドイツ.ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:オリバー・ブルーメ)のニューポルシェ911 RSRは、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ第3戦で2度目の表彰台を獲得しました。

 ドック入りした巨大外洋船のクイーンメリー号が停泊するすぐ脇にピットが設けられた港湾地区の壮観な市街地コースにおいて4月8日(土)に開催されたレースでは、912号車のローレンス・バンスール(ベルギー)/ケヴィン・エストル(フランス)組が3位に入りました。

 もう一台の911 RSRを駆る昨年の優勝車、911号車のパトリック・ピレ(フランス)とディルク・ウェルナー(ドイツ)組は6位でした。彼らは開幕戦のデイトナ24時間レースでは2位を獲得しています。

 絵はがきのように美しい太陽、海、椰子を背景に設定されたこのレースは、モナコGPに匹敵する米国のレースとみなされています。わずか100分の短いレースにもかかわらず、高い壁とフェンスに囲まれた3.167kmの公道サーキットは、ドライバーの完璧な技術が要求されます。

 高層マンションの特別観覧席とバルコニーには、ハリウッドにすぐ近いこともあり、熱心なスポーツカーファンと多くの有名人が混在します。

 レースはコースと同様に壮観でした。2周目には、GTLMクラスの先頭の3台がクラッシュし、2016年マカオGP覇者のローレンス・バンスールがチャンスをものにしました。4番グリッドからスタートしたバンスールがここでトップに立ちます。

 彼にはこの狭い公道サーキットの経験があり、最初のピットストップまでの約45分間首位をキープしました。タイヤを交換せずにこれほど長くサーキットに留まったGTLMカーは他にはありませんでした。

 911 RSRをケヴィン・エストルに引き継ぐときに一旦5位まで後退しますが、そのエストルが再び追撃を開始します。終盤に5回もセーフティカーが出動してレースは劇的な展開をみせます。

 エストルは4位に浮上し、ゴール手前のヘアピンカーブでも冷静さを保ち続けます。ストップ・アンド・ゴーによって最後の数秒でさらに1台を抜き、ポルシェに北米最高峰のレースシリーズの2回目の表彰台をもたらしました。

 もう1台の911号車を駆るロングビーチ優勝経験者のパトリック・ピレ(2016年)/ディルク・ウェルナー(2015年)組は、練習時のアクシデントによって予選に参加できず35台の最後尾のスタートとなりましたが、パトリック・ピレの力走によって8位でピットインします。

 その後ディルク・ウェルナーは自分のスティントでさらに4位まで上げて表彰台へあと一歩と迫ります。しかし、他の車との接触によってドライブスルーペナルティーを課され、追い上げはそこまでとなりました。

 GTDクラスは、パーク・プレイス・モータースポーツから出場した911 GT3 Rのヨルグ・ベルクマイスターがカスタマーチーム最高の4位。

 TRGの911 GT3 Rを駆るウォルフ・ヘンツラー(ドイツ)は5位でした。500+PSのカスタマースポーツレーシングカーは、ポルシェが世界中のGT3シリーズのために911 GT3 RS市販スポーツカーをベースに製造した車で、開幕戦のデイトナ24時間レースではアレグラ・モータースポーツからクラス優勝を飾っています。

 IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ第4戦は、5月6日にテキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで開催されます。

レース後のコメント
ポルシェ・モータースポーツ責任者のフランク=シュテッフェン・バリサー博士:
 このようなレースをうまくこなすには時間がかかります。波乱ずくめでコントロールを維持するのは困難でしたから、3位の結果は良かったといえます。

 その他にも良いデータを得ることができました。特に最後尾からスタートした911号車は、すばらしい戦略と迅速なピットストップによって追撃に成功しました。

 しかし、ドライブスルーペナルティーによって表彰台の結果にはつながりませんでした。1周目のスピンにもかかわらず、追い上げて4位を飾ったパーク・プレイス・モータースポーツの皆さん、おめでとうございます。

GTモータースポーツ総合プロジェクトリーダーのマルコ・ウジュハシ:
 浮き沈みの激しい慌ただしいレースとなりました。金曜日の練習で911号車が破損して最後尾からのスタートとなりましたが、チームは修復を見事に間に合わせました。

 波乱のスタートでしたが、完璧な戦略によって序盤は首位に立つことができました。次のセーフティカーで、他のチームと同様に戦略を変更し、それもうまくいきました。

 結果は、状況から考えるとベストを尽くせたと思います。今回のような激しい気持ちの浮き沈みは毎週経験したいものではないですね。

パトリック・ピレ(911 RSR #911):
 波乱の多いドラマチックなレースでした。セーフティカーがしばしば出動し、多くの衝突とドライブスルーペナルティーがありました。そして最終ラップでは数台がコーナーを回りきれず先頭が後退しました。少しクレージーなレースでした。

ディルク・ウェルナー(911 RSR #911):
「パトリックは、見事な追い越しで順位を上げてくれました。コーションフェーズが幸いして、中盤には4位まで浮上しました。

 しかしドライブスルーペナルティーで表彰台は消えました。夜を徹して911 RSRを修理してくれたチームの皆さんには申し訳ないことをしました。チームはもっと良い結果に値します。

ケヴィン・エストレ(911 RSR #912):
 難しいレースでした。戦略どおりに走ってトップに立ちましたが、度重なるセーフティカーによって後退しました。1周目にはリアをかなり激しくヒットされて、その後ダウンフォースが得られませんでした。しかし戦いを続けた結果、思いがけない最終ラップで報われました。

ローレンス・バンスール(911 RSR # 912):
 正直なところ表彰台は期待していなかったのでうれしいです。ロングビーチについてはチームメイトから色々と聞いていましたが、これほど波乱に富んだレースになるとは思いませんでした。