アルバートパークで開催されたF1併催のノンチャンピオンシップ戦を挟んで、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー選手権第2戦となる『タスマニア・スーパースプリント』のラウンド3、ラウンド4が、オーストラリア・パース近郊のシモンズ・プレインで開催されたが、レース1開始直後に12台のマシンが絡む大クラッシュが発生し赤旗中断。そのままサスペンデッドとなり、ノーポイントレースが宣言された。
多重クラッシュは4月8~9日の週末に開催された最初のレース、スタートからわずか2周目に、ロングストレートから続くヘアピンとなるターン4手前で発生した。
ウエットコンディションの路面でヘアピンへのブレーキング競争を繰り広げた車列のなかで、3番手を走っていたギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)のガース・タンダーが水煙で視界を奪われた状態で姿勢を乱し、ニッサン・モータースポーツの15号車リック・ケリーのアルティマにヒットする。
そこへ後続のマシンが次々と突入し、ティム・スレード、ニック・パーカット、ティム・ブランシャード、ジェームス・モファット、スコット・パイ、ジェームス・コートニー、アレックス・ルーロ、ウィル・デイビソン、タズ・ダグラス、シモーナ・デ・シルベストロらが巻き込まれ、現場は大混乱に。
なかでも、全開状態からスピンしたマシンに側突する形でクラッシュしたテクノ・オートスポーツのウィル・デイビソンは背中に痛みを訴え、すぐにメディカルチームによる救急搬送が行われた。
このマルチカークラッシュにより、レース運営はすぐにレッドフラッグを掲示。事故現場のレスキューを進めた上でレースサスペンデッドと判断し、再スタートを行わない決断を下した。
■「我々がここで見たなかで、もっとも激しいクラッシュ」
事故の当事者となったニッサン・モータースポーツのジェネラル・マネージャー、スコット・シンクレアは、「我々がここで見たなかで、もっとも激しいクラッシュになってしまった。今回のケースは、間違った場所で、間違ったタイミングに起こってしまった。こういう光景を目の当たりにするのは、誰に取ってもうれしいことじゃない」と、沈痛な面持ちで語った。
これにより、このラウンド3の勝者は事故時点で首位を走っていた王者シェーン-ヴァン・ギズバーゲン(SVG)となり、2位のジェイミー・ウィンカップ、3位のクレイグ・ラウンズと続いたが、規定周回数を満たしていないため“ノーポイントレース”となり、リザルトは認定されるも、チャンピオンシップポイントは与えられないこととなった。
ルーカス・ダンブレル・モータースポーツのタズ・ダグラスと、ウォーキンショー・レーシングのジェームス・コートニーのマシンが、ボディシェルに及ぶダメージの影響で修復が叶わず、22台のグリッドで争われた翌日のラウンド4は、DJRチーム・ペンスキーのファビアン・クルサードと、チームメイトのスコット・マクローリンがメルボルンに続くワン・ツーを達成。
ポールポジションからスタートしたレッドブル・レーシング・オーストラリアのジェイミー・ウィンカップは、サテライトチームのクレイグ・ラウンズと並ぶ3位、4位に終わった。
また、選手権リーダーの王者SVGも、レース中にニッサン・アルティマのトッド・ケリーへの接触で15秒のピットストップ・ペナルティを消化し9位。ポイントスタンディングでもDJRペンスキーの2台に猛追を許す形となった。
次戦ラウンド5&6の第3戦は、4月22~23日のフィリップ・アイランドで開催される。