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関口雄飛 スーパーGT第1戦岡山 レースレポート

2017年04月11日 18:42  AUTOSPORT web

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2017スーパーGT第1戦岡山 国本雄資/関口雄飛
関口雄飛 PRESS RELEASE

2017年4月10日

2017年スーパーGT開幕戦「OKAYAMA GT 300km RACE」で、LEXUS TEAM WedsSport BANDOHは着実に前進をみせ、荒れたレースを関口雄飛と国本雄資が6位でフィニッシュ!!

 トヨタ、ニッサン、ホンダの各メーカーがニューマシンを投入し、新時代を迎えた2017年のスーパーGT開幕戦が、4月8~9日にかけて、桜で華やぐ岡山県、岡山国際サーキットで今年も盛大に開催されました。

 今年、関口雄飛は国内最高峰のスーパーGT、GT500クラス・シリーズチャンピオン獲得を最大の目標として、精力的にトレーニングに励み、タイヤテストやチームとのミーティングに明け暮れる多忙なシーズンオフを送ってきました。

 残念ながら最後の公式テストが悪天候の為に中止となり、試したかったすべてのドライ路面用セットアップを試し切れてはいませんでしたが、それでもLEXUS TEAM WedsSport BANDOHは自信を持って開幕戦に臨みました。

 金曜日にサーキットに到着した関口雄飛と国本雄資選手は、取材や撮影の慌ただしいスケジュールをこなしつつ、坂東正敬監督やTRDのスタッフ、ADVANタイヤのスタッフとともにミーティングを繰り返し、予想された週末の不安定な天候に対する戦略を練りました。

 金曜日の天候は霧雨で、土曜日は回復傾向にはありましたが、同様な天候となる可能性が数パーセントあり、日曜日も晴れるかどうか、五分五分という悩ましい天気予報です。現代のレーシングタイヤは、特に路面温度の変化に敏感で、タイヤのコンパウンドや構造によって大きくパフォーマンスが異なるため、タイヤと路面のマッチングが、勝利に大きく影響するのです。

 土曜日の天候は曇り。前夜に降った雨はあがり、路面はウェットから次第に乾いていく状態でした。肌寒かった開幕前のテストと比較すると、気温は暖かくなりつつありました。ファンの熱い声援を受け、まずは関口雄飛がステアリングを握り、フリー走行に臨みました。

 LEXUS TEAM WedsSport BANDOHとしては、マシンのセットアップはもちろんのこと、種類や構造の異なったタイヤのなかからどのタイヤを予選でチョイスするかの評価を定める大切なセッションです。関口雄飛と国本雄資選手は積極的に周回を重ね、序盤には3番手タイムをマークし、一時はトップタイムをマークするなど、好調な滑り出しのように思われました。

 しかし、変化する路面状況のなか、チームが試したかったセットアップは試すことができず、両ドライバーともにマシンのセットアップに納得しきれない状況でした。タイム的には1分20秒326で、総合14番手。大きなトラブルこそなかったものの、午後の予選に向けて真剣なミーティングと議論が続けられました。

 迎えた午後の予選、Q1アタッカーは関口雄飛です。朝のフリー走行とはまるで別のマシンに乗ったかのような力強い走りを見せ、1分18秒591をマークし、トップ差0秒07というタイムを刻んで4番手でQ2に進出を果たしました。

 ポールポジション獲得を賭けて国本雄資選手がステアリングを握った予選Q2は、2度の赤旗によって完全にアタックのタイミングを逃し、アタックすることなく終了。予選8番手で終えた19号車でしたが、赤旗の原因を作った2台がグリッド降格となった為、日曜日の決勝は3列目、6番手グリッドからのスタートとなりました。

 日曜日は、天気予報とはまったく異なる予想外の快晴。寒さは感じず、むしろ暖かい春の陽気の1日となりそうでした。今年からタイムスケジュールが変更され、朝のフリー走行は廃止。その代わり、決勝前に行われていた8分間のウォームアップ走行が、20分間に延長されることとなりました。

 ウォームアップ走行では5番手タイムをマークし、好調さを維持している19号車でしたが、スタートドライバーの関口雄飛は、次第に上昇する気温に一抹の不安を感じ始めていました。チームが想定していた気温より、大幅に暖かい状況になりはじめ、当然、路面温度も上昇しはじめていたからです。

 開幕戦は、誰もが想像すらできなかった波乱の展開になりました。パレードラップの開始とともに、NSX勢の1台がストップ。そしてあろうことか、フォーメーションラップが開始されると、ポールポジションのNSXまでもがエンジンが止まり、コース上に力なく停止してしまったのです。

 この状況で赤旗が出され、レースはセーフティカー先導によるスタートとなりました。1周減算の81周レースとなり、この再スタートに向かう段階で、さらに1台のNSXが息の根を止めたのです。スタート進行は大きく遅れ、気温は急上昇。関口雄飛の不安は的中してしまいました。

 セーフティカーがコースから外れ、レースが実質的なスタートを切ると、関口雄飛は4番手でコントロールタワー前を通過。レースはLEXUS勢の6台が上位を占め、ライバルたちをリードする形での展開となりました。

