「先ずは考えないでやってみろ」――。上司や先輩からそう言われた人はいるだろう。しかし、ただやってみろと言われても抵抗を感じることはある。
はてな匿名ダイアリーには4月7日、「とにかく手を動かせっていうのが嫌い」という投稿があった。投稿者は、「何とかなったやつらは手を動かした奴であることは間違いないんだけど」と前置きした上で、全員が何なんとかなるわけではないとし、「生存者バイアス」であると指摘。「そもそも手を動かせない状況であることも多い」と真っ向から批判した。
「手を動かす」というやり方を処方箋にたとえ、
「自分にだけ通用するオーダーメイドな処方箋なので市販薬がピッタリはまる事例は少ない」
と不満をあらわにした。
「キーボードを打つ手が止まっているのは、休んでいるのと同じ」と非難された
投稿者がこの言葉をどのようなシーンで言われたのかは不明だが、「何やってるんだ早く泳げと言われても、泳げるようなら最初から溺れてないよね」など、投稿者の意見に賛同する声が挙がっている。具体的な指示もなく、ただ行動することを求められるのは嫌だろう。
同様の発言を受けたという人物は、仕事中にキーボードを打つ手を休めていたところ、「キーボードを打つ手が止まっているのは、休んでいるのと同じ」と非難されたという。打鍵している=仕事をしているという構図が成り立っていることが恐ろしい。
一方で、行動する必要性に一定の理解を示すものの、「理屈を覚えてから手を動かさないと途中で疑問が出て手が止まってしまう」など、考える作業を抜いて初手から行動ありきの考え方はダメだ、と指摘する人もいた。
「とりあえずやりはじめたら行き詰まって出戻りしなきゃならないこともあるしまずはじっくり考えることのほうが重要だと思うよ」
「手を動かせっていうのは色々試行錯誤しろって意味」
しかし、コメントの大半は、投稿者の意見への反論が占めている。
「そんな屁理屈こねてる暇があったら手を動かせよ」
「動いてみないと『動けば何とかなる話』なのか確認できないじゃん」
「手を動かさずに頭の中だけで構想を練る方がかえって大変だと思うのだが」
中には、「心が動かなくても無理にでも体を動かし続けたら明らかに心にも良い影響あった」と書く人もいたが、最初はやる気がなくても、行動するうちに気分がのってくることはある。
また、手を動かせというのは、いきなり大きな行動を取る意味ではなく、たとえ小さくても目標達成への一歩に繋がっていればよい、という考えも挙がっている。
「手を動かせっていうのは色々試行錯誤しろって意味だからね。人に尋ねるとかも含めて何か動いてみることよ」
「ウンウン唸ってるだけじゃなくて、とりあえず少し作ってみようよ的な話だと思うんだけどな。頭でっかちほど実社会ではお荷物になりがち」
「言い訳ばかりでグズグズしてそのくせプライドだけは異常に高い部下がオーバーラップして虫酸が走る 」と部下への不満を書く人がいたが、失敗を過度に恐れるあまり、なかなか行動しない人は、扱いにくい人と思われかねない。