2017WRC第4戦ツール・ド・コルス ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC) 4月9日、フランス・コルシカ島で行われたWRC世界ラリー選手権第4戦フランス(ツール・ド・コルスのデイ3。TOYOTA GAZOO Racing WRTはエースドライバーのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合4位を獲得し、開幕からの入賞記録を伸ばしている。
『1万コーナーのラリー』とも呼ばれるツール・ド・コルス最終日はSS9~10の2SSで争われた。
前日、総合4番手につけていたラトバラはSS9でステージ4位に入ったものの、直近のライバルであるクレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)に2秒差で交わされ、総合5番手に後退してしまう。
そして迎えた最終SS10、ボーナスポイントが獲得できるパワーステージとして行われた10.42kmのステージで、ラトバラは0.8秒差でステージ優勝。ボーナスポイント5点を獲得すると同時に、わずか0.1秒差で総合4位に返り咲いた。
チームメイトのユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)は、SS9のフィニッシュまで残り約5kmの地点でコースオフしてしまい、その後もコースへ復帰できず。競技をリタイアすることとなり、開幕から続く完走記録を伸ばすことができなった。
チーム代表のトミ・マキネンは「クルマは(ツール・ド・コルスの)3日間で大きく進化した」と大会を総括する。
「ヤリスWRCは初日から好調だったが、改善を施した土曜日以降はさらに良くなった。これはチーム一丸となった努力の賜物だ」
「今シーズン最初のフルターマック(舗装路)ラリーで、ヤリ-マティ(・ラトバラ)が表彰台まで、あと1歩の総合4位に入ったのは素晴らしいことだ。パワーステージでトップタイムを出したことについても賞賛したい」
「また、このラリーでの経験が少ないにも関わらず、ヤリ-マティに匹敵するペースで走行したユホ(・ハンニネン)は、自分自身を誇りに思っていいと思う」
■“モリゾー”もラリーを現地で観戦。「チームの皆と現場で戦うことができた」
この週末、TOYOTA GAZOO Racing WRTチーム総代表も務めるトヨタ自動車の豊田章男社長がツール・ド・コルスの現場を訪れた。
「18年ぶりのWRC復帰から4戦目となるツール・ド・コルスで、やっと私もヤリスWRCの走る姿を間近で見て、チームの皆とともに現場で戦うことができました」と豊田チーム総代表。
「土曜日、ラトバラ選手が午前のSSを終え昼のサービスに戻った際、大がかりな部品交換によるセッティング変更を制限時間ギリギリまで使って行うメカニック達の姿を目の当たりにしました」
「ドライバーが道との会話で感じたクルマへの違和感をメカニックやエンジニアが即座に改善し、また道に戻して走り続ける……。ドライバー視点の開発とその改善を繰り返していくマキネンのチームの姿は、まさに私どもが目指す『もっといいクルマづくり』そのものだと感じます」
「現場では誰かが大声で指示を出すのでなく個々のメカニックが各々の役割を全うし作業が進んでいきました。想いが通じ合った信じあえるプロのチームを築きあげた(トミ・)マキネン代表に改めて感謝します」
「また、沿道では多くのファンやオフィシャルに出会うことができました。手の届きそうなところを通り過ぎるラリーカーの音や匂いや迫力を楽しもうとする文化がそこにはあり、WRCの現場でラリーの魅力を改めて体感することができました」
「彼らに笑顔で話しかければ、言葉は通じなくとも『トヨタがんばれ!』と返してくれます。ラリーを愛し、クルマを楽しみ、そしてトヨタの挑戦を応援してくださる方が世界中にいること、本当にありがたく、そして心強く思います」
「今後も、トミをはじめとしたチームのみんな、そして全世界にいるファンの皆さまとWRCの道をヤリスで走り続けていければと思います。応援いただいた皆さま、本当にありがとうございました。これからもサポートをよろしくお願いいたします」
TOYOTA GAZOO Racing WRTが挑む次の戦いは、4月27~30日に行われる第4戦アルゼンチン。第3戦メキシコに続き、今季2度目のグラベル(未舗装路)イベントだ。
なお、4月下旬のアルゼンチンは秋の始まり。そのため天候が不安定なことが多く、路面コンディションが変化する。ドライバーにはへ刻々と変わるコンディションに対応する力が求められる。
また、マシンにとっては上記のコンディション変化に加え、ジャンピングスポットや川渡りのウォータースプラッシュなどへの対応力など、総合的パフォーマンスが求められる。