WRC世界ラリー選手権第4戦ツール・ド・コルス(ラリー・フランス)で今季初優勝を飾ったティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)は、勝利するまでの4カ月間が苦痛にあふれた日々だったと告白した。
今季、ヒュンダイのエース格としてWRCに参戦しているヌービル。1月の第1戦モンテカルロ、2月の第2戦スウェーデンでは総合首位に立つなど強さをみせつけたが、ともにクラッシュ。勝利のチャンスを逃していた。
そんなヌービルは、上位陣にトラブルが相次いだこともあり、ツール・ド・コルスのデイ2で総合首位に浮上。その後も大きなミスなく走りきり、昨年の第6戦イタリア以来の勝利を収めた。
「勝てるはずのラリーを2戦も落とした。僕たちにとってのシーズン開幕まで遠く感じた」とヌービル。
「ペースが良いことは分かっていたし、いくつものSSでトップタイムをマークしていた。序盤2戦は総合首位にも立っていたんだ。それにも関わらず、勝利を手にできなかった」
「(ツール・ド・コルスで)トップに立ったときは、冷静にドライブするよう言い聞かせていた。『すでに2回もミスを犯している。3回目は許されないぞ』ってね」
「ターマックで速いという自信があったし、事前テストの段階からマシンにはいい感触を持っていた。強い自信を持って(ツール・ド・コルスに)臨んでいた」
「ただ、ラリーの立ち上がりは期待通りにはならなかった。確かにマシンのフィーリングは良かったんだ。トップタイムを記録している自信もあった。ただ、予想に反してタイムが出ていなかった」
「だから、2日目に向けてマシンに調整を加えたんだ。その結果、デイ2ではポテンシャルを発揮できた。マシンがあらゆる路面コンディションでパフォーマンスを発揮してくれたか、勝利を手にできた」
「僕はあまり感情を表に出さない性格だけど、今回ばかりはフィニッシュした後に涙が出てきたよ。僕たちにとって、それだけ大きな意味のあるリザルトだったんだ」
■ヒュンダイ・モータースポーツ代表はターマックでのパフォーマンス改善を示唆
また、ヒュンダイ・モータースポーツ代表のミシェル・ナンダンは、ヌービルが序盤戦でミスをした後も、チームとしてバックアップを続けてきたと強調した。
「我々はいつもティエリーの味方だ。たとえ序盤戦で小さなミスを犯したとしてもね」
「彼がどれだけ才能あるドライバーなのかは分かっている。(ツール・ド・コルスでは)大量リードを持って最終日に臨んでいたから、特に心配する必要もなかった」
なお、ナンダンはチームが今季初勝利を収めたにも関わらず、ターマック(舗装路)でのi20クーペWRCのパフォーマンスに満足していないとコメント。「(ライバルと比べて)わずかに遅れを取っている。もう少し改善するべき点がありそうだ」と語った。
「特にシトロエンはターマックで素晴らしパフォーマンスを発揮していた。次のターマックイベント(第10戦ドイツ)までに、彼らに追いつく必要がある」
「すでに我々のエンジニア陣は、マシンのパフォーマンスを向上させる解決策を見つけているよ」