2017年04月08日 10:43 弁護士ドットコム
タイ警察は4月5日、出資法違反の疑いで国際手配されていた熊本県の女性(62)を、入国管理法違反容疑で逮捕したと発表した。女性は今後、日本に強制送還される。
【関連記事:「500万円当選しました」との迷惑メールが届く――本当に支払わせることはできる?】
報道によると、女性は元本保証や高利息をうたい、知人2人に6800万円を出資させた疑いが持たれている。熊本県警が今年1月、国際手配していた。女性は日本人の共犯者2人とともに、トータル50人以上から少なくとも7億円を集めたとみられ、集めた金の一部はタイ人男性に貢いでいたようだ。
典型的な詐欺の手口のように見えるが、どうして出資法違反なのだろうか。詐欺罪と出資法違反の違いを冨本和男弁護士に聞いた。
「詐欺罪成立の大きなポイントは、人を騙したと言えるかどうかです。現状では、集めたお金で投資などをしていた可能性も否定できません。立証が難しいので、まず出資法違反で逮捕して、お金の流れや本人の認識を確認するのだと考えられます」(冨本弁護士)
出資法は、貸金業者などの規制を目的とした法律。不特定多数に対し、元本保証や元本以上の払い戻しを約束して、出資金を受け入れることが禁止されている(第1条)。
罰則は、出資法違反が3年以下の懲役か罰金300万円、またはその両方。一方、詐欺罪は10年以下の懲役と罪の重さが大きく違う。
「取り調べを通し、最終的には詐欺罪での立件を目指すのではないでしょうか。なお、詐欺で有罪になった場合、出資法違反は適用されません(出資法8条4項)。また、組織的な詐欺だと認められれば、刑が重くなり、最大で20年以下の懲役になります(組織犯罪処罰法違反)」
冨本弁護士は、「最近、出資法違反での逮捕をよく聞きますね。『元本保証』など、うまい儲け話には注意しましょう」と話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp