3年目を迎えたFIA-F4選手権の開幕ラウンドが4月8~9日に岡山国際サーキットで開催され、第1戦は笹原右京(HFDP/SRS/コチラレーシング)が、そして第2戦は角田裕毅(SRS/コチラレーシング)が優勝。連覇を狙う宮田莉朋(FTRSスカラシップF4)は2戦ともポールポジションを奪ったが、2位と6位に留まった。
チャンピオンの宮田ばかりか、昨年誕生した8人のウィナーのうち5人が継続参戦を決めたFIA-F4。そのことは“学びの場”として高く評価されたこととともに、より一層ハイレベルな戦いが繰り広げられることを意味してもいる。
当然、その5人がチャンピオン候補となろうが、海外で豊富なレース経験を持つ笹原、そして昨年のスーパーFJで日本一決定戦を含め、敵なしだった角田がどう渡り合うのか注目された。
すでに雨はやんでいたものの、濡れた路面で競われた予選ではベストタイム、セカンドベストともにトップでWポールを宮田が獲得。「まだ路面に水の多いうちにアタックしようと、新品タイヤで行ったのが正解でした。他の人たちは中古(タイヤ)だったみたいで、思ったより水が早く掃けてしまったので逆転されないか、少しだけ心配でしたが」と宮田。
なお、トップ7は2戦とも宮田、笹原、角田、高橋知己(点天イーストアップwith Field)、澤田真治(B-MAX RACING F110)、川合孝汰(DENSOルボーセF4)、石坂瑞基(DADSFC SUTEKINA F4)と、同じ順で続いていた。
土曜日のうちに行われた決勝レース第1戦は、すっかり路面も乾いてドライコンディションで競われた。しっかりスタートを決めた宮田は、1コーナーにトップで飛び込んでいくが、笹原だけはピタリと食らいついて離れず。その後方での争いが激しくなっていたこともあり、アトウッドコーナーに差し掛かる頃には明確な差をつけるが、早くも笹原は宮田にロックオン。
少しの躊躇もなく、バックストレートエンドのヘアピンでインを刺して、笹原がトップにおどり出る。オープニングラップを終えると、3番手は角田がキープし、これに続いていたのは澤田、高橋、川合。だが、2周目のモスSで、不意にラインを開けた川合に後続車両が追突、その後リタイアを余儀なくされていた。
代わって予選14番手から激しく追い上げてきて、3周目に高橋をかわしたのは大湯都史樹(HFDP/SRS/コチラレーシング)だった。その勢いはなおも衰えず、5周目には澤田をも抜いて4番手に浮上。一方、その間にも笹原は宮田との差を広げる一方。終盤になると、宮田のタイムが上回るようになるが、ひとたび2秒にまで広がった差は容易には縮まらず。逃げ切った笹原が、国内レースのデビューウィンを達成した。
「とりあえずホッとしました。このカテゴリーに挑むにあたり、勝つことしか考えていませんでしたから。そのために入念に準備して、この開幕戦までに筋力を落とさず、体重も4~5kg落としてきました。早めに勝負をかけるつもりで、できればスタートで前に出たかったんですが、F4のスタート練習ができなかったので、今日初めて(苦笑)」と笹原。宮田に続く3位は角田が獲得した。そして大湯が4位で、高橋が5位に。
■日曜第2戦は雨絡み。笹原と16歳角田が僅差の首位争い
日曜日の決勝レース第2戦は、ふたたびウエットコンディションでの戦いとなった。ここでは宮田がスタートに出遅れ、笹原が前に。だが、チームメイトの連勝を許すまいと、オープニングラップのアトウッドで角田が逆転に成功。
ペースの上がらない宮田は、大滝拓也(SRS/コチラレーシング)と高橋の先行すら許していた。そんな状況の中、1コーナー立ち上がりで止まった車両があり、回収のため2周にわたってセーフティカーランが実施される。
間隔が詰まったことで、リスタート後の混乱が心配されるも、そこはカートレースでローリングスタートは得意な猛者ばかり。上位に動きはなかったものの、アトウッドでは高橋がコースアウトで大きく順位を落とす。これで宮田がひとつ順位を上げたが、ペースは今ひとつ伸びず、11周目に澤田、大湯に相次いでかわされてしまう。
3番手を走る大滝こそ単独走行となったものの、角田と笹原によるトップ争いは最後まで続いた。最終ラップのパイパーコーナーでは、笹原が角田にあと一歩まで迫ったものの、縁石に乗って姿勢を乱し、これで勝負に決着が。僅差ながらも逃げ切った角田が初優勝を飾り、16歳11か月で最年少記録を更新した。
「最後まで行けるな、とは思っていなくって。今週はあんまり勝てる気がしていなかったんです。でも、笹原選手とは速いところに違いがあって、要所を抑えつつ、向こうのミスがあってなんとか勝てたという感じです」と角田。
一方、このレースウィークは2位、6位という結果に甘んじた宮田は、「昨日も今日も全然グリップしなくて、その原因がはっきり分からなくて困っています。ドライビングでどうにかなる感じではなさそうで……」と、やや困惑気味だった。