 後方から1台のLEXUSが執拗に関口雄飛に追いすがり、オーバーテイクを試みますが、関口雄飛はすべてのコーナーでそれをブロック。観客が沸くLEXUS同士の激しいバトルを展開します。

 しかし、17周目の最終コーナー手前で一瞬、19号車が不安定な挙動を示し、立ち上がりで後続車にインに並ばれ、最終コーナーで抜かれて5番手にダウン。そしてさらに後方から、同じくLEXUSを駆る元F1ドライバーが虎視眈々と関口雄飛をパスすべく激しいアタックを開始。

 意地でも抜かせまいとする関口雄飛のファイティングスピリットと、F1ウィナー、ヘイキ・コバライネン選手のプライドがぶつかり合わんばかりのハイスピードバトルを繰り広げます。

 8周近くにわたって展開されたバトルですが、27周目のバックストレートで完全に2台は併走状態になり、ヘアピン手前で限界を超えたブレーキング競争の結果、アウト側にいた19号車のリヤが流れてバランスを崩し、関口雄飛は痛恨のコースオフ。なんとかサンドトラップにつかまらないようにマシンをコントロールしてレースに復帰するものの、6番手までドロップしてしまいました。

 関口雄飛はそのまま苦しい戦いをしのぎ切り、34周目にピットに飛び込みドライバー交代。国本雄資選手がチェッカーフラッグを目指します。

 レースはその後、GT300マシンの激しいクラッシュによって3度目となるセーフティカーが入り、再スタート。最後はLEXUS勢6台による20周のスプリントレースの様相を呈し、随所で激しいバトルを展開し続けながらチェッカーを迎えました。

 LEXUS TEAM WedsSport BANDOHは、2017年開幕戦を6位入賞で終えることができました。開幕戦での6位入賞は関口雄飛が同チームに移籍した過去4年間で最上位であり、チームとしては19戦連続でポイント圏内でのフィニッシュを飾るという強さと安定感を発揮したレースとなりました。

 坂東監督は、「土曜日のフリー走行では、ピンポイントを攻めすぎた感があったのですが、今年はタイトルを狙うべく新たなデータエンジニアを採用し、多くのファクターから迅速に問題点を発見できる体制を作ってきました」と語ってくれました。

「それが功を奏し、予選までに大きくセットアップを変更したのですが、僅か数周でそのマシンとタイヤの最大限のパフォーマンスを引き出せる関口というドライバーのアジャスト能力は素晴らしかったし、国本がアタックさえできていれば、ポールポジションも獲得できたと思います」

「決勝では気温の上昇が予想以上だったので、ドライバーには大きなストレスを抱えさせてしまいましたが、6番手スタートの6位。レクサスが1位から6位まで独占した中での6番手は悔しいですが、シリーズチャンピオン獲得に向けての開幕戦という意味では良かったと思います。次の富士に向けて、データを見直して挑みたいと思います」


 国本雄資選手は、「前半はタイヤの選択で厳しい展開でしたが、僕のスティントは違うタイヤを履いて、思ったよりもコンスタントに走ることができて、前を追いながら最後まで走ることができました。富士までに少し課題があると思いますが、着実に改善していきたいと思います」と語りました。

●関口雄飛のコメント
「今回は新しいセットアップで岡山に挑んだのですが、朝のフリー走行では正直、うまくいっていない状況でした。そこから短い時間でマシンのセッティングを大幅に変更して、本来のマシンのパフォーマンスを引き出すことができました」

「ヘアピンで遅いマシンに引っかからなければ、トップタイムは確実に出せた予選Q1でした。Q2は国本選手が赤旗でアタックできなかったので、結果は6番手からのスタートとなりました」

「決勝レースはいろいろあったのですが、路面温度が昨日より10℃上がったこともあり、なかなかペースが上げられず同じLEXUS勢に追い詰められました。でも簡単に抜かれたくはないので譲ることはできず、意地を見せたのですが、今回のレースに関しては少し頑張り過ぎた感がありました」

「ヘイキ選手との接触も、ブレーキングで彼より先にブレーキを踏むのは絶対に嫌だったので、我慢したら僕の車はリヤがロックした状態になり、右フロントが少し当たり、体制を崩して真っ直ぐ行ってしまいました。後方がいないのはわかっていたので、勝負して飛び出しても6位で戻れると頭の中で計算してやったのですけど、結果として悔しい気持ちでいっぱいです」

「後半のスティントは国本選手が違うタイヤで行ったのですが、ある意味、富士に向けてのテストも兼ねたタイヤでした。結果として安定したラップタイムで走れ、富士に向けて前向きなデータが取れたので良かったです。どちらかと言えば我々にとって苦手な岡山で、この4年間では一番良い順位でゴールできました」

「富士もあまり得意ではないサーキットですが、その富士で確実にポイントを獲得して、アドバンと我々にとって相性のいい第3戦、第4戦での勝利につなげたいと思います。今回のレースでも、ファンの皆さんの熱い応援を感じることができました。本当にありがとうございました」