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F1 Topic:中国GPにおけるフェラーリの戦略は正しかったのか?

2017年04月13日 12:12  AUTOSPORT web

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セバスチャン・ベッテル
今年のF1中国GPで勝敗を分けた最大の要因が、1回目のピットストップにあったことは間違いない。バーチャル・セーフティカー(VSC)が出た直後の2周目にピットインしてインターミディエイトからドライへタイヤを交換したセバスチャン・ベッテルとフェラーリが採った作戦は正しかったのだろうか。

 ベッテルと同じ2周目にセルジオ・ペレスをピットインさせたフォース・インディアのストラテジストのバーニー・コリンズは、その判断を次のように語る。

「じつはあのときチェコ(ペレスの愛称)をピットインさせたのは、インターからドライにスイッチさせたかったからではなく、チェコのタイヤが(ストロールとの接触によって)パンクしていたからだったの」

 どうせパンクしたタイヤを交換するのなら、ここでドライに替えてしまおうとギャンブルに出たわけである。そのことは、チームメートのオコンが2周目に同時ピットインしたにも関わらず、ドライブスルーさせていることからもわかる。

「エステバン(・オコン)のピットインはコミュニケーションミス。だから、私たちは彼をドライブスルーさせたの」

 コリンズによれば、「ドライブスルーによるタイムロスは15秒」だったという。それでもインターミディエイトタイヤでステイアウトさせたほうが、あの時点では良かったと判断していたことからも、フェラーリが採った作戦はかなりリスクの高い選択だったことがわかる。

「2周目の時点ではターン14から最終コーナーまでがまだかなり濡れていました。あそこはトラクションが重要な場所なので、あの時点ではドライへのスイッチはまだ早かったと思います」


 次にドライタイヤの選択はどうだったのか? フェラーリはソフトタイヤを選択している。しかし、前後を走るレッドブルがスーパーソフトを選択していたため、セーフティーカー明けにライコネンがマックス・フェルスタッペンにオーバーテイクさせ、その後レッドブル渋滞に引っかかり、それがルイス・ハミルトンの独走を許す原因となってしまった。だが、コリンズはフェラーリのドライタイヤの選択は必ずしも間違ってはいなかったという。

「確かに私たちはチェコにスーパーソフトを履かせましたが、それはパンクして後方に下がってしまうことが影響しています。タイヤ選択はマシンのセットアップ、レース状況によっても変わるので、一概にどちらが正しいとは言えません」

 これはメルセデスAMGのチーフストラテジストのジェームズ・ヴァレスも同意見だ。
「セーフティーカー明けの走りだけを見れば、いかにもスーパーソフトを選択したレッドブルのほうが正しい作戦のように見えるが、あの時点で残り周回数は50周以上あり、25周が限界だったスーパーソフトでは戦略的に難しいとわれわれは判断した(メルセデスAMGは2台ともフェラーリと同じソフトを選択)。実際、レッドブルはスーパーソフトを履いて25周前後から左フロントのグリップに悩みだしたじゃないか」

 フェラーリが採ったドライタイヤの選択に間違いはなかったが、理解できないのはライコネンの2度目のピットストップのタイミングだとコリンズは言う。

「チェコの2回目のピットストップは20周目ですが、あれはチェコがなかなかフェルナンド(・アロンソ)を抜けなかったから。本来ははもっと長く走ることができました。しかし、キミを39周目まで引っ張ったのは、ラップタイム的にも理解できませんね」

 オーストラリアGPでは見事なレース戦略でメルセデスAMGを逆転して勝利をつかんだフェラーリ。しかし、2戦目の中国GPではいくつか疑問が残る決断があったことは否めない。王者メルセデスAMGを倒すには、わずかなミスも許されない。フェラーリの戦略に、今後も注目していきたい。