FIA会長のジャン・トッドは、新オーナーであるリバティ・メディアがF1の収益システムを一新しない限り、今後の新規チーム参入は期待できないだろうと考えている。
リバティは、チャンピオンシップの商業権収入の大半が大規模チームに分配されている事実が、競争の質を高める上で大きな障害になっているとを明言してきた。しかし現在の賞金システムは二者間協定によって定められており、2020年の終わりまで変更することができない。リバティは期限後に、システムを一新したいとしている。
現在のF1には最大で26台が参戦できるが、グリッドをすべて埋めるには3チームが不足しており、1995年シーズン中盤以降は実現していない。トッドは空いているグリッドは「当然埋めるべき」だと考えているが、そのためには収益分配の格差が大きな障害になっていると論じている。
「(空いた枠を)埋める唯一の方法は、おそらくは現在と違う収益分配方法にすることだが、これはFIAが解決すべき問題ではない。収益の分配について、FIAは関与していないのだ」
トッドはF1にかかる全体的なコストを下げることも、助けになるだろうと話す。
「これまでに何度も言っているが、F1はモータースポーツの最高峰であり、素晴らしいショーなのだが、費用がかかりすぎると、私個人は考えている。このスポーツにかかるコストを、もっと手頃なレベルにするにはどうしたらいいかを考えなければならない」
F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターであるロス・ブラウンは、グランプリレースの商業構造を刷新することは、実際のところ全員にとって利益になり得ると確信しており、こう述べている。
「コストは非常に重要だ。私の同僚である取締役たちは、スポーツチームは利益を生む事業だという文化のなかで育ってきた。彼らはF1に注目している。チームを任せたかったら、誰かに支払いをする必要がある」
「我々はマニュファクチャラーではないチームのために、ビジネスモデルを変えていかなければならない。マニュファクチャラーには参戦してほしいし、彼らのサポートも必要だ。しかし、マニュラクチャラー以外のチームが存続できるビジネスモデルも作りたい」
「いくつかのNFLチームの、資産価値なるものを見てみよう。ダラス・カウボーイズの資産価値は、ちょうどF1全体の価値と同じくらいだ。これに納得できるだろうか?」
「アメリカンフットボールでも非常にゆがんだ報酬制度が採用されていた時期があった。トップの2チームがほとんどの収益を取ってしまい、他のチームは苦労していた。だがトップの2チームは立場を放棄して、収益を公平にする解決策を受け入れた」
「スポーツが成功を収めると、それは(各チームの成功へと)広がっていき、その2チームの収入は過去に得ていた額をしのぐほどになった。スポーツ全体がさらなる成功を収めたからだ」
「ここに、我々が学ぶべき教訓があるのではないだろうか?」