カリフォルニア州南部にあるロングビーチで開催されたインディカー第2戦。伝統のレースをジェームズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン)が制し、2年ぶりの勝利を挙げた。18番手からスタートした佐藤琢磨(アンドレティ・オートスポート)は、粘りの走りを見せるもマシントラブルでリタイアとなった。
ヒンチクリフがセバスチャン・ブルデーに1秒4940の差をつけて今シーズン、そしてロングビーチでの初勝利を飾った。キャリア5勝目は2014年のニューオリンズ以来のものだ。3位はチーム・ペンスキーのジョセフ・ニューガーデン。移籍後初となる表彰台登壇を2戦目にして早くも達成した。
ホンダは開幕2連勝。そして今シーズン初の1-2フィニッシュを記録した。1、2位独占は2016年のテキサス以来(グラハム・レイホール、ヒンチクリフの順でゴール)以来。2連勝は2015年シーズン終盤のミド・オハイオ(レイホール)、ポコノ(ライアン・ハンター-レイ)以来だ。
3年連続ポール・ポジションだったエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)はスタート直後に6番手までダウン。彼に代わって予選2番手だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシがトップに立った。
1周目のターン4でウィル・パワー(チーム・ペンスキー)とチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ)が絡み、キンボールはそのままリタイア。パワーもフロントサスペンションにダメージを負い、最後尾まで後退した。
トップのディクソンは16周でピットし、予選3番手だったハンター- レイがレースリーダーに。しかし、彼よりセカンドスティントを1周長く走ったヒンチクリフがトップを奪った。ディクソンたちの3ストップ作戦は失敗で、彼は3回目のピットストップに向かうと5番手までポジションを落とす。
ハンター-レイは逆転優勝を狙ったが、チームメイトのアレクサンダー・ロッシにパスされた。しかし、そのロッシはエンジンブローで突然ストップ。63周目のことだった。
昨年までより5周長い85周のレースは2ストップで走り切るのは難しいとも見られていたが、2ストップが正解で、ヒンチクリフが勝利を飾った。ハンター-レイも2ストップ作戦だったが、突然の電気系トラブルで80周目にストップ。2位を手放し、17位という結果になった。
今年のグランプリ・オブ・ロングビーチは珍しく涼しいコンディションでの戦いになっていた。予選4位だったヒンチクリフはユーズド・レッドでスタートして2番手まで1周目に浮上し、燃費セーブに努めながらもブラックタイヤでのセカンドスティントで安定したペースを維持。最終スティントには新品のレッドを投入し、スピードを見せつけて勝利を掴んだ。
最後のリスタートは残り3周で切られたが、ここでもヒンチクリフはまったく動揺することなどなく、ロングビーチで3勝し、自分と同じ新品のレッドを履いているベテランのブルデー相手に見事なスタートダッシュを決め、2015年のニューオリンズ以来となる優勝のチェッカードフラッグを潜った。
開幕戦9位だった彼はポイントスタンディング2位となった。1秒4940秒差で2位となったブルデーは、開幕戦優勝、第2戦2位でもちろんポイントリーダーの座を守った。
「またビクトリーレーンに立つことができて嬉しい。ケガからカムバックした昨シーズンにも何度か勝てそうなレースがあったが、惜しくも届かなかった。今日のマシンはとても速く、クルーたちのピットストップが素晴らしかったからトップに立てた」とヒンチクリフは感激に浸っていた。
4位はディクソンで、5位には最後尾スタートだったシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)が入った。さすがのしぶとさで彼はポイント3位につけている。
佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)は18位。スタート直後の混乱時にフロント翼端板にダメージを受けたためにピットイン。トータル4回のピットストップで戦った彼にレース展開は一切味方しなかった。
それでも粘りの走りで終盤にはトップ10が狙える位置まで浮上。リスタートでトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)をパスしたが、エンジンが78周目に突然ストップしてリタイアとなった。
「長く厳しい1日になっていましたね。レースの展開を見てピットの回数は臨機応変に決めようと考えていたんですが、僕らは3ストップでいくことにしました。各スティントにタイヤがマッチしていなかった感じもありましたね」
「ファイナルプラクティスでのマシンがとても良かっただけに、レースをゴールまで走り切れなかったのは残念。今日の涼しかったコンディションのせいなのか、レースでのマシンがファイナルプラクティスの時のような良さを感じられなかった点も残念でした」と琢磨は悔しがっていた。アンドレッティ・オートスポートにとっては4台全員がリタイアするとても厳しいレースとなった。