中国GPの週末、FIAは“ハロ”の代替案“シールド”と呼ばれるコクピット保護デバイスのプランをドライバーたちに提示した。これが具体的にどのような形状のものなのか、英AUTOSPORTが予想図で示した。
FIAは2018年のF1マシンにコクピットを保護するデバイスを導入しようとしているが、まだ具体的な形状は決定していない。中国GP金曜夜のドライバーズミーティングで、FIAはドライバーたちからのフィードバックを得るため“シールド”デバイスの説明を行った。ハロやエアロスクリーンよりもノーズ前方までカバーされた、この“シールド”は、まだコンセプトの概要しか決まっておらず、詳細なテストも行われていない。美観の面ではハロよりは優れているが、実際のドライバー保護の機能としては劣っているものと考えられている。
新たな“シールド”デバイスを2017年のF1マシンに装着した予想図を、英AUTOSPORTが公表した。
シールドは、ハロやエアロスクリーンのようにコクピット縁に装着されるのではなく、ノーズと合体したような形状であり、ノーズのより前方からコクピット前までをカバーした、透明のスクリーンだ。コクピットを覆うわけではないが、ノーズからコクピットにかけて傾斜がついており、コクピット前ではドライバーのヘルメットより高い位置となっている。
FIAの説明では、初期テストの結果、小さいデブリには有効だが、タイヤなど大きなものが飛んできた場合にはさほど効果を発揮しないということだ。
しかしハロに関しては一部から反対意見が出ており、安全面と美観の面で最適な妥協点を探った結果が、このシールドだとFIAは主張している。
ハロよりシールドが好ましいかどうかについては、ドライバーたちの意見は割れている。2009年ハンガリーGP予選で飛んできたスプリングが当たって頭部に重傷を負った経験を持つフェリペ・マッサは、最終的には美観よりも安全性を重視して決断を下すべきだとの意見を示した。
「(シールドは)正直いって、かなりよさそうに見える。ハロよりも美しい。でも、美しさを追求する必要があるとは僕は思わない。安全面でどれだけ優れているかが重要だ。僕らからの答えはそれだけだ」とマッサ。
「新しいシステムで僕の事故は防げたかもしれない。でも他の事故は防げないと思う」
「今のタイヤはかなり重くなっている。タイヤが飛んできて当たった場合、これでは(ドライバーを)守れない。僕としては安全性を重視したい」
F1チームとFIAは来季F1にコクピット保護デバイスを導入することで合意しているが、具体的な形状はまだ決定していない。4月30日までなら、多数決で決定することが可能だが、来月以降になると、全チームの同意が必要になり、それは簡単には達成できないものと考えられている。一方で、FIAは安全性を理由に強制的にテクニカルレギュレーションの変更を行うことが可能だ。