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スーパーGT300予選《あと読み》:本命は4号車!? 「バクチ要素アリ」のGT300開幕ウイナーは読めない

2017年04月09日 06:51  AUTOSPORT web

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2017スーパーGT第1戦岡山 グッドスマイル 初音ミク AMG
ウエット~ドライの公式練習、予選Q1、Q2ともに出た赤旗。いよいよ迎えたスーパーGT第1戦岡山の公式予選の結果は、LEON CVSTOS AMGを駆る蒲生尚弥のポールポジション獲得という結果に終わったが、このままLEONが逃げ切るか……というとそういうわけにもならなさそうだ。

 今回の予選結果をおさらいしておくと、ポールポジションはLEON CVSTOS AMG。2番手にはグッドスマイル 初音ミク AMGと、メルセデスベンツAMG GT3勢がフロントロウを占めた。3番手には昨年王者で、岡山を得意とするVivaC 86 MCが続き、4番手には今回17年仕様のデビュー戦となるJMS P.MU LMcorsa RC F GT3がつけた。

■グッドスマイル 初音ミク AMGはロングランに自信
 フロントロウを占めたメルセデス勢については、「岡山はFIA-GT3勢のなかではメルセデスが得意」とは多くの関係者が口を揃えるところだ。「基本的に富士は得意じゃないし、ここがチャンスだと思う」と言うのは、果敢なアタックでサーキットを沸かせた谷口だ。

「LEONは速かったね。自分も予想していたよりタイムは出たけど、あんなに速いとは想定してなかった。赤旗が出ずに、タイヤにしっかり熱を入れられればもっとタイムは出たかもしれないけど」と谷口は言う。

「いい雰囲気だと思う。明日はちゃんとレースができるはず。それとおそらく、LEONのタイムの出かたを見ると、ロング方向じゃないと思う。僕たちはロング方向で、決勝を見すえたタイヤなので、ロングには自信がある。そういう意味では明日は獲りたいね。でも、25号車も来るかな」

 その谷口のLEON CVSTOS AMGのタイヤに対する推測は実は当たっている。ポールポジション会見で、蒲生は「一発のタイムが出せるタイヤでした」と明かしている。ちなみに、同じブリヂストンタイヤを履き、予選4番手につけたJMS P.MU LMcorsa RC F GT3の中山雄一は「LEONとはサイズは違いますが、同じタイヤだと思います。僕たちはロングとかではない方向でやっています」という。

「ただ、ヨコハマ勢の方がレースペースは良さそうな気はしますね。あれだけ3周も連続でアタックできるんですから」

 一方、谷口が警戒する3番手のVivaC 86 MCを率いる土屋武士だが、「大本命は4号車」という。

「今のところ順当だし、いい位置にいるけど、予選で前にいないと抜けないので(苦笑)。今回はAMG GT3が良さそうですね。ウチはミスもなかったけど、赤旗がなくてもポール獲れたかどうかは分からない」と土屋。

「本命は4号車で、その後ろにいることができれば。4号車との勝負だとちょっと厳しい気はしますね。でも、ウチのドライバーでは不安はまったくないのがいいですね」

■公式テストの上位勢は……!?

 一方で今回の公式練習、そして予選では、上位の結果に対して「?」と思われる部分も多い。まず、トップ2台と同じメルセデス勢のトップチームであるGAINER TANAX AMG GT3は、8番手につけているとは言え、どうしてしまったのか。

「やっちまいました(苦笑)。セットを大外ししちゃいました」というのはGAINERの福田洋介シニアテクニカルディレクター。

「公式テストの結果を踏まえて進めていったら、今回は逆の感じになってしまっていて、朝の走行はその確認ができず、欲をかいていったら外してしまった。サーキットサファリのタイムも上回れていない」という。

 また、3月に行われた公式テストで速さをみせながらも、今回苦しんだチームもある。テストで速かったD'station Porscheも、ウエットからドライに変わる状況下でグリップ不足に苦しみ、まさかのQ1脱落。さらにB-MAX NDDP GT-Rも「特に大きな変化はなかったけど、うまくセクターをまとめられなかった(宮田雅史エンジニア)」とQ1を突破できなかった。

 ただ、「ドライになればいいはず(D'station Porsche/藤井誠暢)」とコンディションの変化に期待する声もある。公式テストからのコンディション変化が、この予選順位に大きな影響を与えたようだ。では、明日のコンディションによってまた変化が起きるかというと、今年のレースフォーマットは、決勝日朝のフリー走行がなく、その『変化』を確認する時間がない。「バクチの要素が大きくなってる」と福田SDは言う。

 今回走り出しがウエットになったことや、FIA-F4やポルシェカレラカップ・ジャパンの走行などで、路面が公式テストとは違っていることも大きく関係していそうだ。ちなみに、スーパーフォーミュラ併催時の全日本F3は、SFが走行していない専有走行までと、SFが走った後では路面は「まったく違う」のだという。それほど現代のタイヤは、路面の変化に大きな影響を受けるのだ。

 逆に言うと、明日の決勝順位はコンディションによって、予選順位から大きく変動する可能性もあるということ。本命はグッドスマイル 初音ミク AMGかもしれないが、やはりGT300は今年もまったく読めなさそうだ。